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巨人「4番ファースト阿部慎之助」で見えた優勝ロード 

[週刊大衆2017年04月24日号]

巨人「4番ファースト阿部慎之助」で見えた優勝ロード 

 主砲が打てばチームは勝つ。単純だが奥深い真理を証明するため、この男は右に左に華麗なアーチを架けてゆく!

 開幕から怒濤の連勝街道を突っ走った巨人。打線の中心・4番に座る阿部慎之助(38)が、打率.375、本塁打5、打点17(4月13日現在)と、鬼神のごとき活躍を見せている。巨人V9戦士で野球評論家の黒江透修氏も、阿部の打撃を絶賛する。

「下半身がしっかりしているから、泳がされたような外角低目の球もスタンドに持っていく。3~4年前の“いいとき”に戻った感じ。ファースト一本でやると気持ちを切り替え、下半身を鍛えたんだろうね」

 阿部自身も「キャンプでは、あまり好きではないウェイトをやった。長打を求められるし、それに対応できるように」とインタビューで語っており、その結果が出たということだろう。

 15年までの阿部は、豪打の捕手だった。2001年のプロデビューからマスクをかぶり、10年には44本塁打を記録。12年は打率.340、104打点の2タイトルを獲得し、本塁打も27本でバレンティンに4本差と準三冠王の成績で、MVPに選出された。チームも12年は交流戦、ペナント、クライマックスシリーズ、日本シリーズ、アジアシリーズを制し、完全優勝を達成。その後も阿部の活躍で13年、14年と巨人はセ・リーグ3連覇を果たしている。阿部の年俸もうなぎ上りで、14年は歴代日本人3位の6億円に達した。

 しかし、その後は急降下。15年は5億1000万円、16年は3億2600万円、今季は2億6000万円と、3年で3億4000万円のダウンとなった「14年オフに、たび重なるケガを理由に、阿部は捕手から一塁にコンバート。しかし、15年は相川亮二のケガで、開幕直後の4月3日に捕手に復帰。しかし、阿部自身もケガを繰り返し、結局、打率.242に終わった」(スポーツ紙デスク)

 高橋由伸監督が就任した昨16年、再び阿部は捕手として登録されたものの、右肩痛で出遅れ、一軍合流は、開幕から実に51試合目の5月31日だった。「結局、昨季は捕手としての出場はなし。これでようやく、ファーストで、と踏ん切りがついた」(前同)

 今年1月には、グアムでの自主トレに正捕手・小林誠司を帯同。小林はそこで阿部に、「なんでも全部教えてやるから。お前が変われば絶対勝てるようになるから」と告げられ、マンツーマンで、みっちりと帝王学を叩き込まれている。

 その後、3月に行われたWBCでの小林の活躍は、ご存じの通り。全試合で先発マスクをかぶり、日本代表選手の中で、最も高い打率を残すという劇的な成長を見せた。野村克也監督の下で打撃コーチを務め、優勝請負人として知られる伊勢孝夫氏は、3月31日開幕戦の小林のリードを、こうたたえる。

「配球には2種類あって、投手の良いところを引き出すか、相手の弱点を突いていくか。どっちかな、と見ていたら、良いところを引き出していたよな。一番いいボールを投げさせてた。マイコラスだと外のストレートやな。捕手は普通、一番いいボールっちゅうのは、ジョーカーとして使いたがるんだけど、小林はバンバン放らせてた」

 小林の躍進は、一塁専念を決めた阿部の覚悟のたまものと言っていいだろう。「慎之助もキャンプでは、よう振ってた。まだ打つんか? って聞いたら“ろうそくも最後は派手に火が燃えるでしょ。今年は、そのつもりでやりますよ”って言ってたよ」(前同)

 その言葉通り、開幕カードの中日3連戦で阿部は、打率.545、本塁打2本、打点8とド派手に大爆発してみせた。「開幕戦初打席で、中日のエース・大野雄大から放った第1号は、タイミングを外されながらも、体がしっかりと残っていたから打てた、阿部ならではの打球でした」(専門誌記者)

 敵将・森繁和監督は「投手は責められん」と言葉を絞り出し、テレビ解説を務めた原辰徳前巨人監督も、「自然体で、いい構えをしている。ツイスト打法で打ってるんです。非常に高等な技術」と、興奮を隠せなかった。ツイスト打法とは、打つ瞬間に腰を通常とは逆方向にひねり、体の開きを抑える打ち方だが、難易度が高く、使いこなせる選手はほとんどいないという。

 そして、阿部の今季第2号は4月1日の第2戦、劇的な場面で生まれた。中日の継投に抑え込まれ、1-2とリードされた巨人。9回表に守護神・田島慎二が登板し、ゲームセットと思われたが……。「1死から中井大介に代えて代打に漢・村田修一。ファンの思いを背負った村田がライト前ヒットを放つと、ドームは異様な雰囲気に包まれました」(ベテラン記者)

 続く立岡は一ゴロ。3番・坂本勇人が四球を選び、2死一、二塁の場面で阿部に打順が回ってきたのだ。

 カウント1-1からの3球目。低目の、見送ればボールになるフォークだった。阿部のバットが一閃すると、打球はレフトスタンドに飛び込む逆転サヨナラ3ラン。東京ドームは熱狂のるつぼと化した。「敗色濃厚な中、守護神から打ったサヨナラ弾の価値は計り知れない。あれこそ4番の仕事です。出迎えた高橋監督の笑顔でも分かりますね」(前同)

 阿部は翌4月2日の日本テレビ系『Going! Sports&News』の直撃取材で「打席に入る前に心がけていることは?」と問われ、「状況を把握していくことだけですね。できていたからこそ、ああいう(逆転サヨナラ3ラン)結果になった」と、サラリと答えている。己を過信することなく、淡々と答える姿には、まさに王者の風格があった。

 中日との第3戦でも、他球団のスカウトをうならせる一打が飛び出した。6回裏、先頭の3番・坂本が内野安打で出ると、続く阿部は吉見一起の初球、131キロの変化球にバットを合わせ、一塁線を破る二塁打。チャンスを広げ、続くマギーのタイムリーを呼び込んだのだ。「あの場面で最も必要なのは一塁走者を三塁に進めること。まさに状況を把握し、阿部はいとも簡単に、狙った通りの打球を打ったわけです。“ここまで思い通りにできるのか”“やっぱりすげえな”と、周囲で感嘆の声が漏れていました」(民放局記者)

 打棒だけでなく、リーダーとしての存在感も突出している阿部だが、07年から14年まで務めた主将は15年から坂本が受け継いだ。「坂本は昨季、自身初の首位打者を獲得し、黄金期を迎えつつある。主将としても“遠慮なく言うべきことは言う”と、自覚は十分。阿部も安心して任せています」(前同)

 主将は坂本、捕手は小林という後継者を得て、阿部のバットに磨きがかかった結果、巨人は抜群のスタートを切ることになった。「阿部のおかげで5番・マギーは楽に打てる。マギーが打てば、ポジションを争う村田の眼の色も変わり、競争が生まれます。だいたい、村田や亀井善行が代打なんて贅沢すぎます(笑)」(前出の専門誌記者)

 20歳の岡本和真を開幕スタメンで起用し、不調ならすぐに代えるなど、高橋監督の采配にも思い切りと幅が生まれている。「ギャレット、クルーズも控え、ケガの陽岱鋼が戻れば、豊富すぎるコマがそろう。先発陣も菅野智之、マイコラス、内海哲也、吉川光夫、大竹寛、田口麗斗に、ケガで調整中の山口俊。救援陣も森福允彦、マシソン、カミネロの新・方程式で、盤石です」(前同)

 “4番ファースト阿部”で、歯車が噛み合った巨人。秋に優勝の美酒に酔いしれる中心には、慎之助の輝く笑顔があるはずだ。

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