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村上正邦(元参議院議員)「政治家に必要なのは、覚悟と老婆心」参院のドンと呼ばれた人間力

[週刊大衆2017年02月20日号]

村上正邦(元参議院議員)「政治家に必要なのは、覚悟と老婆心」参院のドンと呼ばれた人間力

 今の政治家はみんな、稼業だと思っているから、ダメなんですよ。政治家であることが目的になってしまっている。稼業として、親父から譲られた議席を守っていかないといけないとかね。そういう意味では、本当の政治家とは言えませんよ。

 今の総理だって、なんで、プーチンを長門まで呼ぶの。それは、日本のためじゃなくて、安倍家、ひいては自分の親父のためでしょう。そんなお涙頂戴で、政治ができるんだったら、そんな楽なことはない。

 政治家に必要なのは、覚悟と老婆心。その両方を持っていたのが、田中角栄さんですよ。角栄さんには、理念があった。私が最初に自民党から立候補したのは、1955年。角栄さんから“君は1万5000票足りないから、君の選挙カーに乗るよ”と言われていたんだけど、俺は福田派だったの。だから、断ったんです。

 そしたら、“君は田中派だとか、福田派だとか気にするかもしれないが、おれはそんなケチなことは考えない。日本国にお前のような人物が必要だから、当選させたいんだ”と怒られましたよ。で、角栄さんの応援を断った結果は落選。その晩、家に帰ったら、家内が“田中さんから電話があった”と。どこの田中だろうと思ったら、角栄さんだった。“あなたの旦那におれのところに来いと言ったって来やしないから、困ったことがあったら、奥さんが来なさい”と。つまり、落選したらお金に困るから、いつでも来なさいってこと。福田さんから、そういう電話がかかってくるなら、いざ知らず、角栄さんからですよ。

 老婆心とは、このことだなと。ロッキード事件の最中にも、田中邸に元号法制化の件で陳情に行くと、私の支持母体・生長の家の創始者である谷口雅春先生の『生命の実相』を40巻全部並べてくれているんですよ。“読んでくれましたか?”と聞くと、“いや、読みはしない、表紙だけ並べた”って。正直なんだよ。

 ただ、元号法制化の話をすると、すぐに“今の担当大臣は誰だ?”と聞かれ、“稲村佐近四郎です”と答えると、“稲村君には、僕が言っておく”と。それで、田中派が動いて元号が法制化されたの。平成という元号が今も残っているのは、角栄さんのおかげなんですよ。

 今でも忘れませんよ。自分が囚われの身でありながら、国家の行く末を考えておられたんですから。

 今の政治の世界は、難問が山積みでよほどの覚悟がないと、務まらない。例えば、社会保障だって、高齢者は年金を払った、若い世代はなんで一人で3人も4人も高齢者を支えなきゃいけないんだとなる。

 だけど、やっぱり我々年寄りは、若者に対して、逆に支えになってやるくらいの気骨がほしい。年寄りには、体力はなくても知恵はあるんだから。逆に、若者から頼られるようにならないと。

 政治家っていうのは、あるべきものをあるべきところにちゃんと納めるっていうこと。例えば、馬の糞を部屋に置いていたら、臭いと思うわけだ。でも、それを畑に持っていったら、肥やしとして有効に活用ができるわけです。

 これは人生も一緒。人生で経験したことに無駄なことはないんですよ。僕は国会議員の中でも、僕ほど経験した男はいないんじゃないかっていうくらい人生を経験した。それが活かされているかどうかはわからないけど、無駄な経験だと思っても、置くところや捉え方によって、光ったりする。やっぱり、どんなものでも、活かしていこうっていう発想がないと、人生はダメでしょうね。

撮影/弦巻 勝

村上正邦 むらかみ・まさくに
1932年、福岡県生まれ。拓殖大学政経学部卒業後、65年に玉置和郎参議院議員秘書に。80年に、参議院選挙に出馬し、初当選。以来、4選を果たす。92年には、宮澤改造内閣に労働大臣として初入閣。95年、参議院自由民主党幹事長、99年、参議院自由民主党議員会長などを歴任。参議院で絶大な影響力を持ち、参院のドンと呼ばれていた。01年、KSD事件を巡る受託収賄罪容疑で逮捕。有罪となり、10年に刑期満了。現在、再審請求中。現在は政治団体『春風の会』代表を務める。

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