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侍ジャパン、WBC制覇へ「大谷翔平の穴」を埋める“起死回生の秘策”

[週刊大衆2017年02月27日号]

侍ジャパン、WBC制覇へ「大谷翔平の穴」を埋める“起死回生の秘策”

 世界が注目する大エースが突然の出場回避。この絶体絶命の危機をどう乗り切るか。8年越しとなる王者の称号奪還の道を探る――。

 WBC本番直前の2月1日、世界中が注目する“侍JAPANのエース”大谷翔平が、右足首捻挫のため、まさかの出場辞退。覇権奪回に暗雲が立ち込めた。

「小久保監督は大谷を先発の柱と考えていましたからね。初戦のキューバ戦をはじめ、重要な試合で長いイニングを投げさせ、場合によっては代打でも起用しようと考えていた大きな戦力が急にいなくなってしまったわけですから、肝を冷やしたと思いますよ」(スポーツ紙デスク)

 ただちに武田翔太(ソフトバンク)を招集した小久保監督だが、正直、大谷の抜けた穴は大きすぎる。根本的な戦略の見直しを考えざるをえなくなった。

「当初、小久保監督が考えていたプランは、投手陣全体を第一先発、第二先発、中継ぎ、抑えに分類し、重要なポイントとなる試合で大谷を中心とした第1先発と、それを引き継ぐ第2先発の投手に、できるだけ長いイニングを投げさせて、ローテーションをやりくりするという方式。大谷にかかる負担は大きいですが、彼の力を最大限に生かそうという意図があったからこそのプランです」(前同)

 ところが大谷の離脱で、このプランは、いったん白紙となった。「菅野智之(巨人)、則本昂大(楽天)、石川歩(ロッテ)、武田の4本柱を先発で固定し、球数制限まで、できるだけ長いイニングを投げてもらうという点は変わりませんが、2番手以降は第二先発の枠組みを外し、リリーフ陣を総動員して小刻みな継投を行う作戦に切り替えたんです」(同)

 WBCには、1次ラウンド65球、2次ラウンド80球、準決勝と決勝は95球という球数制限のルールが投手に課せられるのだが、登板間隔にも制限がある。それは、1次ラウンドの場合、50球未満なら中1日で登板が可能、30球未満なら2連投が可能というもの。つまり、小刻みな継投をすることによって、柔軟な投手起用ができるのだ。

「大谷がいなくなった穴を全員で埋めようという苦肉の策だと思われがちですが、実は、これこそが侍JAPANの個性豊かな投手陣をフル活用できる戦術なんです。まさに怪我の功名ですね」(ベテラン野球記者)

 今回の招集メンバーには、試合の途中で効果的に登場させれば、相手打者を幻惑して、打ち取ることのできる国際試合向きの投手が数多く在籍しているのだ。その代表格と言えるのが、牧田和久(西武)だろう。地面すれすれの位置から地を這うように放たれるアンダースローの投手。最速137キロのストレートの他、チェンジアップやカーブ、スライダーなどを投げ、フォームに強弱をつけることで相手を翻弄する技術も身につけている。

「牧田の球は“120キロしかなくても140キロは出ているように感じる”と言われています」(前同) メジャーリーグに詳しい評論家の福島良一氏は、次のように言う。「たとえば、アメリカにはスタントンなどの大砲が名を連ねています。終盤の2死満塁といった試合を決める場面で、そういった選手に打順が回ってくる可能性もあるでしょう。そのときこそ、牧田の出番です」

 サイドスローの秋吉亮(ヤクルト)も牧田同様に打ちづらい投手だ。最速149キロのストレートやスライダー、チェンジアップ、シンカーなどを投げるのだが、グラブをはめた左腕を胸元に引き寄せることなく開いて、体の外側へと流す独特のフォームで打者を戸惑わせる。メジャーにはアンダースローやサイドスローの好投手は少ない。日本が国際試合で勝ち上がっていくためには、“強力な武器”となりうる牧田や秋吉のような変速投手をワンポイントで、いつでも使えるようにしておく必要がある。

 クローザーの役割を担うといわれている松井裕樹(楽天)も、左の強打者が出てきたときのワンポイントに使う方法があるという。「左打者は一般的に左投手を苦手としています。特に松井のようなテクニックのある左投手は、メジャーリーガーにも十分通用します。たとえば、左の強打者、ドミニカのカノを抑えるため、松井をワンポイントで投げさせるのも一つの方法です」(前同)

 ちなみに、ドミニカ共和国やプエルトリコのような中南米の強打者を抑えるには、藤浪晋太郎(阪神)を起用するのが効果的だという。「メジャーには長身の投手が多いですよね。これは、そういう選手じゃないと生き残っていけないからです。そう考えると、高い位置から投げ下ろす藤浪の角度のあるストレートやカットボールは効果的です」(同)

 また先発陣も、WBCならではのローテーションだと言えそうだ。「強振してくる海外の選手には、緩急や縦の変化が効きます。菅野のチェンジアップや、則本のフォーク、石川のスローカーブやシンカー、武田の縦に大きく落ちるカーブは、メジャーの強打者たちも相当、戸惑うでしょう」(前出のベテラン記者)

 4人とも昨シーズンは防御率2点台で、3桁の三振を奪っている。この安定感は、まさに先発向きだ。先発、リリーフの13人総動員で大谷の穴を埋めようとするのは、まさに日本のよさを引き出す奥義なのだが、それだけでは、大谷の穴は埋まらないかもしれない。

 大谷不在の侍JAPANが激戦を勝ち抜くためには、野手の力も必要になるだろう。失点を許さない鉄壁の守備に加えて、攻撃面では足を絡めて一点をもぎ取るような緻密な野球が、これまで以上に求められるはず。

「日本が準決勝以上に勝ち進んだ場合、会場となるのは、ロサンゼルスのドジャースタジアムとなります。この球場は、メジャーでも有数のホームランが出にくい投手有利の球場です。ここでは、ホームランなど、まったく必要ありません。ヒットをつなぐ野球が不可欠です」(前出の福島氏)

 必要なのは、ヒット性の当たりもアウトにする守備力と、短打を量産するミート力、そして機動力。さらには、チャンスをつなぐために犠打もうまくなくてはいけない。そのすべてをこなせる選手を探すのは難しいが、侍JAPANには存在する。それが菊池涼介(広島)だ。

 「小久保監督は、菊池を内野のユーティリティプレーヤーと位置づけて、基本的にはバックアップ要員と考えているようですが、本当は彼こそが、今の窮地を救うキーマンだと思います」(ベテラン記者)

 菊池は昨年、最多安打と犠打の両方で、リーグ1位を達成し、広島の優勝に大きく貢献した。さらには守備範囲の広さも、プロ野球界で随一。2番とセカンドが、これほど似合う選手はいないのだ。

「菊池が2番だったら、出塁率.367、盗塁28の広島のリードオフマン・田中広輔を1番に使ってほしいですよね。昨年の広島の快進撃は、この2人を1、2番に固定できたことが大きな要因だと思うんです。さらには、いっそのこと、同じカープの鈴木誠也をレギュラーで使ってみるのも面白い」(前同)

 2006年の第1回WBCでは、前年優勝のロッテの選手が8人も選出され、優勝の勢いをそのままWBCにぶつけ、本当に優勝できたという実績もある。ならば、今回も広島の勢いに乗らないという手はない。

 大谷不在の穴埋めは、全員が一丸となって、1点をもぎ取り、守り抜く「日本らしい野球」。これを地道に追求していけば、自ずと「結果」はついてくるはずだ。

 頑張れ、侍ジャパン!

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