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FIFAワールドカップ拡大戦略の光と影【二宮清純の「スポーツ一刀両断」】

[週刊大衆2017年02月06日号]

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 大盤振る舞いもいいところだ。9年後の2026年大会から、国際サッカー連盟(FIFA)が主催するW杯の出場枠が現行の32から48に拡大する。実に1.5倍の規模になる。必然的にアジア枠も拡大の見通し。現行の4.5枠から2、3枠程度増えると見られている。

 もし、そうなれば日本のW杯出場へのハードルは限りなく低いものとなり、今のようにやきもきすることもなくなるだろう。しかし、それは日本にとっていいことなのか。「緊張感の消えた戦い(アジア予選)は代表の強化につながらない」(協会関係者)との声もある。欧州ではW杯そのもののレベル低下を懸念する声が相次いでいる。

 運営上の問題もある。大会方式は3チームずつ16組に分かれて1次リーグを実施し、各組上位2チーム、計32チームで決勝トーナメントを行う案が有力視されている。予選が3チームでの戦いとなれば、最終戦で対戦する2チームが談合することは火を見るよりも明らかだ。仮に2チームとも引き分けで決勝トーナメントに進出できる状況となった場合、“ガチンコ”は望むべくもない。

 それ以上に心配なのが、運営コストである。FIFAによると、「大会期間は32日間、スタジアムは12でこれまでと変わらない」ということだが、キャンプ地だって48カ所必要になる。今後は02年日韓大会のように共同開催方式を採らざるを得なくなるのではないか。

 それにしても、なぜ新会長のジャンニ・インファンティノ体制下でFIFAは、極端な拡大路線に舵を切ったのか。ゼップ・ブラッター前会長時代の一連の汚職事件が暗い影を落としている。

 イメージ低下を恐れた有力スポンサーの離脱などで、FIFAは、それに代わる新しい財源を探していた。出場枠が拡大すれば、放映権収入などで6億4000万ドル(約742億円)の増収が見込めるという。“獲らぬタヌキの皮算用”にならなければいいが……。

二宮 清純(にのみや せいじゅん)
スポーツジャーナリスト。(株)スポーツコミュニケーションズ代表取締役。1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開中。「スポーツ名勝負物語」「勝者の思考法」「プロ野球“衝撃の昭和史”」「最強の広島カープ論」「広島カープ 最強のベストナイン」など著書多数。スポーツ情報サイト「SPORTS COMMUNICATIONS」:http://www.ninomiyasports.com/

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