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日本・中国・韓国・北朝鮮「本当の戦争力」徹底分析

[週刊大衆2017年05月22日号]

日本・中国・韓国・北朝鮮「本当の戦争力」徹底分析

 金正恩の暴走により有事勃発の危機が噂される昨今。“甚大な影響”を受ける周辺国の「戦闘力」をマル秘レポートする!!

「いつ有事となってもおかしくはない。冷戦期でも、ここまで事態が差し迫ったことはなかった。自衛隊では陸海空とも、水面下では“その時”を意識した厳戒態勢が敷かれている」(防衛省関係者)

 極東を“戦雲”が覆っている。中心に座るプレーヤーは、もちろん北朝鮮だ。「米国のトランプ政権は、北朝鮮攻撃の条件を“ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験の強行”と“地下核実験の強行”に設定していますが、たとえば中距離弾道ミサイルの発射実験を行っても、武力行使に踏み切るかもしれません。北朝鮮の行動ひとつで、戦端が開かれる状況なんです」(全国紙外信部記者)

 北朝鮮はこれまで、ミサイルの発射実験や核実験を、各種国内行事に合わせて行うことが多かった。そのため、4月25日の「朝鮮人民軍創設記念日」に地下核実験が強行され、“紛争勃発のXデー”になるとの観測が流れた。「結局、過去最大規模の火力演習を行うに留めました。これは、北朝鮮としては精いっぱいの“強がり”。国内に向け、面目を保つ必要があったのでしょう」(前同)

 しかし、緊張は継続するといわれている。7月27日には、「祖国解放戦争勝利記念日」があるからだ。「この日は朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた日であり、北朝鮮では“祖国がアメリカ帝国主義に勝利した日”とされているため、米国との現状から鑑みても、この日に行動を起こす可能性は高い」(外務省関係者)

 さらに、8月15日の「祖国解放記念日(光復節)」、9月9日の「建国記念日」、10月10日の「朝鮮労働党創立記念日」と、北朝鮮国内では重要行事が続くため、予断は許されない。「米軍は、アルカイダの首魁だったビン・ラディンの遺体を水葬した原子力空母『カールビンソン』を極東に展開しています。さらに、北の軍事施設を同時多発的に猛撃できる巡航ミサイルを搭載原子力潜水艦も遊弋(ゆうよく)させています。これは分かりやすい“威嚇”です。さらに、トランプ大統領と安倍晋三首相が頻繁に電話会談を行っているのも、“日米で連携はとれている”というメッセージでしょう」(前出の記者)

 北朝鮮の最高指導者である金正恩氏も、こうした状況は理解していると思われるが、現在のところ、“米朝間のチキンレース”から降りられないでいる。「国際外交を読み解くために用いられるゲーム理論でいうと、チキンレースにおける“ナッシュ均衡(合理的選択)”は、(1)両者とも勝負を降りず行動がエスカレートしていく、(2)両者とも同時に勝負を降りる――の2つしかありません。したがって、今回の緊張の帰結も、そのどちらかになるはずです」(軍事記者の黒鉦英夫氏)

 (2)の選択が実現するためには、北朝鮮をこれまで“後見”してきた中国の積極関与が不可欠となる。「4月の米中首脳会談で、トランプ大統領は習近平国家主席に対し、北朝鮮を説得するよう強く要請したと伝わっています。これがうまくいけば、軍事的緊張はピークを脱するはずです。ただ、米国を潜在的に敵視する中国側が、どこまで“説得役”の務めを果たせるか、疑問が残りますね」(前出の記者)

 話し合いによる解決が失敗に終わった場合、チキンレースの結末は「行動がエスカレートする」しかない。その場合は、「(北朝鮮が)一線を越える行動をとった瞬間に、米側が主要軍事施設を巡航ミサイルで一斉攻撃し、金王朝は崩壊する」(黒鉦氏)という。

「ただし、攻撃開始後すぐに金正恩氏を“除去”できなければ、在日米軍基地に弾道ミサイルが発射されたり、大口径の火砲が韓国のソウルに向け、火を噴くことになるでしょう」(前同)

 日本に飛んでくる弾道ミサイルが数発程度ならば、「自衛隊は100%撃墜できる能力を有している」(前出の防衛省関係者)というが、韓国は甚大な被害を受けることになるという。

「韓国の人口の4分の1が集中し、約1000万人が暮らす首都ソウルは、南北の軍事境界線である北緯38度線からわずか40キロのところにある。これは東京でいうなら、日本橋から八王子までの距離に等しい。北朝鮮は、軍事境界線付近に長射程の火砲の8割を集中させているといわれているため、これが一斉に発射されれば、ソウルには砲弾の雨が降り注ぐことになる。弾道ミサイルと違って、旧式の火砲の砲弾を迎撃する手段はないので、ソウルは壊滅的な打撃を受けてしまう」(前同)

 大手メディアの報道では、「日本危うし」が喧伝されている。もちろん、それ自体は正しいのだが、一部で見られる「韓国より日本が危ない」という報道は、完全な誤りだろう。

「日本は四方を海に囲まれているので、主たる脅威は弾道ミサイル。これは飽和攻撃(迎撃能力を超える数のミサイル乱射)されなければ、現在の技術で十分に迎撃可能。有事勃発後の難民の流入に関しても、最も深刻なのは、陸続きの韓国と中国北東部だ」(同)

 北朝鮮有事が勃発した場合、周辺国では、韓国、中国、日本の順で予想される被害が大きくなるわけだ。武力行使の尖兵となる米国は、「工作員によるテロを除けば、現段階では本土の安全は100%に近い」(前同)というから、軍人だけの被害にとどまりそう。

 トランプ政権になって米国が“世界の警察”に復帰したことで顕在化した北朝鮮クライシス。ここからは、極東有事で大きな影響を受ける日本、中国、韓国、北朝鮮の軍事力を分析しつつ、その本当の実力とでも言うべき“戦争力”をレポートしていきたい。

 まずは、我が日本から。「専守防衛を旨とする日本は、生命線であるシーレーンの安全確保と、領土、領海の保全が戦略目標です。顕在化している課題は、海を越えて飛来する北朝鮮の弾道ミサイル防衛と、尖閣諸島を含む南西海域にちょっかいを出している中国に対する備えです」(黒鉦氏)

 陸海空自衛隊の総兵力は約24万人。米軍が使用する装備と、国産開発した高性能装備で武装している。「完全志願制ですので隊員の士気、教育レベルとも高水準にあります。冷戦時は北方から侵攻してくるソ連軍の迎撃が主任務でしたが、現在は島嶼防衛や対テロ戦など、あらゆる事態に対処できる組織に変貌しつつあります」(軍事ジャーナリストの竹内修氏)

 具体的には、“日本版海兵隊”とも言える水陸機動団が、2017年度中に陸上自衛隊で新設される。さらに、抜群の機動力と輸送力を誇る垂直離着陸機オスプレイや、戦闘員を乗せて上陸が可能な水陸両用車AAV7の導入が進んでいる。「これで日本の離島防衛能力は大きく向上するので、尖閣や沖縄を狙う中国への備えになる」(幹部自衛官)

 離島防衛には、制空権を巡る戦闘や各種艦艇による海上戦闘も付随する。「航空自衛隊の主力戦闘機であるF-15は、イスラエル軍や米軍が実戦投入して無類の強さを発揮した名機。また、最新鋭のステルス戦闘機F-35の導入も始まっています。さらに、現代の空戦には不可欠な早期警戒管制機、空中給油機といった、フォース・マルチプライヤー(戦力倍増装置)も、周辺国の中では日本が最も戦力が整っています」(竹内氏)

 早期警戒管制機とは、空中から友軍戦闘機に敵機の位置情報などを提供する“空飛ぶレーダーサイト”のことだ。「世界最強の米空軍との訓練も行っており、中国空軍と空戦になっても確実に勝利できる」(空自関係者)

 海戦はどうか? 「6隻のイージス艦に“和製イージス”と呼ばれる『あきづき』型護衛艦、世界最強の『そうりゅう』型潜水艦を擁す海軍力は極東どころか、世界屈指の実力といえます。急ピッチで近代化が進む中国海軍も、いまだ、海上自衛隊の敵ではありません」(黒鉦氏)

 海外の軍関係者も、海自の実力を高く評価しているという。「海自は米海軍との共同訓練を頻繁に行っておりますが、米海軍は海自と英海軍の技量を、同盟国の中でも最も高く評価しています」(竹内氏)

 ただ、そんな自衛隊にも弱点はある。慢性的な人員不足だ。「中国、韓国、北朝鮮と比べると圧倒的に兵力が少ない。中韓北の3か国が有事の際に動員できる予備役を100万人以上も抱えているのに対し、自衛隊はたった6万人です。長期戦は不利になりますね」(前同)

 さらには、こんな制度上の不備もある。「戦闘機パイロットや艦艇の乗組員といった高度な専門教育を受けた隊員が、除隊後に予備自衛官に採用されていないため、有事が長期化した際の不安要素となっています。米軍などでは、戦闘機パイロットなどが除隊して民間航空会社などに就職しても、有事の際は召集されるシステムがある。これは世界の軍隊では常識です」(前同)

 自衛隊は、少数精鋭で戦闘に臨み、短期決戦で確実に勝利することが宿命づけられているのだ。

 続いて、総兵力233万人と、世界一の威容を誇る中国軍を見ていこう。「陸軍主体の軍隊で、“質より量”の人海戦術を採用していた時代は、過去のものとなった。現在は海空軍の近代化を進めており、自衛隊と遜色ない装備も増えている。総合戦力では、自衛隊は中国軍にかなわない」(前出の防衛省関係者)

 有名な軍事格付け会社『グローバル・ファイアー・パワー』の最新ランキングでも、中国は米ロに次ぐ堂々の世界第3位にエントリー。自衛隊は、インド、フランス、英国に次ぐ第7位となっている。

「かつては旧ソ連の兵器をコピーしたものが大多数を占めていたが、現在は05式水陸両用歩兵戦闘車など、独自の技術を用いて開発された国産兵器の数が増えている。これらは、米軍と近代戦を戦うことができるものだ」(前同)

 ただ、陸軍主体の国家だっただけに、海空軍には弱点も少なくない。「近代的な護衛艦も就役しており、見かけだけは外洋海軍です。ただ、近代海軍を運用した経験が不足しているため、将兵や戦術のレベルは米海軍、海自に遠く及びません。空軍も戦闘機数はダントツですが、早期警戒管制機などの支援機は質、量ともに満足できるものではありませんね」(黒鉦氏)

 総力戦では勝てないまでも、局地的な海戦、空戦ならば、まだ自衛隊に軍配があがるという。また、空母についても疑問符がつくという。

「旧ソ連のスクラップを買って改修した空母『遼寧』は、“張子の虎”です。現在建造中の国産空母も、米軍のようなカタパルトはないとされているため、搭載できる戦闘機数は少なくなるはずです」(前同)

 実は海上自衛隊にも“空母”がある。全長248メートル、哨戒ヘリを14機搭載可能な「いずも」型護衛艦だ。海自はあくまで護衛艦と呼んでいるが、これは“立派な軽空母”だという。

「海外の軍関係者は、“近い将来、確実に軽空母に改修される”と考えています。実際、垂直離着陸可能なステルス戦闘機F-35のBタイプを10~18機搭載できるはずです」(竹内氏) 驚くなかれ、日本は“隠れ空母保有国”だったのだ。

 続いて韓国軍。「近代兵器をそろえているため、北朝鮮軍に対しては圧倒的優位にありますが、北朝鮮軍は、旧式の火砲だけでソウルを火の海にできるため、戦術的には優位に立っていますね」(黒鉦氏)

 もうひとつ、兵器開発が韓国軍のアキレス腱。「国産のK-2戦車ではトラブルが続出。海軍では強襲揚陸艦『独島』をレーダーが不具合のまま就役させています。空軍でも、技術力不足から戦闘機の整備をする際に、他の機体からパーツを取り外して使用する“共食い”が横行しているようです」(前同)

 最後に、極東に緊張をもたらす元凶である北朝鮮軍の実力を見てみよう。「ソ連崩壊までは、ソ連、中国から兵器を安価に提供されていたため、戦闘機や戦車、潜水艦などの通常戦力においても、当時の韓国軍と互角に戦えるだけの能力を持っていました。しかし、冷戦終了後はこうした供与が途絶えたため、通常戦力の更新がほぼ不可能となったんです」(竹内氏)

 つまり現在は、陸海空軍とも、ひと昔前の装備で固められた“オンボロ軍隊”ということだ。「そこで北朝鮮は、核兵器や弾道ミサイル、ソウルを砲撃できるロケット弾や大口径砲といった、戦車や戦闘機などに比べて安価な兵器の開発に没頭していったんです。これらの分野の成長のみに“全張り”したため、極めていびつでありながらも、仮想敵国である韓国とアメリカに、大きな脅威を与えることができる軍隊になりましたね」(前同)

 核兵器や弾道ミサイルといった“剣呑な装備”の開発のみに邁進する北朝鮮。その命脈が今、尽きようとしている――。

日本・中国・韓国・北朝鮮「本当の戦争力」徹底分析

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