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鹿賀丈史「役者は、いい作品に出会うことで成長するんです」継続する人間力

[週刊大衆2017年02月27日号]

鹿賀丈史「役者は、いい作品に出会うことで成長するんです」継続する人間力

 僕は今年で、67歳になったんですが、年をとると経験も増えて、演技がどんどんうまくなっていくと思われがちなんですが、そんなことはないんですよ。当然、肉体的に衰えてきますし、瞬発力も鈍くなったりします。若い時はできた役ができなくなっていくんです。今回、出演させていただいた映画『相棒』の時も、役自体は僕より、年上の設定だったので。“老人メイクしますか?”と監督に聞いたら、“いやっ、大丈夫です”なんて言われてしまいました(笑)。

 そんな時に大事なことが、妄想をすることだと思うんです。若い時って、“あれもやりたい、これもやってみたい”って色々な思いがあったのに、年をとってくると、“自分ってこんなもんかな”って思ってしまいがちですよね。

 でも、“もっと、こんなことをしてみたいな”“こんなことができたら、いいな”って思っていると、自然と、そうなるように努力していたり、そういう仕事がやってきたりするんですよ。僕は趣味が特にないので、休みの日は、次の作品の台本を読んだり、ゴロゴロしながら、色々と妄想していますね。役者という仕事を45年も、続けてこられたのは、そのおかげかもしれませんね。

 あとは、人や作品との出会いに恵まれたっていうことも、大きかったですね。劇団四季に偶然入って、研究所2年生の時に、『ジーザス・クライスト=スーパースター』というミュージカルの主役としてデビューできた。ラッキーな出発でした。

 29歳の時、劇団を辞めてからも、松田優作さんと『野獣死すべし』という映画をやったり、37歳から舞台『レ・ミゼラブル』を20年近くやらせてもらった。運のいい俳優というか、いい出会いがあって、今日に至っていると思いますね。

 やっぱり、いい作品に出会うことで、役者として成長するんですよね。いい作品っていうのは役者に、考える、想像する、作り上げていくという作業を強要してきますから。それだけ、体力、技術、気力が必要とされます。そのためにも、日ごろから自分を鍛えておかないとダメ。

 ただ、“これがうまくいったら、自分がひとつ成長できるんじゃないか”、そう思えるいい作品に出会うことが、役者をやっていておもしろいところですからね。そのために、コミカルな役も、シリアスな役もやりました。鹿賀丈史はこういう役だろうなと思われるより、“次はどんな役をやるんだろう”って思ってもらいたいですしね。

 役だけでなく、ジャンルも舞台をやって、映画、ドラマもやった。あとは、『料理の鉄人』のようなバラエティもやりました。舞台だけやっていたら、どこかで煮詰まってしまったかもしれない。そういう意味で、色々なジャンルをやった結果が、45年もやってこられた理由かもしれません。

 色々な役もやりましたが、年も重ねた今は、これまで生きてきた人生が透けて見えるような役が好きですね。今回の映画『相棒』でも、とても悲しい過去を背負った人物なんですが、その中に優しさが垣間見える。表面的な部分ではなく、そういった人間が背負ってきた歴史を表現することが求められる役柄だったので、とてもおもしろかった。

 ただ、常に納得のいくおもしろい作品ばかりに出会うわけではありません。それでも、続けること。それが役者にとって一番大事なことなんだなと思います。

 一番できそうで、できないことだと思いますけどね。まだまだ体も動くし、いろんなことができそうですから、もうちょっと、頑張ろうかなと思っています。

撮影/弦巻 勝

鹿賀丈史 かが・たけし
1950年10月12日、石川県まれ。高校卒業後に、オペラ歌手を目指し、上京。72年に、友人に誘われた『劇団四季』のオーディションに合格し、入団。74年、『イエス・キリスト=スーパースター』で主役に抜擢され、一躍脚光を浴びる。79年に劇団を退団後、『野獣死すべし』『麻雀放浪記』『キャバレー』などに出演し、3度日本アカデミー賞助演男優賞を受賞するなど、映像の世界でも高い評価を受ける。98年にはミュージカル『レ・ミゼラブル』で、菊田一夫賞を受賞。現在も舞台、映画、ドラマと幅広く活躍中。
鹿賀丈史さんの出演作である映画『相棒-劇場版4- 首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断』は全国ロードショー中!

鹿賀丈史「役者は、いい作品に出会うことで成長するんです」継続する人間力

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