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官僚たちの「ひどすぎる天下り」、庶民が知らないその実態

[週刊大衆2017年03月06日号]

官僚たちの「ひどすぎる天下り」、庶民が知らないその実態

 一向に好転しない庶民の生活も意に介さず、組織と自分の利益のために血税をしゃぶる。見よ、これが腐敗国家の“公僕”たちの姿だ!

 アベノミクスだ、株高だといわれても、しょせんテレビの中の話。相変わらず、実感する景気は悪いままという人がほとんどだろう。「日本銀行の昨年12月の意識調査では、暮らしに“ゆとりが出てきた”という回答はわずか4.6%。“どちらとも言えない”が52.3%、“ゆとりがなくなってきた”が42.9%という結果が出ています。調査対象には経営者も勤労者も含んでおり、勤労者だけ見ると、もっと悪いかもしれません」(経済誌記者)

 1年後の収入や雇用の不安を“少し感じる”“かなり感じる”と答えた人も、合計78.8%にのぼっている。だが、世の中には、不安と背中合わせの暮らしを強いられる庶民をよそに、ぬくぬくと甘い汁を吸う輩もいるのだ。しかも、血税で。「今年1月、文部科学省が、退職した官僚に早稲田大学教授の座を斡旋していたことが発覚。事務次官が辞任する騒ぎになりました。その後、この問題をきっかけに、文科省が組織的に“天下り”を斡旋していた事例が次々と明らかになったんです」(全国紙記者)

 その後の内閣府の調査で、早稲田大学の他、慶應大学、筑波大学、公立学校共済組合、明治薬科大学など、40件近くの教育機関や団体への再就職が違法性を指摘されている。その中心にいたのは、一人のOBだ。「嶋貫和男氏という人事課OBが、文科省を退職した2009年頃から、退職する職員の情報を文科省から受け取り、それを大学や企業、団体などに伝える、天下りのハブの役目を果たしていたんです」(前同)

 かつては、どこの省庁も文科省と同じく人事課が天下りを斡旋していたが、07年の国家公務員法の改正によって禁止されている。だが、今回の嶋貫氏はすでに退職後の身で、文科省の外部に「文教フォーラム」という団体を作っていた。ここを拠点にすることで、法の網の目をくぐり抜けたというわけだ。2月7日、参考人として国会に呼ばれた嶋貫氏は、議員らの追及に陳謝しつつ、「人助けという思いで行ってきた」と答弁。議場では失笑が漏れる場面もあった。

「国家公務員の中でも上席のほうに出世したキャリア官僚は、退職したら関連業界に適当なポストをもらい、2年くらいでまた退職して何千万円かの退職金をもらい、さらに違う団体へ――という“渡り”を繰り返して、大金を稼ぎます」(ジャーナリストの安積明子氏)

 その斡旋とは「人助け」にもほどがあろうというものだが、問題は、天下り先の団体や企業が彼らに払う給料や退職金の出どころだ。「天下り先には、見返りとして政府予算による発注や助成金がつくことになります。その金は国の金である以上、元は我々の血税。天下り官僚の給料も、形式上は民間の金でも、完全な“税金ドロボー”なんですよ」(前出の全国紙記者)

 実際、今回の問題で調査委員会が公表した文書の中には、ある組織が「研究予算を増やすために適切な人材を紹介してほしい」と文科省側に要請する、露骨な記録が残っている。前出の嶋貫氏も「人助け」と言いつつ、自身が、それ以前に顧問や審議役に就いていた文科省の外郭団体から文教フォーラムの事務所費や秘書給与などを提供され、さらに文科省OBが代々受け継いできた明治安田生命の顧問職も得ていた。「明治安田生命は民間企業ですが、文科省職員が加盟する共済組合の幹事会社。つまり、文科省から莫大な税金が流れ込む立派な“お身内”です」(前同)

 給与は、なんと月2回の出勤で年収1000万円。1日7時間勤務で単純計算すると時給5万9523円という、夢のような待遇。「嶋貫氏は人事など一般事務を担当する、いわゆるノンキャリアでした。本来、天下りには無縁ですから、実質、天下り斡旋という汚れ役の“お手当”ですね」(同)

 そう、この金額もしょせん“お手当”にすぎない。「汚れ役をノンキャリに任せて悠々と天下りするほうのエリート官僚の退職金は、局長級で6000万円、次官級で8000万円弱が相場。2年ごとに渡りを繰り返せば、生涯に稼ぐ金額は8~10億にもなる」(同)

 これは何も、文科省だけの話ではない。「07年の法改正後、一時は鳴りを潜めていた天下りですが、現在の安倍内閣の成立後に完全復活。各省庁から関連業界へと、官僚がこぞって天下っているんです」(前出の経済誌記者)

 代表的なのが電力業界。かねてから経済産業省との癒着が批判されていたが、福島第一原発の事故以降、少し自粛気味ではあった。それが今、完全に“元のサヤ”に収まっているのだ。「いきなり東京電力に天下ると目立つので、電気設備の点検を行う電気保安協会など、外郭団体への天下りから始めています」(前同)

 厚生労働省にも、医療費が社会問題化する中で見過ごせない天下り先がある。「PMDAという、製薬会社が新薬の認可を得たり、薬価を決める際に相談をする行政法人です。相談料が、昨年までは一律87万100円。高すぎると批判され、9万8000円~39万100円まで幅を持たせたそうですが、まったく馬鹿げています」(ジャーナリストの奥野修司氏)

「今までボッタクっていました」と認めるに等しい大幅値下げだが、常態化しすぎて、そんな意識もなかったのだろうか。

「悪しきを挫く」存在であるはずの警察官僚も、タクシー業界の団体である全国タクシー・ハイヤー連盟の理事職を常に“乗り継ぎ”。警備会社や土地建物関連など、コワモテなところには必ず天下っているという。

 さらに、我が国の安全保障を担う防衛省も同じだ。「13~14年度は、三菱重工、三菱電機、川崎重工など年間1000億円以上を受注する会社に、防衛官僚が10人単位で天下っています。防衛機密を言い訳に、これらの会社にだけ発注をするという分かりやすい構図。他にも富士通、東芝、小松製作所などが“ファミリー”ですね」(防衛省関係者)

 これ以外にも各省庁が公開している「再就職事例」は、枚挙にいとまがない。「上級官僚ほど、三井、三菱など旧財閥系の企業や、古いつきあいの大企業への天下りが目立ちます。どこであろうと、見返りに国から金や認可をガッポリ取ってくるという構図は一緒ですね」(経済誌記者)

 すべてが文科省のような違法事例でもないが、それでも天下りは天下り。民間では中高年がリストラされてゆく時代に、あまりに浮世離れした話ではないか。「能力やスキルを乞われての再就職なら分かりますが、机に座って40年過ごしただけの役人が、なんの努力もなく利権の流れに乗って稼ぎ、罰則もないようでは、国民は納得しませんよ。きちんと本人に責任を取らせるシステムにしないと、同じことが繰り返されるでしょう」(前出の奥野氏)

 東京五輪を控えてイケイケの安倍首相、当面は天下り規制のことなど興味はなさそうだが……。「そもそも、その東京五輪も、天下り利権の温床になっていますからね。森喜朗会長が率いる大会組織委員会は東京・虎ノ門に事務所を構えていますが、この街は、特殊法人や官庁の外郭団体が集まる“天下りの総本山”。ここで何がやり取りされているのか、巨額に膨らんだままの会場整備費などを見れば、想像もつこうというものです」(全国紙記者)

 モラルも忘れて税金に群がるハイエナ官僚たちに我々の怒りの声が届く気配は、今のところ、ない。

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