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小池百合子都知事と北朝鮮「7月Xデー」の正念場

[週刊大衆2017年06月05日号]

小池百合子都知事と北朝鮮「7月Xデー」の正念場

 首都東京のトップを務める“女傑”と“北の独裁者”――両者は奇しくも同時期に、運命の時を迎えるという!!

 小池百合子都知事が、間近に迫った“決戦の時”を前に奔走している。「ここ最近は連日、7月2日に投開票される都議選の準備に追われています。都知事の業務が終わると、自らが率いる地域政党『都民ファーストの会』の候補者の最終調整に没頭しています。ミーティングは深夜に及ぶこともありますが、小池さんは疲れを見せず意気軒昂。都議選に、それだけ賭けている証拠でしょう」(全国紙都庁担当記者)

 実際、都民ファーストの会こと“小池党”の勢力はすさまじい。それは、42名を公認候補(5月18日時点)として擁立することからもよく分かる。「候補者は、小池さんが主宰した政治塾の受講生が中心です。元民放局女子アナ、歌手、自衛隊OB、弁護士など、多士済済ですよ」(前同)

 候補者の多くは政治経験のない“素人筋”と見ることもできるが、実は、議員経験のある公認候補も少なくない。「民進党、自民党を抜けて小池新党に合流した方々がいるからです。これらの候補者は、都民ファーストの会から公認、もしくは推薦を受ける形になりますが、現段階で民進系15名、自民系10名となっています」(都議会関係者)

 フレッシュな顔と議員経験者の連合で、都議会でも与党である自民党を駆逐しようというのだ。「定数3の豊島区の例が分かりやすいですが、これまでは、この3枠を自民、公明、共産で分け合っていたわけです。ところが今回は、ここに都民ファーストから候補者を出して自民を落とす。これが“小池流の選挙”です。他にも、こういう選挙区はいくらでもありますよ」(政治評論家の安積明子氏)

 また、長らく中央政界で自民党と連立を組む公明党とも、都議選ではがっちりスクラムを組んでいる。「公明党は都議選で23人を公認する予定ですが、それら候補者のすべてが“都民ファーストの会推薦”を取りつけています。都議会公明党は、中央政界とは異なり、独自路線を取る格好となったため、原則、自民党候補者の票の“下支え”はなし。これは、自民党が公明党の支持母体である創価学会の組織票を失ったということです」(前出の都議会関係者)

 選挙でも小池旋風が吹けば、公明党との合算で、定数127議席の都議会の過半数を押さえることは可能だという。

「都民ファーストの推薦公認候補者は、現状、5つの会派にまたがっていますが、これが選挙後に政策協力できれば、小池都政が本格化するでしょうね」(前同)

 まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの小池新党。ただ、これをなんとか切り崩そうとしているのが政府・自民党だ。「都知事就任以降、自民党都議の内田茂さんを“都議会のドン”、都議会自民党を抵抗勢力に仕立て、小池劇場を展開してきた小池さんですが、ここにきて新味が薄れ、陰りが見え始めているのも事実です」(同)

 これを受けて、自民党も反撃に転じている。「13日に開かれた自民党都連の決起集会では、60人の都議選候補者を前に、安倍晋三総理が“急に誕生した政党に都政を支える力はない!”と、ビデオメッセージで檄を飛ばしました。安倍総理の盟友、下村博文都連会長も、“新たな流れができつつある”と気炎を上げています」(前出の記者)

 小池知事の失速を象徴するのが、都の五輪費用負担を巡るバトルが事実上の決着を見たことだ。「小池知事は当初、“東京都が2020年の東京五輪の都外競技会場の仮設整備費を負担するのは不可能”とたんかを切っていたが、結局、都が全額負担することをのんだ。威勢がいいのは最初だけ。そろそろ、馬脚を現してきたんじゃないか」(自民党都議)

 とはいえ、「いまだ世論は小池応援団が多いので、都議選では一定の勝利を収めるはず」(前同)とされ、“本当の山場”は都議選後にやってくるというのだ。「過半数を得て足場が固まった7月下旬に、小池さんは政治生命を賭けた“決断”を下さなければなりません」(都議会関係者)

 決断とはもちろん、豊洲新市場移転問題に決着をつけることだ。「小池さんは、賛否が分かれる新市場問題をずっと先送りにし続けています。当初は都議選のアジェンダ(議論テーマ)にしようとしていましたが、これも見送る模様です。小池さんの意を汲んだ都の市場問題プロジェクトチームは、築地市場を再整備して存続させ、豊洲市場の施設を解体し、跡地を民間業者に売却する案を出しています。ただ、豊洲を断念したうえに、赤字を出さずに築地を再整備するなんて絵空事に近い。議会でも、豊洲移転容認派が半数を超えてきていますからね」(前同)

 新市場を巡る決断は、小池知事の文字通りの正念場となるのだ。

「小池さんは、4年後の国政進出を目標にしています。最終ゴールは、総理大臣の椅子でしょう。ということは、かつての石原慎太郎元都知事と同じ野望を抱いているということ。都民ファーストもいわば“小池追っかけ部隊”ですから、彼女としては、どこかで尻尾切りして、自分はもっと上にステップアップしたいはずです。これまでの政治人生も、そうでしたからね」(前出の安積氏)

 女性総理の座を狙う都知事が、政治家人生を左右する決断を下す7月下旬、奇しくも北朝鮮情勢が緊張のピークを迎える。「現在、北朝鮮は田植えの時期なので、軍人もみんな田植えをしています。ただ6月25日の朝鮮戦争開戦記念日から7月27日の休戦記念日までは、伝統的に北の“反米月間”なんです。この時期に何か事を起こす可能性は高いと言えます」(『コリア・レポート』編集長の辺真一氏)

 7月27日は、「祖国解放戦争勝利記念日」と命名されており、北朝鮮が“米帝”を打ち破った偉大な日とされている。今年2月にマレーシアで異母兄の金正男氏が暗殺されて以降、緊張状態が続く北朝鮮情勢。特に、米朝間は一触即発の状態が続き、アメリカのトランプ大統領は「武力行使も辞さない」ことを表明している。

「トランプ政権が軍事行動に踏み切るのは、北朝鮮が核実験と米本土に届くICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を強行した場合と予測されています。現在は、武力衝突を回避するべく、中国が北朝鮮に圧力をかけている最中です。8、9日の両日には、米朝の高官がノルウェーで非公式の会談も行っています」(全国紙外信部記者)

 しかし、米朝会談直後の14日、北朝鮮は今年6度目となる弾道ミサイルの発射実験を強行、事態は再び緊迫の度を増している。「14日に発射されたのは、北朝鮮国内で『火星12号』と呼ばれる弾道ミサイルで、最大射程は4000キロ超と推測されています。最大射程3200キロとされるムスダン(火星10号)の技術を基に、改良発展させたものという分析もあります」(軍事記者の黒鉦英夫氏)

 射程4000キロといえば、米軍基地のあるグアム島を射程に収める。「火星12号は、弾頭重量と射出する角度を調整すれば、最大射程6000キロを超えるとする専門家もおり、その場合は米本土のアラスカ州の都市に到達します。ただ、北朝鮮はこれがICBMではないことを米側にアピールしたかったのか、ロフテッド軌道で発射実験を行いました」(前同)

 ロフテッド軌道による発射とは、極端に言えば、弾道ミサイルを垂直に近い状態で打ち上げ、超高々度の宇宙空間に到達させ、そのまま地上目標に対し真っ逆さまに落下させる技術だ。

「この軌道の利点は2つあります。途方もない高度に到達するため、イージス艦のSM3艦対空ミサイルによる迎撃が困難なこと。加えて、超高々度からすさまじい速度で地上に落下してくるため、PAC3地対空ミサイルでも迎撃が困難なことです」(同)

 我が国は、弾道ミサイルを“2段階”で撃墜する態勢を取っている。防衛省関係者が説明する。

「弾道ミサイルには、発射から宇宙空間に到達するまでのブースト段階、惰性で宇宙空間を飛翔するミッドコース段階、大気圏に突入し落下してくるターミナル段階の3つの段階があります。イージス艦のミサイルは、ミッドコース段階での迎撃を想定しています。これで撃ち漏らしたら、ターミナル段階でPAC3が迎撃するんです」

 ただ、ロフテッド軌道を取った火星12号は、高度2000キロに到達したため、SM3の最大射程500キロ(推定)では迎撃不可能。「現在、高性能化したSM3ブロック2Aを日米共同開発中ですが、これとて最大射程は1000キロ程度です。火星12号は日本にとって大きな脅威となります」(軍事誌記者)

 こうした剣呑な弾道ミサイルを、北朝鮮は用途別に各種取りそろえている。「短距離ミサイルはスカッド、中距離はノドン、ムスダン、テポドン1号、長距離を飛ぶICBMはテポドン2号とその改良型があります。さらに、発射前の兆候が捉えにくい潜水艦発射式の弾道ミサイルも、実戦配備している可能性があります」(前出の黒鉦氏)

 各ミサイルの名称は、北朝鮮国内で発表されているものと異なるので、最終ページの表を参考にしていただきたい(ちなみに、北朝鮮では弾道ミサイルに「天体の名称」をつけることが多い)。

「まさに弾道ミサイルの見本市とも呼べる充実ぶりですが、最高指導者の金正恩氏が最も完成させたいのは、米政経中枢のワシントンを射程に収められるテポドン2号改でしょう。これは、米国民にとって“直接の脅威”となるからです。だから、トランプ大統領はICBMの実験だけは許さないとメッセージを送っているんです」(前出の軍事誌記者)

 それでは、北朝鮮が“ご法度”のICBMの発射実験に踏み切る可能性はあるのだろうか?

「キーワードは軍の長老派です。彼らは政府高官の非公式な外交交渉を弱腰だと非難することが多い。これは、金正恩氏がいまだ軍部を完全に掌握できていないからだといいます。火星12号を14日に発射したのも、その5日前の米朝の政府高官の秘密交渉の内容に腹を立てた軍幹部が、正恩氏に強行を具申したためともいわれています。正恩氏が軍部の暴走をどう抑えられるか……この一点に北朝鮮の命運はかかっているのではないでしょうか」(前出の外信部記者)

 今年は、“激動の文月”となりそうだ――。

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