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小久保侍ジャパン「WBCで世界一奪回」のカギ

[週刊大衆2017年02月13日号]

小久保侍ジャパン「WBCで世界一奪回」のカギ

 王者の椅子から遠ざかって早8年。その栄冠を取り戻すべく船出する野球戦士たちの起用法はこれだ!

 4年前の雪辱を果たす時がやって来た。3月7日からワールド・ベースボール・クラシック2017(以下、WBC)が始まる。

 それに先駆け、出場メンバーが発表されたのだが、その顔ぶれに対し、野球ファンの間では「史上最弱」などという落胆の声が、あちこちから聞こえてくる。「メンバーは国内勢中心の構成で、現役メジャーリーガーで選ばれたのは、青木宣親ただ一人ですからね。さらには国内組でも、地味な選手が多いですから」(スポーツ紙記者)

 第1回WBCの優勝メンバーで正捕手だった野球評論家の里崎智也氏も、「日本の投手陣のトップはみんなメジャーにいるわけで、それが揃いも揃って出場辞退というのは、小久保監督にとっては大きな誤算だと思います」

 ダルビッシュ有、田中将大、前田健太、岩隈久志など、メジャーの打者と直接対決し、長所も弱点も知り尽くしているメンバーの不在は、やはり大きな戦力ダウン。そのうえ、昨シーズンのセ・パの最多勝投手である野村祐輔、和田毅、それにパの首位打者である角中勝也をはじめとした各球団の中心選手が選ばれていないことに、疑問を感じるファンが多いのも無理はない。

 しかし、一見、物足りなく見えるこのメンバー構成には、深い意味がある。里崎氏が解説する。「日本が世界で勝つには、コツコツと打線をつないで得点をもぎ取り、高い投手力と守備力で、虎の子の得点を守り抜く野球、いわゆるスモールベースボールを貫くしかありません」

 ガンガン打つだけのホームランバッターや、エース級の選手だけを並べても、勝てるとは限らないのが野球というスポーツ。第1回、第2回のWBCの優勝は、緻密な野球を貫いた結果、得ることのできた果実だ。今回召集されたのは、そうした考えに基づいて厳選された現時点でのベストメンバーだと言える。メンバー発表時の会見で小久保裕紀監督が“目標は世界一”と語ったのも、決してリップサービスではないのだ。

 まず投手から見ていこう。先発の中心となるのは大谷翔平、菅野智之、石川歩、則本昂大だと、小久保監督は言っている。残念ながらエース候補の大谷翔平は出場辞退となってしまったが、他の3人も「立ち上がりの安定感と防御率が抜群ですからね」(スポーツ紙デスク)

 しかしWBCにおいて、先発投手以上に勝敗の鍵を握るのが、“第2先発”だ。「“球数制限”というルールがありますからね。いつまでも先発投手が投げ続けるわけにはいかない」(前同)

 今回のルールはまだ明らかになっていないが、前回のWBCでは、先発投手の球数は1次ラウンドが65球、2次ラウンドが80球、準決勝以降が95球と制限されていた。つまり先発投手は、4~5回くらいまでしか投げられない。中継ぎでありながら先発並みのイニング数を任される第2先発、8回を任されるセットアッパー、9回のクローザーと、継投が物を言うのだ。

 現役時代、中継ぎのエースとして活躍した野球評論家の橋本清氏が言う。「救援投手は出番がいつになるか分からないので、準備するのが難しいんです。特に第2先発は、イニング数も多いうえに、回の頭から投げる場合もあれば、ランナーを背負った場面で登板することもある。先発、リリーフ両方の資質が必要なんです」

 そのための人選が、増井浩俊、牧田和久という、両方の経験が豊富な投手である。彼らが第2先発を任されるのは間違いないだろう。またリリーフ陣は、先発とは違ったタイプの投手を選んで敵を惑わせるという役割もある。「今回の投手陣のキーマンは、秋吉亮、宮西尚生、牧田の3人。それぞれ、かなり個性的な投法で投げるので面白い存在です」(前同)

 サブマリン投法の牧田に、右の秋吉と左の宮西は変則のサイドスロー。いずれも海外にはいないタイプで、大物メジャーリーガーたちも苦戦必至だ。侍JAPANに先発完投型のエースばかりを揃えても意味がない。決して派手とは言えない彼らが名前を連ねたのは、WBCで勝つためには当然の秘策なのだ。

 一方の打線はどうか。メンバーを見ると、パの首位打者こそいないものの、セの首位打者・坂本勇人、セの本塁打&打点王・筒香嘉智、パの打点王・中田翔、さらにはトリプルスリーの山田哲人と、錚々たる強打者が名を連ねている。

「小久保監督は、彼ら強打者で“超重量級”の上位打線を組むのではないか。以前から“中田を軸にした打線”を公言しており、先の会見では、2番・青木を明言しましたから、坂本を1番に置き、青木でチャンスを広げ、山田、中田、筒香のクリーンアップで一気に畳み掛けることを想定しているのではないか」(ベテラン野球記者)

 北中米諸国の強力打線に打ち勝つには、そうしたくなるのも無理はないが、それでは前出の里崎氏が言ったような、コツコツと打線をつないで得点をもぎ取る日本野球は実現しない。

「出塁率が高くて足の速い秋山翔吾や、ミートが上手くてバントもできる菊池涼介、経験豊富な内川聖一などもいて、メンバーのバランスは決して悪くないんです。彼らをうまく起用することこそが、勝利への近道と言えるでしょう」(前出のスポーツ紙デスク)

 秋山−菊池の1・2番、または9番に菊池で1番の秋山につないで相手投手を翻弄するのも面白い。「リードオフマンは、やはり秋山でしょう。出塁率の高さは1番の必須条件。ファールで粘れるところも向いてますね。球数制限のあるWBCでは、相手投手の球数を増やすことも、戦術の一つですから」(同)

 また、里崎氏が言う。「つなぐ野球のためには、4番は筒香がいいと思います。筒香は1~3番のランナーを還す役割もできるし、チャンスメークもできる。ただ、大砲を二つ並べると、そこで途切れてしまう可能性があるので、中田を6番に置いて、5番に2人をつなぐ役割の選手を入れれば彼らが生きるはずです」

 そうなると、3番青木、4番筒香、そして5番に坂本か内川あたりを入れて、中田に回すのが理想的か。必然的に、山田や松田宣浩などの強打者が下位打線に回ることになるが、「足を大きく上げてタイミングを取り、スイングの大きい打者は、外国人投手特有の“動くボール”に対応が難しい。現に彼らは、15年のプレミア12でかなり苦しんでいましたからね」(同)

 こうして、切れ目のない打線も完成するのだ。日本らしい緻密な野球で、世界一を奪回する日が待ち遠しい!

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