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巨人・高橋由伸監督がほくそ笑む、小林誠司「WBCでの急成長」

[週刊大衆2017年04月10日号]

巨人・高橋由伸監督がほくそ笑む、小林誠司「WBCでの急成長」

 昨シーズンのV逸の「A級戦犯」とまでコキ下ろされた“ダメキャッチャー”が、大舞台で覚醒! 由伸監督もご満悦だ!

 3月22日のWBC準決勝のアメリカ戦で惜敗し、念願の世界一奪還はかなわなかったものの、日本野球の素晴らしさを存分に見せつけてくれた侍戦士たち。今大会では、菅野智之、菊池涼介、筒香嘉智など、数多くの選手たちが、その名を世界にとどろかせたが、その中で、最もプロ野球ファンを驚かせたのが、小林誠司(27=巨人)の活躍だろう。

 四隅を丁寧につく大胆かつ巧妙なリード、千賀滉大の“お化けフォーク”も決して後逸しない的確な捕球、そして何よりも、ここぞという場面で当たりまくった打撃。どれを取っても日本の正捕手そのものだった。

 辛口で知られるノムさんこと野村克也氏もテレビで「小林さんには、頭が下がりました」と絶賛する一方、「あれは、本当にウチの小林なのか」と、巨人軍関係者が一様に目を丸くしたという。それもそのはず。巨人入団以来、小林は“ダメ捕手”の烙印を押され続けてきた経緯があるからだ。

 小林は、阿部慎之助の後継者として、2013年ドラフト会議で日本生命から1位で指名され、入団初年度の14年シーズンは63試合、15年は70試合、16年は143試合中129試合でマスクをかぶったが、その成績はといえば、チームの正捕手として首脳陣を満足させるレベルのものとは、とうてい言えなかった。

 16年の通算打率.204は規定打席に達したセ・リーグの打者の中で最下位。守備面でも、取り柄は肩が強いことくらい。その単調なリードには課題が多く、キャッチングでもワンバウンドの球を後逸するシーンがしばしば見られた。

「ワンバウンドした球は記録上ワイルドピッチになり、捕手にエラーはつかないため、小林の守備率は.994と、決して低くはないんですが、あまりにも頻繁に後逸する。捕手として最もやってはいけないことです」(スポーツ紙デスク)

 昨年、菅野や澤村拓一の勝ち星やセーブが、小林のプレーで消えてしまったことは一度や二度ではない。一部では、小林が「昨シーズンV逸の最大の戦犯」とまで酷評されたほどだ。「そんなこともあってか、投手からの信頼も薄かったようで、うまくコミュニケーションを取れている様子はなかったです」(前同)

 それが如実に表れたのが、昨年8月28日に起きたマイコラス激怒事件だ。小林の拙劣なキャッチングに業を煮やしたマイコラスが、ジェスチャーつきで小林を罵り、バットをへし折った後、ベンチで大暴れしたのだ。

 また、シーズン終了後、高橋由伸監督が「小林をレギュラーだとは言ってないからね」と報道陣に釘を刺した事実からも分かるように、小林は巨人の首脳陣からの信頼も薄かった。「昨シーズン、プロ野球関係者の間では、“巨人最大の弱点は捕手”というのが、共通認識でしたからね」(同)

 強肩を買われて侍JAPANに召集はされたが、“第3の捕手”との見方が衆目の一致するところだった。中には、「甘いマスクを買われた客寄せパンダ」なんて、厳しい声もあった。しかし、いざWBCが始まってみると、そうした前評判は見事に覆される。それは、まさに“覚醒”と呼ぶべき活躍だった。

「侍JAPANの練習開始とともに、積極的に動いて、首脳陣の評価をアップさせ、いつの間にか正捕手の座をつかんでいたんです。壮行試合で不調だった大野(奨太)をあっさり諦め、小林に切り替えたのは、小久保裕紀監督の英断でした」(同)

 1次ラウンド、2次ラウンド、準決勝の7試合で、20打数9安打の打率.450。7試合中5試合で打点を叩き出し、本塁打1本を含む3試合連続適時打を放つなど、打棒でもMVP級の大活躍だった。

 巨人軍OBの野球評論家・黒江透修氏は「これは、うれしい誤算だよ」と喜びつつ、小林の変身の要因を次のように分析する。「やはり、グアムで阿部がつきっきりで教えたことが大きかったと思う」

 グアムとは、今年1月の自主トレで、阿部が小林につきっきりとなり、マンツーマンで「熱血指導」を行ったことだ。「阿部が小林に教えたのは、主にバッティング。これまでの小林は、打ち頃の球でも簡単に見送ってしまう傾向があったんだけど、そのあたりを徹底的にアドバイスしたと聞いている。バッティングに積極性が出てきたね」(前出の黒江氏)

 決して当たりの良くない打球が、なぜか、いいところに飛んでヒットになるラッキーボーイぶりもWBCでは見られたが、それも、この積極性の賜物だろう。だが、良かったのは打撃だけではない。それ以上に、守備面での成長が著しく見て取れたのだ。

 専門誌『野球太郎』の持木秀仁編集長は絶賛する。「環境は人を育てるといいますが、今回の小林は、まさに侍の正捕手に相応しい活躍を見せてくれました」

 バッティングが良くなると、リードにも自信が出てくるのが捕手という生き物。野村氏や古田敦也氏の例を挙げるまでもなく、打撃の良い捕手は守備もうまい。

 とはいえ、小林の成長は、その域を超えている。WBCでは、名だたるエース級の投手をリードで自在に操り、後逸は一切なし。さらには、準決勝で見せたように、華麗な捕殺で盗塁も許さない。今までの小林とは、まるで別人だ。

 実は、そのあまりの的確なインサイドワークに、「もしかしたら、小林本人ではなく、ベンチからサインが出ているのかもしれない」という噂も流れたが、「プレミア12のときは、捕手が事あるごとにベンチを見ていましたから。権藤さん(投手コーチ)って、そういう人なんですよ。でも、今回の小林を見る限り、ベンチの指示を窺っている様子はない。あれはやはり、自分自身でリードしていたとしか考えられません」(ベテラン野球記者)

 プレーが良くなった背景には、小林自身の意識改革があったことも事実だ。それは、グアムでの自主トレ前に小林が阿部に“バリカンを持って来い!”と言われたことに対し、自慢のサラサラヘアを丸刈りにしてグアム入りしたことからも分かる。

「彼自身の性格的な問題なんですが、それまでの小林にはコーチの話を聞かない傾向がありました。投手の決め球がフォークならフォークに固執しようとする。それではダメだと、いくらアドバイスしても馬耳東風で、あくまでも自分のやり方にこだわろうとしていた。あれでは大成しないと、首脳陣も困り果てていました」(前同)

 その小林が、今回のWBCでは、非常に柔軟になり「一皮むけた」のではないかと、もっぱらの評判だ。「決め球に頼るだけではなく、そのフォークを生かすためのストレート、それを内角高めに要求する。インハイは、一歩間違えればホームランを打たれるコースなんですが、勇気を持って投げさせていた。リードに柔軟性が出てきたように思う」(同)

 もちろん、阿部のアドバイスもあるだろうが、WBCでの経験が、小林を一回り大きくしたと見るのが正解だろう。

「当初、“控え要員”だった小林には、比較的時間がありました。そこで彼は、この時間を投手たちとのコミュニケーションにあて、それぞれの投手の特徴や性格を頭に叩き込んだんです。その時間的余裕が、意識改革をした小林に“覚醒”をもたらしたのかもしれませんね」(前出のデスク)

 小林の覚醒を最も喜んでいるのは、他の誰でもない巨人の由伸監督だろう。「“巨人の最大の弱点”だった捕手のポジションが盤石になるわけですからねえ。小林が信頼に足る正捕手になるということは、V奪還が近づいたことを意味しますから」(前同)

 今年の巨人は、30億円といわれる大補強を敢行した。しかし、それでもなお、最大のウィークポイントといわれていたのが捕手のポジション。その最後のピースが、小林の覚醒で埋まったというわけだ。

 しかし、一抹の不安がないわけではない。「日本最高レベルの投手陣がそろった侍JAPANですから、投手のコントロールが抜群に良かったのも事実です。高レベルの投手に慣れてしまった小林が、巨人の投手陣とのバッテリーで、WBCと同じような活躍ができるかどうかは、少し不安な面もありますね」(前出の持木氏)

 また、WBCではピンチを招いても、一流の野手陣が、すぐに火消しをしてくれるという幸運にも恵まれていた。それによって、チームも小林も、ますます乗ってくるという好循環が、そこにはあったのだ。しかし、長いペナントレースでは、そういった幸運が毎回、訪れるとは限らない。これらの課題をどう切り抜けるか、ここからが小林の真価が問われることになるのだ。

 小林の覚醒がシーズンに突入しても継続し、ひいては、それが巨人軍にVをもたらすのだとしたら、すべての巨人ファンは、小久保監督に足を向けて寝られないかもしれない。

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