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羽生善治、村山聖、森内俊之…将棋界「羽生世代」の青春

[週刊大衆2016年11月28日号]

羽生善治、村山聖、森内俊之…将棋界「羽生世代」の青春

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 近年注目される将棋界において、ひときわ輝く「羽生世代」。全タイトルを独占し、将棋界の歴史を変えた男。29歳で夭折し、伝説になった男。盤上で彼らはいかに戦ってきたのか――。

 正確な読みで“天才”と呼ばれながら、29歳で逝去した村山聖九段。その壮絶な生涯は大崎善生の小説『聖の青春』で知られ、このたび松山ケンイチ主演で映画化、11月19日に公開された。ライバルの羽生善治を東出昌大が演じることも話題となった。

 村山は1969年生まれ。70年生まれの羽生善治三冠を代表とする、いわゆる“羽生世代”に属する棋士だ。他にも森内俊之九段(70年生)、佐藤康光九段(69年生)、丸山忠久九段(69年生)と4人の名人経験者を輩出し、藤井猛九段(竜王ほか・70年生)、郷田真隆王将(71年生)など、数多くのタイトル保持者を生んだ。将棋を題材とした大ヒット漫画『3月のライオン』の監修者・先崎学九段も70年生まれだ。

 40年以上にわたって棋士たちの姿を撮り続けてきたカメラマン・弦巻勝氏はこう語る。「強い人は若い時から違っていますね。羽生さんも村山さんも突出していた。実力があると、年齢も関係なく周囲は一目置く。羽生さんは中学生の時からレンズ越しの姿が綺麗で、勝負師の雰囲気がありました」

 彼らの将棋は、弦巻氏の目にはどう映るのか。「あの世代が最後だと思います。屋根の上から飛び降りるような思いきった一手を指すのはね。コンピュータ全盛で、今の若い子たちの将棋は誰が指しても同じように見えます。コンピュータだったら0点と判定されても、勝利につながる一手を指す。それが見たくて、僕は将棋を撮っているんですけどね」

 将棋界を揺るがす三浦弘行九段のカンニング問題には、こう語る。「性善説に基づいて将棋連盟はやってきた。これまでなら“まず三浦をどう救うか”を考えたでしょう。根本の愛情が将棋には通じる。効率ばかりを求め、数字でポイントを競うようになったら連盟なんてなくていいでしょう。ピストルに竹やりで立ち向かう、将棋界はそういう場所だったんですから」

 破天荒でありながら、周囲に愛された村山聖九段の姿を、改めて見つめる時期なのかもしれない。

写真/弦巻勝

【村山聖九段】1969年6月15日、広島県生まれ。98年8月8日没。腎臓の難病・ネフローゼの持病を抱えながらもプロ棋士に。奨励会入りからプロまで2年11か月は羽生を超えるスピード。97年、膀胱がんが発覚し、手術を受けて復帰したものの、98年春に再発が発見され、8月8日に逝去。「非常に読みが正確で、終盤は村山に訊け、と言われていました。勝負勘が的確な将棋だという印象です。麻雀した時、村山先生が勝っていた時は“体調が悪いから帰らないと……”と言っていたのに、その後、負けはじめるといっこうに止めない。結局、朝まで打って、それから飲んで帰りました」(弦巻氏)

【羽生善治三冠】1970年9月27日、埼玉県生まれ。タイトル合計獲得97期は歴代1位。96年に史上初めて将棋界の全7タイトルを独占する。“ハブにらみ”と呼ばれた対局中の鋭い表情。「勝負師なんですが、相手のことをまず考える方ですね。羽生先生が中学生の頃から撮っていますが、悪いところが一か所も見つけられない。百点ですよ。もし、仏陀とかキリストが現在もいるとしたら、羽生さんのような人だと思います」(弦巻氏)

【森内俊之九段】1970年10月10日、神奈川県生まれ。タイトル合計獲得12期。趣味はバックギャモン、クイズ、競馬など多彩。「森内先生は、とても老獪な将棋。引きずり込む将棋、というんでしょうか。相手の失点を待つ我慢強さがあります」(弦巻氏)

【佐藤康光九段】1969年10月1日、京都府生まれ。タイトル合計獲得13期。ヴァイオリンは将棋より前から習っていた。「佐藤先生は集中力がものすごい。棋士で一番じゃないでしょうか。そして創造力。コンピュータにはまずできない新手を指す。リスクの高い、誰もやらないようなところをわずかな光を見つけて進んでいく。カッコいいですよね。印象としては僧兵です」(弦巻氏)

【丸山忠久九段】1970年9月5日、千葉県生まれ。タイトル合計獲得3期。「米長(邦雄)さんの弟弟子に当たりますが、大らかで笑顔がすごくいい。佐藤先生の面も森内先生の面もあわせもつ、なんでもできるタイプ」(弦巻氏)

【三浦弘行九段】1974年2月13日、群馬県生まれ。96年、棋聖を奪取し“羽生の7冠を崩した男”となる。2016年、ソフト不正使用疑惑の渦中に。「勝つことに対するエネルギーが他よりも強い。血を吐いて戦う勝負師は、勝つために何をしてもいい、という考えがあるんだと思います。使うなら、相手の目の前で使えばよかった。昔は、対局中に将棋の本を読んでもよかったんだから」(弦巻氏)

羽生善治、村山聖、森内俊之…将棋界「羽生世代」の青春

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