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命に関わる頭の痛みとは?「頭痛」の基礎知識

[週刊大衆2017年03月20日号]

命に関わる頭の痛みとは?「頭痛」の基礎知識

 いつものアレと軽視すると、取り返しのつかない深刻な事態になることも。そのメカニズムと“対処法”を識者に聞いた!

「春先に入ったここ数日、頭痛が発生しやすくなっていないでしょうか?」 こう話すのは、東京女子医科大学脳神経外科の客員教授で、『頭痛は消える。』(ダイヤモンド社)などの著書がある清水俊彦氏だ。

 こう尋ねられても、薬を飲めば、それで問題ないと思う人も多いだろう。しかし、それはあまりに早計。頭痛をこじらせれば、日常生活に影を落とす事態になりかねず、最悪の場合、死に至る大病が潜んでいることもあるのだ。

 そもそも頭痛と一口に言っても、いくつかの種類があり、対処法や治療方法は違うという。特に、「緊張型頭痛」と「片頭痛」が“二大横綱”とされてきた。「緊張型頭痛は、頭部を輪っかで締めつけたような痛みを感じさせます。首や肩などの凝りや眼精疲労を伴うのが特徴です」(前同)

 これは日本人に最も多いもので、筋肉の硬直によって血管が収縮してしまい、血流が悪化。それにより溜まった老廃物が、神経を刺激することが原因だという。一方の片頭痛は、頭の片側に心臓の脈動と呼応するドクドクといった痛みを感じるもの。痛みは数時間から数日間続くため、2~3日間寝込んでしまう人もいるほど。片頭痛については話題になることも多いため、こうした症状をご存じの方も多いかもしれないが、「片側だけでなく両側が痛むこともあり、その結果、片頭痛と思わずに治療法を間違えている人もいます」と警鐘を鳴らすのは、『くどうちあき脳神経外科クリニック』(東京都大田区)の院長で、『脳神経外科医が教える病気にならない神経クリーニング』(サンマーク出版)の著書がある工藤千秋氏(脳神経外科医)だ。

「基本的には片頭痛に市販薬は効きません。軽い痛みであれば抑えることはありますが、片頭痛のための頭痛薬が必要です」(前同)

 片頭痛は吐き気や嘔吐を伴い、一度嘔吐すると、それを境にまったく症状がなくなるという。そのため、「ひと昔前は片頭痛を発症したら、そのままにして嘔吐を待つという乱暴な“治め方”もありました」(同)

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 片頭痛のメカニズムは緊張型頭痛と異なっており、「神経伝達物質のセロトニンが大量に放出されることで、脳の血管が異常に広がり、血管に巻きついている神経が圧迫されて発生します」(前出の清水氏)

 つまり、頭痛といっても、血管が収縮して起きる緊張型頭痛と血管が拡張して起きる片頭痛とは、対処法が異なるのである。冒頭で触れた春先に頭痛が起きやすいとの発言は、「気圧や温度の変化が大きいために、片頭痛と緊張型頭痛の両方が発生しやすい季節なのです。特に、昼間は暖かいのに夜がキュッと冷える日は注意。服装などで温度調節をしてください。また、神経伝達物質セロトニンの合成が不安定になるため、頭が重たい、あるいは気分が優れないなどの症状も出やすい」(清水氏)

 気になる頭痛の対処法だが、緊張型頭痛の場合、まず血流の改善をすべきで、マッサージや入浴が効果的。『スポーツ整体WALKIN』(東京都台東区)の院長の渡辺真一氏(整体師)は、「肩や首が凝ると側頭筋(頭部の横にある筋肉)も緊張し、それが頭痛の原因になると考えられます」と前置きし、頭痛発生後の改善効果に加え、予防にもなる対処法を教えてくれた。

 まず、頭の側頭筋の盛り上がっている部分を両手の親指を除いた4本の指、あるいは、手のひらの手首に近い部分で揉む。そのとき、口を閉じていると側頭筋が緊張したままなので、口を軽く開ける。これを1回10秒、少し間を空けて4~5回やるだけ。この間に頭痛が収まれば止めていい。注意点は、もし揉んでみて痛いと感じる場合は、強さを痛みを感じない程度に弱めること。痛いまま続けると、側頭筋の細かい筋肉を傷めることになるという。

 また、頭痛薬についてだが、清水氏は痛み始めに服用することを勧めたうえで、「成分表示を確認して、複合成分の物ではなく、単一成分の物を選びましょう。複合成分の薬品は使用とともに効果が薄れたり、依存症が出る恐れがあります」 単一成分の頭痛薬としては、『ロキソニンS』『バファリンA』『リングルアイビー200』が、よく知られている。

 ちなみに工藤氏によれば、意外な方法で緊張型頭痛を改善できるという。「それは多少の飲酒です。アルコールは血管を拡張させますからね」

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 次は片頭痛の対処法だが、こちらは、ふだんからの意識が必要だ。なぜなら、「最大の原因はストレス」(清水氏)だからだ。

「疲労や睡眠不足、音、光、臭い、気圧や気温の変化、食べ物など、体の内外のさまざまなストレスが片頭痛を誘発します。また、生あくびや異常な肩こり、あるいは、その人にしか分からない“今から来る!”という予兆があるはずなので、注意してください」(前同) 食生活や乗り物など、日常生活と原因に深い関わりがある。次ページの「Q&A」も、ぜひ参考にしてほしい。

 ここまで二大頭痛を見てきたが、ここ数年で非常に増えている“第三の頭痛”がある。それが、「大後頭神経痛」と呼ばれるものだ。しかも、頭痛薬が効かない厄介なものなのだ。

「これは、互いにリンクしている大後頭神経と三叉神経の興奮によって、痛みが生じます。耳の後ろから、後頭部、前頭部など、痛みが日によって“縦に移動”することが特徴です」(工藤氏)

 前ページの図を見ていただきたい。2つのつながっている神経が原因で、「圧痛点」を押したときに痛みを感じれば、大後頭神経痛の可能性が高い。原因は姿勢の悪さ。特に前傾姿勢をとることで、この神経が引っ張られて起きる刺激が頭痛を起こすのだ。パソコンやスマホを触るとき、あるいは、老眼だからと首を丸めて文字を読むときの姿勢とも言える。そのため、改善には正しい姿勢を意識する必要がある。

「頭が背骨の真上にある状態が望ましいですね。意識してほしいのは、壁に背を向け、かかと、お尻、背中、後頭部の4点を順につけた状態(下写真)。そもそも4点が壁につかない場合は姿勢が悪い証拠。毎日、練習してください」(前同)

 また、この症状には頭痛薬が効かないが、「三叉神経痛の特効薬であるカルバマゼピンが有効です。頭痛薬を日に何度飲んでも痛みが取れない人が、これ1錠で楽になる」(同)と言うのだ。

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 これら3種類の頭痛はそれ単体で、あるいは混合で襲いかかってくる。対処法を間違えれば毎日、頭痛に悩まされる事態に陥るだけでなく、頭痛薬依存症に陥る可能性もあるのだ。また、片頭痛は、「長年放っておくと脳の興奮が慢性化し、認知症のような症状が出ることもある」(清水氏)と言う。

 同時に怖いのが、直接的に命の危険がある頭痛。実は、清水氏と工藤氏の両者が口をそろえて警鐘を鳴らすのが、午前中から発生する頭痛だ。朝起きてから痛みが始まり、それが何日も何週間も続き、しかも日増しに痛みが強くなる場合は、脳腫瘍ができて、それが硬化している可能性があるという。

 また、ゴルフでスイングした後や、マッサージを受けた後などに、後頭部の片側や肩から首にかけた部分が突然痛くなり、整形外科に行ってストレートネックやヘルニアと診断を受けることも多いというが、注意が必要だ。

「椎骨動脈の動脈解離といって、最も注意を要する頭痛の疑いがあります。重症化すれば脳梗塞や、くも膜下出血を引き起こして突然死するケースもあります。しかも動脈乖離は突然起こるので、以前の検査で問題がなかったとしても、油断できません」(前同)

 痛みの我慢や勘違いで、命の危険も。あなたの頭痛は、本当に大丈夫ですか?

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