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安倍晋三政権を揺さぶる「籠池爆弾」の行く末

[週刊大衆2017年04月10日号]

安倍晋三政権を揺さぶる「籠池爆弾」の行く末

 嘘か真か、はたまた単なる妄言か。トリッキーな“爆弾証言”の数々で永田町と大阪府を揺るがし続ける“カゴちゃん劇場”の行く末は…!?

 国有地の払い下げに端を発した、大阪の森友学園と安倍晋三首相夫妻や複数の政治家との不適切な関わりをめぐる疑惑が、山場を迎えつつある。3月23日、森友学園の理事長・籠池泰典氏が国会の求めに応じ、証人喚問に出席したのだ。主な焦点は、森友学園が開設準備を進めていた小学校(大阪府豊中市)に設立認可が下りた背景と、その建設資金として、安倍昭恵夫人を通じて安倍首相による100万円の寄付が行われたかどうかだ。

 特に、現在国会を騒がせているのが後者。昭恵夫人が問題の小学校の名誉校長を務めていたことが今回の問題の発端になったわけだが、さらに、過去に昭恵夫人が森友学園を講演に訪れた際、籠池氏に100万円を渡して「安倍晋三からです」と告げたというのだ。

「首相はそれ以前の国会答弁で、小学校の設立認可などに“私や妻、事務所は一切関わっていない。もし関わっていれば首相も国会議員も辞める”と、関係を全面否定していました。もちろん、寄付が事実であっても、認可手続きへの首相の関与があった証拠にはなりませんが、こうした関係性によって用地の払い下げや認可の交渉がスムーズになった側面があるとすれば、大きな問題となります」(全国紙政治部記者)

 その後、籠池氏を取材したフリージャーナリストの菅野完氏が、「物証」だとして、寄付した当時のものだという振替払込用紙の写真を公開。真偽のほども含めて話題となった。

 どこから見ても典型的な“大阪のオッチャン”にしか見えない籠池氏に、振り回される安倍政権や国会。そもそも、籠池氏は当初、メディアに対して「安倍首相から何もしてもらっていない」と答えていた。

 ところが、急転直下、3月15日に、小学校建設予定地へ視察に訪れた参院予算委員会の議員らに対して、“寄付金爆弾”を炸裂させたのだ。ジャーナリストの須田慎一郎氏は、こう語る。

「初めのうちは、このままいくと小学校の設立認可取り消しが決定してしまうという危機感があったからだと思いますね。建設予定地を更地にして国に返還するとなると、その負担で(森友学園が運営する)塚本幼稚園が潰れ、学園そのものが破綻しかねません。この暴露は、その事態を回避するための条件闘争だったんでしょう」

 しかし、結局、認可取り消しは覆らず、さらに、その過程で、小学校の建築費について、学園が府に報告した金額が、国土交通省に補助金を得るために報告した金額の半分ほどしかなかったことも判明した。補助金は、建築費が高いと支給額も増えるため、国から実際より多くの補助金を受け取ったことになる。そのため、国交省からは補助金約5650万円の返還を求められ、大阪府の松井一郎知事も「公金詐欺にあたる」と、籠池氏を厳しく批判している。

「松井知事は小学校の認可責任者でもありますし、籠池氏が維新の党の議員にも口利きを頼んでいたという話が出ていることから、自分に累が及ばないよう、“詐欺師に騙されて認可したのだ”というスタンスに徹したいのだと思います。一方の籠池氏は、あくまで“政治家がハシゴを外した”と思ったんでしょう。“このまま、トカゲの尻尾のように切られてたまるか”と、破れかぶれの逆襲に転じたんだと思います」(全国紙大阪府庁担当記者)

 証人喚問で100万円の件を突然、持ち出した理由を問われ、籠池氏は「安倍晋三先生には敬愛以上の念を抱いておりましたが、(この問題の発覚以降、自分のことを)“しつこい人”と発言され、手のひらを返して学校を潰そうとしていると思った」と証言した。

「籠池氏は“人払いして昭恵夫人と2人きりのときに、100万円を渡された”とも証言しましたが、当時、昭恵夫人には内閣府の随行員が2人ついていたという政府見解と食い違っており、この発言は偽証罪に問われる可能性があります。それも覚悟でぶちまけてきたのは、よほど心中期するものがあるのでしょう」(前同)

 さらに、「一対一で会ったことはない」と言ったばかりの松井知事に対しても、「(学校が)九分九厘できていたのに、ハシゴを外されたと思ってます」と発言。「自由党の山本太郎議員の“他に、ハシゴを外されたと思っている人はいますか?”という質問にも改めて、“大阪府知事です”と、名前を呼ぶこともなく2度繰り返し、恨み骨髄と言わんばかりの態度をむき出しにしました」(民放局報道部記者)

 森友学園の関係者は「理事長は、攻撃されたら黙っていられないタイプ」だと前置きし、こう続ける。「鴻池(祥肇氏、元防災相)先生の会見を見て、かなり憤慨したようですね。“政治家に見捨てられた”という心境になったのは、あのときだと思いますよ」

 鴻池氏は、国有地払い下げの口利きを頼みに来た籠池氏から通称“こんにゃく”という封筒(証人喚問では3万円の商品券と証言)を渡されたことに触れ、「無礼者!」と突き返したと発言。「俺の人生でこんな汚物を投げられたことは初めて」とまで、こき下ろしていた。

 その後、籠池氏は「(小学校開設の)認可が出なかったら、大勢の政治家に辞めてもらう」と豪語するようになったという。その「大勢の政治家」の一人になりそうなのが、稲田朋美防衛相だ。当初、「籠池夫妻から、なんらかの法律相談を受けたことはない」と国会で答弁していた稲田氏だが、籠池氏が前出の菅野氏に「証拠はある」と蜂の一刺し。

「2004年12月に森友学園が起こした民事訴訟に、稲田氏が原告側の弁護士である夫の代理人として出廷した記録が出てきたんです。国会で“虚偽答弁”した形になった稲田氏は、完全ノックアウト。焦って“私の記憶に基づいた答弁で、虚偽との認識はない”と、逆に大臣の資質を問われるような発言をしてしまいました」(前出の全国紙記者)

 また、籠池氏が「2年前、稲田氏とお目にかかって話をした」と証言したのに対して、稲田氏が「記憶にない」と発言したことに、今度は籠池氏の夫人・諄子氏が噛みついた。

 塚本幼稚園の修了式で、「ちょっと頭にきたんですね。国会議員が国会で嘘ついて……ほんまにおニャン子ちゃんですよ。答弁でけへんかったら首相が助けたりして、そんなんで防衛でけへんやないですか」と、父兄を前にまくし立てたのだ。この、強烈なキャラの奥方の援護射撃も相まって(?)、野党からは稲田氏の辞任要求が殺到。

「もはや真偽すら定かではありませんが、証人喚問では、籠池氏から“稲田氏の法律事務所で小学校の認可の件も相談していた”という証言も飛び出しています。数々の“奇襲”をうまくかわせていない稲田氏の立場は、かなり厳しいですよ」(前出の政治部記者)

 だが、どうやら、事はそれだけでは収まりそうもない気配も出てきている。「籠池氏の反撃は続きそうです。もう一人、具体的な閣僚の名が浮上しているんですよ」(永田町事情通)

 籠池氏は、そのイニシャルを「S」と語っている。「ある大学関係者が森友学園に600万円寄付し、S氏の名前で金を出したと言うんです」(前同)

 現職の閣僚で、Sといえば菅義偉官房長官、世耕弘成経済産業大臣、塩崎恭久厚生労働大臣の3人。いずれも安倍首相の側近だ。事実なら政治資金規正法違反の疑いもあるというだけに、これまた政権のアキレス腱になりかねない。

 また、一連の疑惑の中心にいる安倍昭恵首相夫人の存在も、頭の痛いところだ。「野党側は昭恵夫人の参考人招致も求めているため、安倍首相としてはなんとかして事態を収拾したいところでしょう」(夕刊紙記者)

 そもそも、森友学園の問題で安倍首相に火の粉が降りかったのは、冒頭で述べた通り、昭恵夫人が問題になった小学校の名誉校長を引き受けていたからだ。「昭恵さんは人に頼まれたら断れない性格なので、受けたんでしょう。籠池氏が野党議員から自宅でヒアリングを受けていた最中、妻の諄子さん宛てに<幸運を祈ります>というメールを送ったりしていたようで、いい人ではあるんですが、自分の言動が何を招くかという思慮が足りないんですよ」(昭恵夫人をよく知る永田町関係者)

 いずれにせよ、野党側は、今後の展開によっては昭恵夫人への追及も辞さずというスタンスのようだ。

「政権と直接関係のない人ではありますが、籠池さんが昭恵さんを通じて、政治家への口利きを頼んでいたのではないかという疑惑を持たれている以上、当然、その延長線上に安倍首相、さらには稲田氏やS氏の顔もちらつき続けます。実際、政権支持率も大幅下落し久しぶりに5割を切りましたからね。与党としては、なんとか早めに幕引きしたいところでしょう」(全国紙政治部記者)

 しかしながら、この“籠池劇場”を見る限り、なかなか籠池氏が“黙る”とは考えにくい。そこで現在、官邸サイドでは、ある“ウルトラC”が検討されているという。

「本音では稲田氏たちを切りたいところですが、彼女を辞任させると、首相の任命責任も問われる。そこで、官邸では4月の解散・総選挙説が急浮上してきています。選挙で現内閣をいったん終わらせ、選挙後、清新なイメージの内閣で再起を図る考えです」(政治評論家の有馬晴海氏)

 このタイミングで総選挙を断行したら、自民党が議席を減らすことは確実。しかし、抜き打ち選挙で国民の目をそちらに向け、さらに野党に十分な選挙準備をさせない狙いもあるという。「現有議席は失うでしょうが、自民党政権が倒れることはないでしょう。森友学園問題が落ち着いた来年末あたりに、再び解散に打って出て勢力を回復という線はありえますね」(前同)

 来るぞ来るぞといわれ続けた衆議院解散。“籠池爆弾”が、ついに、その引き金となるのか。はたまた、菅野氏が「籠池さんは、内閣の2つや3つ飛ぶくらいの爆弾をまだ持ってる」と評したそれが炸裂するのか――。オッチャンの“ステゴロ劇場”、第2幕はいかに!?

安倍晋三政権を揺さぶる「籠池爆弾」の行く末

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