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安倍政権の正念場!? トランプ大統領「対日本戦略」の全貌

[週刊大衆2017年02月06日号]

安倍政権の正念場!? トランプ大統領「対日本戦略」の全貌

「アイ・アム・トランプ!」。世界中に衝撃を与える男が描く戦略に極東の島国はどう備えるべきなのか――!?

 どんな“悪夢のカード”を切ってくるのか。1月20日(日本時間21日)、第45代アメリカ合衆国大統領に就任したのは、ご存じドナルド・トランプ氏(70)。

 就任前の記者会見では「中国、日本、メキシコに数千億ドルの貿易赤字を抱えていることは我々の災難」と、トランプ氏が名指しで日本を批判していただけに、就任演説で、どのような「対日本戦略」を示すのかが大注目されていた。本誌締切の関係上、演説内容は不明ながら、「安倍晋三首相をはじめ、日本の外交筋は、具体的な対日戦略が示されるのは少し先という認識を持っている」(官邸筋)

 時事総合研究所客員研究員で、国際問題評論家の小関哲哉氏がこう言う。「トランプ氏の頭の中に、まだ対日戦略はないでしょう。トランプ氏は、問題があるところから手をつけていくタイプ。彼の念頭にないということは、それだけ日米関係が安定している証拠です」

 日本としては、ひと安心――かと思いきや、すでに安倍政権は“仕掛けられ”ているという。前出の小関氏が続ける。「まず、コワモテに出て相手を脅し、実際にはソフトな対応を示して相手を安心させる。そうすることによって、アメリカは少ない代償で大きな成果を得られる。それが“トランプ流”。脅しと現実を、うまく使い分ける手法です」

 各国首脳がこの手法にひっかき回され、かのプーチン大統領でさえ、手玉に取られているという。「ロシアのプーチン大統領は国防省の幹部らを集め、核兵器の強化を訴えました。するとトランプ氏もすかさず、自身のツイッターで、アメリカとしても核兵器の増強を図る必要があると、やり返したんです」(全国紙国際部記者)

 これが昨年暮れのこと。両国とも、かつての冷戦時代のように核軍拡時代へ舞い戻りするのかと思いきや、年が明けるや、トランプ氏の主張は一転する。「ウクライナ問題で主要各国から経済制裁を受けるロシアのプーチン大統領に対して、制裁解除と引き換えに、核兵器の大幅削減で合意する意向があることを明らかにしたのです」(前同)

 小関氏は、「これこそ、“トランプ流”の典型例」だと指摘する。こうして核軍拡から一転して核軍縮路線へ。まさに鵺(ぬえ)のように姿を変えるトランプ新大統領。いったい何を考えているのか、ひいては「対日本戦略」の全貌は……?

 本誌は、トランプ大統領誕生を10か月も前から予見していた元米共和党顧問で、“今、トランプに最も近い日本人”あえば直道氏を直撃した。20日の就任式にゲストとして招待され、トランプ新大統領の政権移行チームから直接、情報を仕入れる立場の人物だ。安倍首相もまだ知らない「トランプ新大統領の対日本戦略」に迫った!

 まずは就任前から話題になっていた軍事・防衛問題。すでにトランプ大統領は、“日米同盟堅持”の姿勢を示している。そうなると、残る問題は在日米軍の駐留経費だ。就任前から、日本へ駐留経費の全額負担を求めると公言していたからだ。「ところが、日本は年間ベースで駐留経費全体の約75%にあたる約5800億円(2016年度)を負担しています。これは、米軍が駐留する国の中ではトップの金額です」(前出の国際部記者)

 そのうえ、トランプ政権から残りの25%も負担するように求められたら、「野党や国民の理解を得られるのは難しく、下手をすると、政局絡みの動きになりかねない」(前出の官邸筋)

 その一方で、こんな声もある。「トランプ氏は決して知日家ではありません。すでに日本が7割以上の駐留経費を負担している事実を知らず、大統領選のプロパガンダに基地問題を利用していたに過ぎないという見方もあります」(国際部記者)

 トランプは日本のことをまるで知らない。“キーマン”のあえば氏はこう言う。「誰もが知るIT企業の社長が去年の12月、ニューヨークのトランプ・タワーでトランプ氏と会談し、アメリカの新興企業などに総額500億ドルを投資することなどを約束しました。ところが、実はトランプ氏は、その方がIT企業のトップという事実を知らなかったんです。社名に“バンク”とあることから、てっきり日本の銀行のトップだと勘違いしていたようです。かように、確かにトランプ氏が日本のことをよく知らないのは事実です」

 どう転んでも、知日家とは思えない新大統領。さて、問題の駐留経費についてだが、「基地問題については(駐留経費を)きっちり負担してもらうという明確な意思を持っていますね」(前同)

 基地問題だけではない。トランプ新大統領は、日本に防衛上の大転換を迫る恐れまであるという。あえば氏が、こう続ける。「まだ公式な発言はしていませんが、北朝鮮の核武装に対して、日本独自に対抗してほしいというのがトランプ氏の本音なんです」

 ニッポンが核武装!? しかし、事実、昨年の暮れ、トランプ政権移行チームのメンバーが来日し、東京・目黒でシンポジウムが開かれた折のこと――。

「その席上、参加者から日本の核武装について政権移行チームのメンバーに質問が出ました。“白紙の状態”というのがメンバーの答えでした。白紙ということは、否定しないということ。つまり、日本の核武装を容認するとも取れる発言で、会場からどよめきが起きていました」(前同)

 もしも、この前提が現実化すれば、憲法9条改正どころの騒ぎではなくなる。「日本は、世界で唯一の被爆国。核のない世界を作ることを目指す立場の国ですから、国内では大問題、大論争になるでしょう。また、そうなると、アメリカを除く核保有国からの反発を招くことは必至ですね」(国際部記者) こうした軍拡は、日本にプラスかマイナスか。トランプ氏の企みはまだ続く。

 さて、次の焦点は外交問題。「トランプ政権で駐日大使となるウィリアム・ハガティ氏の力量が、日米関係に大きな影響を及ぼすとみられています」(前同) ハガティ氏は米国最難関大学の一つ、ヴァンダービルト大学を卒業後、世界的なコンサルティング会社であるボストン・コンサルティング・グループ入社。同社勤務の最後の3年間を日本駐在員として務めていた。

「トランプ氏は常々、“駐日大使は非常に重要なポジション。なぜなら、我々は日本と交渉しなければならないからだ。アメリカは、ビジネスの能力のない連中ばかり使っている”と発言しています。ハガティ氏は私の友人の友人でもあります。彼は、オバマ政権の(キャロライン・)ケネディ前駐日大使のように、決してサンタクロース姿で“恋ダンス”を踊ってくれるような人ではありません」(あえば氏)

 安倍政権にとって手強い相手となるのは間違いないだろう。ただ、悪いことばかりではない。これまで日本の政権が手を焼いていた“従軍慰安婦問題”から解放される公算が高まっているというのだ。

「アメリカの民主党政権時代に南京大虐殺や従軍慰安婦問題がクローズアップされ、共和党政権になった途端、フェードアウトするというのが、これまでの歴史の流れなんです。特に、トランプ氏の口から韓国の名が出たことはほとんどありません。トランプ氏にとって、韓国は、優先順位が日本よりはるかに低い国で、おそらく眼中にないと思いますよ。当然、トランプ政権は米韓関係より、日米関係を優先するでしょうね」(前同)

 つまり、韓国も同盟国であるアメリカの顔を立てざるをえず、いつまでも昔の話でネチネチと日本を批判できなくなるというのだ。以上、軍事・外交面では大きな変動が想定されるが、我々にとって最も気になるのは、やはり経済だろう。「トランプ氏はアメリカ国内の雇用確保を優先。メキシコなどに現地法人を作ってアメリカ国内に輸出する場合、高い国境税をかけると宣言しています」(経済誌記者)

 トヨタがメキシコに新工場を建設すれば、「巨額の関税を課す」と脅されているのは、周知の事実だ。「しかし、トランプ政権が誕生したからといって、すぐさま高い税金がかけられるわけではありません。アメリカ国内の景気も好調。原油価格は安く、これまで世界経済の足を引っ張ってきたヨーロッパも立ち直りの兆しを見せています。経済が上向きである以上、トランプ新大統領といえども、大胆な政策変更はしてこないでしょう」(前同)

 しかも、トランプ新大統領は10年間で6兆ドルという“大減税政策”を打ち出している。「当然、消費が活発になり、しばらくアメリカの好景気は続くはず。それにつられ、日本の景気も上向くでしょうね」(あえば氏)

 問題はアメリカ経済が停滞し、失業者が増えたとき。「たとえそうなっても、それを打ち消して余るほどの恩恵が、日本経済は得られると私はみています」と、あえば氏は言うが、どういうことか。

「たとえば為替。今後も円安傾向は続くと思います。というのも、トランプ氏の側近の一人が、“1ドル200円くらいまではいくかな”と私に洩らしたことがあるからなのです」(前同)

 トランプ氏の大統領選勝利後、為替市場は「ドル高円安」に転じ、現在、1ドル113円の水準(1月17日現在)。その一方、「これ以上のドル高が続けば、安い外国製品がアメリカ国内を席巻することになり、保護貿易的政策の新政権としては容認できなくなる」(前出の経済誌記者)と言われてきた。

 ところが、国内景気に相当自信があるのか、トランプ新大統領は「強いドル」政策を押し進めようというのだ。いよいよ「1ドル200円」と、超円安時代も視野に入ってきたということだ。「本当にそうなれば、1985年以来、日本経済がバブルに沸いた当時の水準に戻ることになります」(前同)

 超円安時代となれば、仮に高い国境税がかけられても、確かにメリットが上回りそうだ。「ガソリンなどの輸入品は高騰するでしょうが、輸出企業の業績は上がり、賃上げの影響が他の産業を底上げてしてくれる可能性がある。株価は今以上に高騰し、バブルの頃の好景気の再来への期待は高まってくるでしょうね」(同)

 しかし――。はたして、そんな夢のような話が本当に実現するのだろうか。まだ、トランプ政権は発足したばかり。今現在、確実なのは、眼前に“課題”があるということだ。あえば氏は言う。

「まさに日本政府の交渉力が試される時が来ました。安倍政権がトランプ氏や駐日大使のハガティ氏相手に、何を提案し、どれだけ日本にとって有利な条件を引き出せるかに、日本の今後がかかっています」

 “トランプ好景気”への皮算用で浮かれている場合ではない。政府が、剛腕・トランプ氏と丁丁発止やり合い、日本を新たなステージへと導きうるか否か、それを注視していくのが我々の務めなのだろう。

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