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【武豊】G1有馬記念の季節に思い出すオグリキャップのこと

[週刊大衆2017年01月02日号]

 師走、12月。競馬の枠を超えた国民的レース「有馬記念」が近づくと、ある馬のインタビューを受ける機会がぐんと多くなります。

「今、改めて思い出して、どうですか?」 こんな質問から始まって次は、「どこで勝てると思いましたか?」というレース回顧。聞く人の目が徐々に輝いていきます。

 そして、「17万7779人のコールを浴びたときは、どんなお気持ちでしたか?」 記憶の中のシーンを再現し、最後は、「人の言葉や思いを、すべて分かっていたような馬でしたよね」 すべての思いをぶつけるように、発する言葉にも熱がこもります。

 1990年12月23日、第35回有馬記念――。“奇跡のラスト・ラン”として今も語り継がれるオグリキャップの有馬記念は、それだけ多くの人の心を揺さぶったということですよね。この僕も含めて。

 オグリキャップ・ブームとは、いったい何だったのか。いや、ブームという言葉をはるかに超えたあの熱狂は、なぜ生まれたのか。もう一度、競馬界に、あのブームを起こすにはどうしたらいいのか……。

 競馬新聞を手にしたファンが懸命にオグリの名前を叫び、ボロボロと涙をこぼしている姿を思い出すたびに、そんなことを考えます。今のところ、答えは「オグリキャップだったから」という言葉以外、ちょっと見当たらないのですが。

 でも、もしもオグリキャップが言葉を話すことができて、「最後をよりドラマチックにするために、前2走……天皇賞・秋とジャパンカップはわざと負けたんだぜ」と耳打ちされたとしたら、なるほどなと納得しちゃう。そう思えるほど、自分でドラマを作る馬でした。

 僕がオグリに乗せていただいたのは、このときの有馬と、その年の安田記念の2度だけ。それでも、オグリといえば武豊と言っていただけるのはうれしいし、騎手冥利に尽きます。

 さあ、そして今週末は、いよいよ、その有馬記念です。今年、僕のパートナーを務めてくれるのは、ファン投票1位に輝いた北島三郎オーナーのキタサンブラック。天皇賞・春、ジャパンカップに続く、今年、3つ目のタイトルを狙います。

 ――自信はありますか?

 あるかないかと二者択一で聞かれたら、もちろん、あります(笑)。一度は抜かれながら、ゴール直前で差し返した天皇賞・春。強い馬が本当に強い競馬を見せたジャパンカップ。その強さ、走り、勝負根性には、絶対の信頼を置いています。

 ここを勝つことで、年度代表馬の座がぐんと近づき、2017年は、海外挑戦という新しい扉も開きます。競馬に絶対はない。ないけれど、ファンの熱い思いに応えるべく、それを目指し、成し遂げるのが騎手の務めでもあります。

「まつり」2016年ファイナル――今年のクリスマスは、中山競馬場で盛り上がりましょう。

■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算4000勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

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