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小池百合子都知事、就任180日の「都政通信簿」

[週刊大衆2017年02月27日号]

小池百合子都知事、就任180日の「都政通信簿」

 ジャンヌ・ダルクと呼ぶ者あれば、ハッタリ女狐と見る向きもあり。東京都政に巻き起こる“旋風”を、有識者たちはどう採点するのか?

「東京大改革」を目指す小池百合子東京都知事(64)と、抵抗勢力の代表格で“都議会のドン”こと内田茂都議(77)の戦いに、ひとつの決着がついた。両者の代理戦争ともいわれた千代田区長選が2月5日、投開票され、小池氏が支援する現職の石川雅己氏(71)が、自民党の推薦候補に圧勝を収めたのだ。

「前回は自民・公明の支持を得た対立候補に1200票以上の差で勝利した石川氏ですが、今回、差はなんと約10倍の1万1613票。投票率も53.67%と、前回を11.4%上回り、平成に入って初めて50%を超えました。改めて、小池人気を感じましたね。これで、内田氏は7月の都議会選挙に出馬せず“引退”する意向を固めました」(全国紙都庁担当記者)

 昨年8月2日に都知事に就任して以来、早くも半年が経過。「都民ファースト」を掲げて、次々と“改革”に取り組んで来た小池氏。「最近では公明党だけでなく蓮舫代表率いる民進党、さらに都議会の少数会派も複数、その威光にあやかろうと接近してきています。現状は、まずまずと言えるでしょう」(前同)

 とはいえ、これをもって“合格点”と言えるのか。本誌は小池都知事の半年を振り返り、3人の識者に5段階評価で採点を依頼。現段階の“通信簿”を、ここに公開する。

 まず就任早々、ぶち当たった東京オリンピックの会場整備費問題。コスト削減を大命題に、バレーボール、水泳、ボート・カヌー会場は新規の会場整備をせず、既存施設の利用を目論んだ。ここで、いきなり「1」と最低評価をつけたのは、政治評論家の有馬晴海氏だ。なぜか?

「小池氏が変更を言い出した3会場は、すべて実現しなかった。ボート会場を宮城県のボート場に移転するとブチ上げ、“震災復興五輪”を打ち出しながら、結局おじゃん。振り回された地元は、いい迷惑ですよ」 他の会場も、東京五輪組織委員会の森喜朗会長に押し切られ、3連敗。いずれも新規建設だ。

 それにもかかわらず、「4」の高評価を下したのは、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏、角谷浩一氏の両者だ。「確かに、3連敗は残念。しかし400億円以上コストを下げたことは評価できますし、今後、小池さんは森さんの利権を追及するでしょう。第2ラウンドが始まるはずです」(鈴木氏)

「このご時世に、都議会はいまだネット中継もない伏魔殿。都民に関心を持たせるために、オリンピック利権を取り上げたことこそが重要なんですよ。結果だけを論ずるのは表層的な見方です」(角谷氏)

 一方、五輪と並んで小池氏が目下の課題とする豊洲新市場移転問題では、角谷、有馬の両氏が「4」の高評価。ただし、そのニュアンスはかなり違う。「昨年11月の移転予定日の直前に待ったをかけたのは大変な覚悟、勇気がいること。水面下では、いろんな駆け引きがあったはず。ですが、行政の失敗があれば止める。それこそが政治家の役目です」(角谷氏)

 これに対して有馬氏は、「そもそも、地下水の安全性の確認は9回やる予定でした。それを、五輪があるからと、まだ7回の時点で工事を始めたのが間違いなんです。そして、小池さん就任直後の8回目で悪い数値、移転延期後の9回目でもっと悪い数値が出た。だから、ルールに従った小池さんが正しい。ただ、もし9回目で悪い数値が出なかったら、高額な維持費などをつつかれ、苦境に陥っていたかも。運もあると思います」

 対して、鈴木氏は「3」の評価。豊洲新市場移転を見切り発車した“黒幕”石原慎太郎元知事ならびに周辺への追及が、少し甘かったとみる。「石原さん、彼の知事時代のランチミーティングのメンバー、当時の副知事など、もっと積極的、広範囲に事情聴取できたはず。ただ、今後は議会の場でもっとやるでしょうから、その期待も込めて3点にしました」

 12年5月、東京ガスの工場跡地を市場用地として購入したのは誰あろう石原氏。都はこれまで、その責任を認めてこなかったが、2月7日、ついに石原氏の参考人招致を都議会で決定した。「当初は東京ガスが土壌汚染対策をして土地を引き渡すはずでしたが、東京ガスは約80億円で一部の対策をした程度で、その後は東京都が実施。費用が800億円余りに膨らみました。この不可解な経緯が追及の焦点になるはずです」(全国紙政治部記者)

 石原氏の招致の実現は、都議会自民党が「このままでは7月の都議会選の勝敗に左右する」という危機感を募らせた結果。「小池旋風」に屈した格好だ。

 そして最後は、小池旋風の原動力たる都政改革について。鈴木氏は、ここで「5」と最高点をつけた。「知事は今回の予算案で、200億円ともいわれる“政党復活予算”を廃止。これは、本予算から漏れた政策に各政党が予算を要求できるという東京都だけの慣習で、各政党の利権の温床とされてきました。代わりに、歴代都知事の予算案はほぼ100%通過。いわば、知事と都議会はもたれ合ってきた。小池氏はそれをやめ、知事に力を集めようとしているんです」

 いい例が1月25日、初の予算案の中に私立高校の授業料を実質無償化する案を盛り込んだことだ。東京都では、高校も私立の割合が多いため、教育の機会均等の観点もある。しかし、この案は自民党の弱体化にもつながるという。

「従来、教育界は自民党の重要な票田でした。これまで自民党は“授業料が上がらないよう、復活予算で私立校へ補助金を出します”と謳っていましたからね。しかし、知事から無償という満額以上の回答が出たわけで、これが通れば、もう自民党に投票する必要はなくなります」(鈴木氏)

 角谷氏も復活予算の廃止は評価するものの、まだ予算案が通っていないことを理由に「3.5」と渋めの評価。これに対し、パフォーマンス要素が大きいと見る有馬氏は「3」だ。「小池さんは、よく都議会に“ブラックボックスがある”とか“黒いネズミがいる”と言いますが、具体的に名指ししない。もったいぶった言い方をして抵抗勢力を仕立て上げるだけでは、長続きしませんよ」

 では、気になる今後の行方は? 三氏とも、7月の都議選までは小池知事の人気は続き、自民党が議席数減。実質、小池知事の新党「都民ファーストの会」の候補者が躍進するとみる。「ただ、対立構造をぼかすために、自民党が“抱きつき作戦”をしてくると、やや弱いですね。もっとも、そうなれば、小池さんは乾坤一擲、豊洲の白紙撤回に打って出て、また議論を作ると思いますが……」(鈴木氏)

 有馬氏は、「自民党の二階俊博幹事長も、千代田区長選の翌日の6日、“小池ブームは長続きしない”と述べています。これからの反攻に耐えられるかどうかですね」と、状況次第では都議選後、失速の可能性も示唆する。

 だが、角谷氏は、「小池さんは議員時代から、“大義と共感、スピード感”がモットーです。石原氏の追及などに関して手を緩めることがなければ、都民はついてくるでしょう」と、問題を徹底追及する覚悟アリとみているようだ。

 いずれにせよ、改革はまだ道半ば。小池知事には、ぜひ「オール5」を目指して頑張ってもらいたい。

小池百合子都知事、就任180日の「都政通信簿」

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