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元旭天鵬(大島親方)「みんなから愛される力士を育てたい」家族を愛する人間力

[週刊大衆2017年01月30日号]

元旭天鵬(大島親方)「みんなから愛される力士を育てたい」家族を愛する人間力

 一昨年にまげを切ってから、お酒がめちゃめちゃ弱くなりました(笑)。現役時代は、銀座に4人で行って、チェイサー代わりに、マルガリータを飲んで、ウォッカ7本空けたこともあったし、ハイボールをチェイサー代わりに日本酒を3人で3升を空けたこともあったんですけどね。

 今は、もうダメ。この前なんかは、朝の10時から埼玉のほうで餅つきに呼ばれて行ったんだけど、寒いから熱燗なんか飲んで、昼からは子どもの同級生のお母さんが家に遊びに来ていたから、ワイン2本くらい飲んだ。夜は、知り合いのディナーショーに行ったんだけど、そこでも飲んだら、いざ歌が始まるって、照明が暗くなったときに寝ちゃった(笑)。

 今は、親方として土俵の外から相撲を見ているけど、よくあんな世界にいたなと思いますよ。やっぱり、土俵の上はとてつもない緊張感が漂っているんですよ。相撲の勝負は一瞬だけど、その前の準備や稽古も含めれば、戦いは24時間どころか、365日が戦いなわけだから。

 取り組みの前の日には、寝られないほど緊張する力士だっているし、酒は絶対に飲まないって力士もいる。次の日の相手の取り組みを見ると、考え込んでしまうから、一切ほかの力士の取り組みを見ないのだっているんですよ。まあ、俺は場所中、毎日のように酒を飲んで、夜も寝られていたけど(笑)。

 逆にストレスになるんですよ。30歳を超えたら野菜中心の食生活に変えたり、酒を控えたりとかって言われるけど、自分の好きなものを食べて、飲んでないとストレスで調子が悪くなるタイプだった。

 といっても、緊張感はありましたからね。稽古もきつかった。そんな生活を23年もやってこられたのは、本当に周りで支えてくれる人たちのおかげ。特に、家族は大きな支えでしたね。現役時代に、“もう辞めよう”と気持ちが途切れそうになったことは何度もあったけど、その度“もう少しがんばらなきゃ”という目標を家族が作ってくれたんですよ。“もう楽になりたいな”と思っても、奥さんとお母さんが絶対にダメって反対するんです。娘が生まれたときは、娘が物心がつくまではお相撲さんでいてくれと、幼稚園の行事はちょんまげで、着物姿で参加してくれなきゃ嫌だっていうんです。

 娘が幼稚園に入って、幼稚園の餅つきだとかにも着物で参加して、“よし、もう辞められる”と思ったら、今度は息子が生まれた。息子だから一緒に土俵に上がれるんですよ。そしたら、奥さんは、息子を抱いて土俵入りするまではがんばってと。

 その都度、その都度で目標ができたんですよね。親父が肝硬変で入院したときは、日本の病院に入っていたんですが、保険がきかないから検査だけで60万円とかかかる。

 これは、引退どころではない。稼がなければと。当時は、高見盛の人気がすごくて、懸賞金は7、8本あったんですよ。もうこっちは必死だから、高見盛にはかなり稼がせてもらいましたよ(笑)。

 親方になった今、毎日がめちゃめちゃ楽しいですよ。ゴルフが好きなので、一人でふらりとイ・ボミさんを見に行ったり、ゴルフ誌で連載をもらって、プロの人に弟子入りしたりね。あとは、何より家族と一緒にいる時間が増えたことが嬉しい。

 最初の子どもが生まれたのが、30歳を過ぎてから。モンゴルでは、40歳で孫がいるのが当たり前なので、かなり遅いほうですよ。それに、元々子どもが好きなこともあって、自分の子どもはめちゃめちゃかわいいですよ。携帯に子どもたちの写真が2000枚はありますから(笑)。

 親方としては、今は部屋付きの親方ですが、やっぱり自分の部屋を持ちたいですね。それで、みんなから愛される力士を育ててみたい。横綱、大関を育てるとか大きなことは言えませんがね。俺自身もたくさんの人に応援してもらいましたから、やるほうにしたら、その声援が何より大事だと思うんですよ。

撮影/弦巻 勝

旭天鵬 きょくてんほう
1974年9月13日、モンゴル生まれ。本名、ニャムジャム・ツェベクニャム。92年に来日し、大島部屋に入門。史上初のモンゴル出身力士となる。96年に新十両、98年に新入幕、03年には新関脇昇進。12年に、史上最年長となる37歳8か月で、幕内優勝を果たす。14年、40歳で史上最年長三賞となる敢闘賞を受賞。“角界のレジェンド”と呼ばれるように。15年に引退し、年寄大島を襲名。現在は親方として後進の育成にあたる。

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