日刊大衆TOP 社会

金正恩暗殺も!? アメリカ・中国・ロシアの「北朝鮮統治計画」

[週刊大衆2017年03月13日号]

金正恩暗殺も!? アメリカ・中国・ロシアの「北朝鮮統治計画」

 異母兄を無残に殺し、国際社会から孤立を深める独裁者。暴走の果てに待ち受けるのは死かそれとも……!?

 朝鮮半島がキナ臭い。「金正恩労働党委員長(33)の異母兄・金正男氏(45)が殺されたことで、北朝鮮を取り巻く状況が激変しています」(全国紙国際部記者)

 まずは中国が、2月19日から今年いっぱい、北朝鮮からの石炭輸入を停止すると発表。「弾道ミサイル発射に対する国連の制裁決議に基づくとしながらも事実上、金正男殺害に対する報復という意味合いを帯びています」と言うのは、『金正日の遺言』などの著書がある国際アナリストの井野誠一氏だ。

「中国は金正男らの身辺の安全を保障するよう、北朝鮮に要請していましたが、それが無視される結果となりました。習近平はじめ中国指導者層が、金正恩への不満を、かつてないほどに募らせていることは確かです。現在、中国はあらゆるルートを通じて、正男氏の遺体を遺族に戻そうとしているようです。中国はメンツにかけて、一歩も引かない姿勢でマレーシア側に働きかけているとのことです」(前同)

 というのも、正男氏は中国にとって重要なカードだったからだ。拓殖大客員研究員で元韓国国防省北朝鮮情報分析官の高永喆(コヨンチョル)氏は、次のように語る。「中国はこれまで、金正恩は生意気でワガママなボンボンだと思い、彼が失脚したら、親中国である正男氏を新指導者として担ごうと、保護してきたんです」

 だが、正男氏殺害により、そうした目論見は完全に崩れ去ってしまった。「この状況をチャンスと見ているのがアメリカ。毎年3~4月は米韓連合軍合同訓練がスタートし、あらゆる戦略兵器が朝鮮半島に集まりますが、この際、金正恩の暗殺作戦を実行する可能性が高いのです」(前同)

 中朝関係が最悪の今なら、中国からも文句は出まいという腹づもりなのだ。「アメリカ、中国、韓国とも、北朝鮮の体制転換をしたいという目的は一致しています。リベラルな指導者を擁立し、現在の中国のような、改革開放路線の北朝鮮に生まれ変わらせるのです」(同)

 米韓にしてみれば、たとえ中国式の民主化であっても、いつ核ミサイルを発射するか分からないような独裁国家よりは、はるかにマシというわけだ。「アメリカと中国が水面下で交渉できていれば、“金正恩暗殺は暗黙の了解とする”と密約している可能性もあります」(同)

 そもそも、この“金正恩暗殺計画”は、今に始まった話ではない。『コリア・レポート』編集長の辺真一氏が言う。

「実は韓国は2010年、北朝鮮との有事に備え、交戦規定を改めています。“敵(北朝鮮)の気配を感じたら、上に伺うことなく攻撃せよ。また敵が攻撃して来たら10倍にして返せ”と、事後報告で構わないという方針に転換したんです。さらに昨年、朴槿恵大統領は韓国と米国の『作戦計画5015』にOKのサインをしています。この作戦には“金正恩の除去”、つまり暗殺も含まれています」

 従来の合同演習では、『作戦計画5027』すなわち、北朝鮮の南進に対抗する訓練が展開されていたが、それが大幅に強化された形だ。その背景には、北朝鮮の核ミサイル開発の急激な進展がある。「昨年3月、米軍トップのジョセフ・ダンフォード総合参謀本部議長は下院軍事委員会で、“北朝鮮と開戦になれば主導権を奪われる可能性がある。北朝鮮の軍事力は世界第4位”と述べています」(前同)

 そうした、北朝鮮への警戒は強まる一方。「特に、トランプ大統領の側近は外交・軍事面に関して、タカ派、軍部出身者が多い。参謀らは、北朝鮮の核開発・弾道ミサイル計画を、年内に止めさせないと危険だと進言しています。アメリカ本土にまで届くミサイルを北朝鮮が開発してしまったら、アルカイダによる9・11の航空機テロのようなことが起きるかもしれないと考えているためです」(前出の高永喆氏)

 日米首脳会談が行われていた2月12日に、北朝鮮は新型中長距離弾道ミサイル『北極星2型』の発射実験に成功。「『北極星2型』には、燃料注入作業を要する液体燃料ではなく、移動や発射を迅速に行える固体燃料が使用されています。こうなると、米韓は事前に打ち上げを探知することが困難で、迎撃に時間がかかります。韓国で年内配備予定のTHAADでも、迎撃に限界があるとの見方もあります」(前出の国際部記者)

 北朝鮮が、ことさらに軍事力の増強を急ぐ理由は、「金正恩には、見下された外交はしたくないとの思いがあるんです。就任以降、一度も中国との首脳会談に臨まないのも、まず国威を高め、対等の状況を作れるカードを持ってから、すなわち、核ミサイルのレベルを大国並みにレベルアップしてから動こうという考えによるものです。中国側の各種制裁措置への正式なコメントは控えていますが、金正恩および周辺からは不満タラタラの声が漏れ伝わっています」(前出の井野氏)

 そうした姿勢が国際社会からの孤立を深め、ますます核開発へと向かわせる。「アメリカは金正恩の首を取ることが、核開発をストップさせる近道だと考えています。今年の前半から半ばまで、遅くても年内には作戦を実行したい。トランプ大統領は非常に前向きな姿勢なので、実行可能性は高いでしょう」(高永喆氏)

 さらに、米メディアや国民からのバッシングにさらされている、トランプ大統領ならではの事情もある。「北朝鮮は対外的には長年、反米主義を掲げ、国内では自国の幹部130人以上を処刑した“ならず者国家”。米国国内世論も北朝鮮には批判的です。暗殺作戦成功とあらば、“米国を危険から守る”という宣言を有言実行したことになり、政権の支持率上昇にもつながりますからね」(前同)

 また、こうした思惑は韓国の朴政権も同様だという。「朴大統領に対する非難の嵐の中、朴政権を支えてきた与党陣営は窮地に立たされています。朴大統領も逮捕されかねない情勢ですが、世論の風向きを変えようと、与党勢力が考えた計略の一つが、金正恩体制が揺らぐほどの高官、VIPの脱北工作だったんです。実は、その最大のターゲットが金正男氏でした」(井野氏)

 そんな中、浮上したのが“金正男亡命説”だった。北朝鮮の情報を発信する『デイリーNKジャパン』編集長の高英起氏はこう語る。「2月11日、韓国メディアは“正男氏が韓国または米国に亡命”と報じました。これまでも彼の亡命説はあったものの、今回は非常に確度の高い情報と見られていたのです」

 そんな事態を避けるべく、金正恩氏は正男氏殺害に踏み切ったという見立てだ。こうして、形勢逆転の切り札を失った韓国与党勢力。「当初の望みが絶たれた今、次のプランとして軍や与党内で高まっているのが、“狂気の独裁者は消さなければならない”という、金正恩暗殺作戦の決行を促す声なんです」(井野氏)

 金正恩暗殺というカードを活用するには、韓国大統領選が行われる5月より前の3月から4月がベスト。ここにきて金正恩暗殺が現実味を帯びてきているのだ。

「暗殺作戦は全面戦争を防ぐための“予防戦争”です。奇襲的に金正恩の居場所、核施設などを攻撃する局地戦、短期戦となるでしょう。局地戦ならば北朝鮮住民が被害を受けるわけでもないので、中国やロシアが援護することもありません。過去にも、パナマ侵攻でノリエガを拘束。特殊部隊がイラクのフセインを拘束したり、パキスタンに潜伏していたアルカイダのビンラディン殺害などをやっていますからね」(高永喆氏)

 だが、慎重な意見もある。金正男氏とマカオや日本で交遊し、半島事情にも詳しい在日事業家のM氏は次のように語る。「北朝鮮は、中東などの比ではないほど閉鎖的な管理社会。特殊部隊が北に潜入すれば、たちまち密告されます。また、金正恩は暗殺を警戒して毎日、住居を変えていますので、急襲も、無人飛行機攻撃も通用せず、逆に北朝鮮の怒りを買って反撃、戦争になるリスクが高いと思います」

 そうなった場合は、韓国のみならず、日本にも最悪のシナリオが待ち受ける。「金正恩は重要施設の地下要塞化を進め、有事の際は長期間の徹底抗戦を図ろうとしています。同時に地下サイロや移動式サイロ、さらには潜水艦から、韓国のソウルや軍事基地、日本の在日米軍基地に向け、大量の弾道ミサイルを発射するでしょう。また、自身の命と体制を守るために、膨大な生物化学兵器も躊躇なく使うはず。金正恩は“自身に亡命という選択肢はない。共和国とともに運命を共にするだけだ”と、常に軍幹部らに語っているくらいですから」(井野氏)

 前出の辺氏も、こう語る。「有事を想定し、すでに日本国内に北朝鮮の特殊部隊が潜伏していると思われます。必要があれば脅しの意味も兼ね、首都機能を麻痺させることもできるでしょう」

 水面下で危険にさらされている我が国だが、確実なのはXデーが迫りつつあるということ。一部マスコミでは、昨年12月、朝鮮半島のスペシャリストである、米国のダニエル・ラッセル東アジア太平洋担当国務次官補が密かに来日したとの報道も出ている。

「金正恩の“排除”後、アメリカ、中国、ロシアの3か国で北朝鮮を信託統治する計画を日本側に説明。そのための費用の負担を日本側に要請したという話です」(前出の記者)

 そうした計画を示唆するかのように、2月21日には、ロシアが北朝鮮に対して制裁を検討していることが明らかになった。「英紙『インディペンデント』によれば、国連安保理の制裁決議を履行するという名目で、ヘリコプターや船舶のほか、鉱物資源の輸入禁止、科学や技術分野の協力も禁止する見通しのようです」(前同)

 着々と狭まる北朝鮮包囲網。独裁者のクビが飛ぶのが先か、暴発が先か――。

金正恩暗殺も!? アメリカ・中国・ロシアの「北朝鮮統治計画」

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.