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小池百合子都知事「4月の大攻勢」で見据える“総理の座”

[週刊大衆2017年04月03日号]

小池百合子都知事「4月の大攻勢」で見据える“総理の座”

 都政に旋風を巻き起こし続ける女帝がいよいよその“牙”をむく。桜の季節、さらなる頂を目指して権力と謀略の修羅道を突き進む!

 森友学園問題の逆風がいまだ吹きやまず、対応に苦慮する安倍晋三首相。にわかに動乱の様相を呈し始めた永田町に、今月中旬、激震が走った。小池百合子東京都知事が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」が突如、今月中に「国政研究会」を立ち上げることを表明したのだ。

「これは明らかに、小池知事の意を受けたもの。名前を都政でなく国政としたのは、当然、“ここから国政に打って出るぞ”という意思表示です」(全国紙政治部記者)

 そのため、永田町は「官邸への明らかな宣戦布告ではないか」と、ざわついているというわけだ。政治評論家の角谷浩一氏は、この突然の動きを、こう分析する。「研究会の立ち上げには、小池氏が安倍首相を見切ったという側面もあります」

 小池知事は、これまで都議会では自民党と対立し、五輪会場問題では森喜朗五輪組織委員会会長と火花を散らしながらも、安倍首相とは正面切って事を構えてはこなかった。「お互い“今の勢いの相手にぶつからないように”と、あくまで蜜月関係を強調してきました。昨年10月の衆院東京10区補選で安倍首相と小池知事が肩を並べ、演説したのが、その証拠。しかし、森友問題でやや、その風向きが変わってきた。“一強”といわれた安倍政権の勢いに陰りが見えた機会を見逃さず、小池知事はボディブローを放ったというわけです」(前出の政治部記者)

 研究会の参加者は、小池知事が主宰する政治塾「希望の塾」から選抜を行い、すでに講師や名誉会員などと称して、複数の国会議員と接触しているという話も聞こえてくる。「ただ、こうした構えを見せただけで、この動きを先に進めるのか、止めるのかは、4月以降の情勢と官邸の出方次第でしょう。相手をどう料理するかは小池氏が決める。言い方を変えれば、小池氏が自民党を“試す”立場になったのです。自ら小池劇場の第二幕を開けたという印象ですね」(前出の角谷氏)

 官邸の動揺に乗じて即座に、こういう手を打てるあたり、女バクチ師の面目躍如といったところ。それにしても、小池氏がここまで思い切った態度に出られたのは、なぜか。ある都庁担当記者は、小池氏に出てきた“余裕”がその背景にあると分析する。

「“都議会自民党のドン”内田茂氏との代理戦争といわれた今年2月の千代田区長選では、内田氏の勢力を完膚なきまでに叩き潰した。さらに、築地市場の豊洲移転問題では、逃げ回る石原慎太郎元都知事を、自民党の同意も得て百条委員会の“お白洲”に引きずり出しすことができましたからね。もはや都議会に敵なしと言っても過言ではない状況ですから、ここで一気に強気の攻勢をかけようということでしょう」

 19日には浜渦氏、その翌日には石原氏の証人喚問が行われた。石原氏は昨年10月の小池知事からの質問に、「私自身は、交渉にまったく関与していない。すべて(当時の副知事である)浜渦(武生氏)に任せていた」と述べていた。ところが、実は、豊洲市場予定地の旧地主である東京ガスの社長と非公式会談をしていた可能性が浮上。交渉に関与していないという回答と矛盾が生じていた。

 そして、余勢を駆って、7月2日投開票(6月23日告示)の東京都議会選挙でも、都民ファーストの会が大勝利を収めることは確実な情勢なのだ。まず、公明党を完全に取り込んだのが大きい。

「自民党と都議会で連立を組んでいた公明党が、自民党との連立解消に踏み切ったのに続き、都民ファーストの会と政策・選挙協力することで合意。これで、小池知事は巨大な組織票を手にすることができました」(都庁関係者)

 さらに、蓮舫代表の意向を汲んで早くから小池氏に近づいていた民進党は、執行部の求心力不足により、むしろ勢力を小池氏に吸収されつつあるという。「3月12日に開かれた民進党の党大会では、一部の民進系都議が同じ時間帯に開かれた“希望の塾”の講義に参加してしまい、民進党の党大会は腰砕けでしたからね」(前同)

 こうして公明、民進の勢力を手中にした小池氏が次に狙うのは、当然、都議会最大勢力である自民党だ。「都民ファーストの会は、都議選で単独過半数を得るべく、70人規模の候補者擁立を検討しています」(同)

 特に注目されるのが“くのいち隊”と呼ばれる女性候補者部隊の存在。

「いずれも、これまで政治経験はありませんが、お笑い芸人のエド・はるみ氏や元テレビ朝日アナウンサーだった龍円愛梨氏、フジテレビ系列会社幹部の入江伸子氏らが立候補を予定しているそうです。4月以降、さらなる“大物”の擁立も検討しているらしく、今後の動きに目が離せませんね」(前出の政治部記者)

 その“くのいち隊”のターゲットはズバリ、“元ドン”こと内田茂氏の子分たち。「内田氏自身は早々とケツをまくってしまい、政界引退を決めていますが、高島直樹都連幹事長(足立区選出)をはじめ、内田氏の薫陶を受けた“4人組”といわれる議員がまだ残っている。彼らの選挙区ヘ、刺客候補として送り込む予定なんです」(前同)

 さらに、小池氏の衆議院議員時代のお膝元・豊島区では、大きな地殻変動が起こっている。ここは昨年の都知事選で小池氏に投票し、自民党を除名されて都民ファーストの会を結成した区議たちの地元。いわば“発祥の地”なのだが、なんと先頃、自民党後援会の婦人部が丸ごと都民ファーストの会に“寝返り”。これによって、女性票をゴッソリと手にする格好になったのだ。

「こうしたこともあり、公明党と都民ファーストの会が都議選の独自調査を行った結果では、都民ファーストの会は60議席に乗せる大躍進。自民は半減以下の25議席に落ち込むという数字も出ているようです」(都庁担当記者)

 勢いというのは怖いもの。政治評論家の有馬晴海氏も、「都民ファーストの会の候補のみならず、協力する政党や小池氏に賛同する“小池シンパ”の議員を合わせると、議会の7割は“小池与党”という結果になるでしょうね」と予測する。

 まさに、破竹の勢い。この勢いがあればこそ、国政に対する野心をむき出しにすることもできたのだ。その小池氏の挑戦を受ける形の安倍政権は、当初、昨年末から今年の初頭にかけて、解散・総選挙を行おうとしていた。

「政権が“一強”状態の間に、2020年までの自民党の数的優位を確定させておくことはもちろん、当初から国政に色気を見せていた小池氏の準備ができる前に選挙をやって、新党結成の芽を摘んでおく意図があった。アンチ小池の急先鋒である菅義偉官房長官や、萩生田光一官房副長官が発案したプランだったといいますが……」(自民党関係者)

 ところが、昨年暮れのロシア・プーチン大統領との首脳会談が不発に終わり、今年に入って、自衛隊を派遣している南スーダンの治安が悪化。もたついている間に、森友学園問題の地雷が足元で炸裂したというわけだ。その結果、「今、選挙したら、小池氏がいなくても確実に30は議席を減らすことになる。解散は秋以降に延長せざるをえなくなった」(官邸筋)というわけだ。

 そして、そこに結成された「国政研究会」の衝撃。これにより、官邸はさらに進退窮まりつつある。「研究会の発足を発表した以上、相当数の候補者を擁立する準備は、すでに終えていると見たほうがいい。小池氏が自分で失墜しない限り、今後、選挙を行えば、自民党は少なくとも東京では大打撃を受けるでしょう」(前出の政治部記者)

 ある自民党長老は、恐るべき結果も考えうるという。「小池さんが元気なうちは、選挙をやったらいかんな。どうせ刺客を出してくるだろ。石原伸晃(経済再生担当相・前都連会長)と宏高の兄弟、萩生田、さらに下村博文(都連会長)もみんな、落ちるかもしれん」

 東京選出の自民党議員たちの選挙区に都議会と同じく“刺客候補”を出し、彼らをことごとく殲滅する可能性もあるというのだ。そうなったら安倍首相は党総裁としての責任を問われ、来年秋に3選されるどころか、「最悪、辞めなならんな」(前同)と言う。

 今、選挙をしても惨敗が予想され、先延ばしているうちに小池氏の勢力はどんどん拡大していく。議員任期はいずれ切れてしまうのだから、そのときは嫌でも選挙をしなければならない。まさに、自民党は打つ手なしだ。そして、その選挙の結果次第では、誰もが思わぬ形で小池氏の“宿願”が叶う可能性があるという。

「次の総選挙で、もしも自民党が敗れるような事態になれば、そこで安倍首相が辞めて次の誰かになるにせよ、自民党内は当然、“その次は、よほどの総裁でないと勝てない”というムードになってきます。そうなったら、党内にアレルギーが残っているとはいえ、下野するよりも、選挙に勝てる小池氏を総裁に担ぎ出す動きが出てくるかもしれません」(前出の有馬氏)

 実は、これだけ自民党と対立しながら、小池氏自身はいまだ自民党員。知事選の際に除名の話が出たものの、棚上げになっている。つまり、自民党総裁の座についても、制度的にはなんら問題はないのだ。

「除名を強硬に主張した菅氏や萩生田氏も、安倍首相がいなければ“ただの人”ですからね。変化を求める有権者や、若い議員などはむしろ歓迎するかもしれません」(民放記者)

 まさに、大ドンデン返しといえるだろう。そもそも、記者筋では、小池氏自身は知事として20年の東京五輪を成功に導き、翌年夏に安倍首相が総裁任期を満了したタイミングでの総選挙で国政に復帰するとみられていたという。

「そこまで“小池旋風”が吹き続けていたとしても、小池新党のままでの単独過半数は難しい。ですが、それまで自民党政権の脅威であり続けることで、逆にスルリと念願の“初の女性総理”の椅子が転がり込んでくる可能性があるとしたら……。天下のバクチ打ちだけに、そこまで考えて行動していてもおかしくはありませんよ」(前出の政治部記者)

 自民党での冷や飯生活から一転、就任から1年足らずで、この国を揺るがす存在となった稀代の“女傑”。その攻勢は、春の訪れとともに、ますます激しくなってゆくだろう。

小池百合子都知事「4月の大攻勢」で見据える“総理の座”

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