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安倍晋三政権が奏でる「崩壊の序曲」 

[週刊大衆2017年06月12日号]

安倍晋三政権が奏でる「崩壊の序曲」 

 “新証拠”が次々と噴き出し、拙速な採決へのブーイングも。東京五輪、そして改憲を目指しグイグイ邁進する超長期政権のはずが、ここへきて一転危機!

 長らく“最強政権”と呼ばれてきた安倍晋三内閣に、今、かつてない勢いで暗雲が垂れ込めつつある。“第2の森友学園”と一部で囁かれていたある問題が、急展開を見せたのだ。

 安倍首相みずから「腹心の友」とまで言う親友・加計孝太郎氏が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)に対し、今年1月、大学の獣医学部新設が認められたことに関して、文部科学省内部で作成されたと見られる文書を入手した朝日新聞が、5月17日に1面トップで報道。それによると、文書には、「総理のご意向」などと、森友疑惑では出なかった安倍首相直の関与を裏づける内容の記載があったという。

 この新学部は愛媛県今治市に来年4月開校予定だが、そのための36億円相当の土地を、今治市は加計学園に無償譲渡。さらに建設など総コスト192億円の約半分96億円も、自治体からの補助金でまかなわれる。もちろん、この決定が適切なものなら問題はない。

「が、そもそも日本獣医師学会は“獣医学部や学科には教育水準の安定のため定員があり、学部新設は必要ない”と反対していた。そこへ、安倍首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議が、地域振興のための特例ということで52年ぶりに新設を認めたのです。許可申請の受付はたったの8日間で、また、加計学園より人材豊富な京都産業大学も申請を検討していたが、なぜか募集枠に制限が加えられ断念。結局、許可申請したのは加計だけでした」(全国紙社会部記者)

 この経緯が疑惑を呼んでいたところに、前述の「総理のご意向」文書が登場。松野博一文科大臣は「文書の存在を確認できなかった」と否定、菅義偉官房長官は存在は認めつつも「怪文書」と断定してやり過ごそうとした。だが、5月22日の参議院決算委員会で、共産党の小池晃書記局長が「政府関係者から入手した」として、募集そのものが出来レースだったとする新たな文書を披露。改めて徹底調査を要求したのだ。

「全員の言うことが食い違う中、追い打ちをかけるように5月25日、1月に辞任した前川喜平前文科省事務次官が、報道番組や週刊誌の取材に、“総理の意向”文書を“本物だ”と認めました。ついこの間まで文科省のトップだった人物の、この“一刺し”は、かなり重大ですよ」(民放局記者)

 ところで、この加計学園、安倍首相だけでなく、またもやアッキーこと安倍昭恵夫人の関与が判明している。「昭恵さんは、加計学園系列の認可外保育施設でも名誉園長に就任。さらに、“他にもすごくいい教育をしている学校がある”として、森友学園の籠池理事長(当時)と職員に、加計学園の保育所、系列小学校を見学させていたんです」(前同)

 一連の疑惑の始まりとなった森友学園も首相にとってはいまだに悩みの種。「証人喚問で決定的な証拠が出ず、“潰した”と思っていた籠池氏が、不死鳥のごとく復活。さらなる“新証拠”が続々出てきたんです」(前出の社会部記者)

 籠池氏は、民進党の真相究明チームに、財務省とのやりとりの中で職員が“(認可は)特例”と言っている録音やメールなどを公開。「その結果、籠池証言が少なくとも虚偽でないだけでなく、公有地をタダ同然で森友学園側に譲渡するため、財務省側が“大量の産廃が出た”と偽の報告までしていた可能性が浮上してきたんです」(前同)

 どうにも、首相側の旗色が悪くなってきたようだ。当然ながら、両学園に払い下げられたり、譲渡された公有地は国民の財産。そこに落ちる補助金も、もとはと言えば税金だ。それらが時の権力者の“お仲間”だからといって、無条件に特定の事業者に渡ったとなれば、これは由々しき事態

 こうした疑惑で国民から疑いの目を向けられる中、首相はやらかしてしまった。言論や思想の自由を侵害するとして、過去3度も廃案になった「共謀罪」法案(組織犯罪処罰法改正案)が、野党の反対を押し切って強行採決され、5月23日に衆議院を通過したのだ。

「これから参議院に移り、政府は国会会期末(6月18日)までの成立を目指していますが、審議を尽くさないまま数の力を背景にした採決に、野党をはじめ全国の自治体や一般市民からも“反対”の声が続々噴出中です」(前出の民放局記者)

 共謀罪は、犯罪行為を「共謀した」という認定さえできれば、現行犯はおろか証拠すらなくとも強制捜査や逮捕ができる法律。昨今の世界情勢を背景に、政府は「テロ等準備罪」と呼称を変え、国際犯罪組織の取り締まりを定めた「パレルモ条約」の批准に必要不可欠として成立を目指した。

 だが、本法案に反対の立場を取る弁護士の堀敏明氏は、こう語る。

「そもそも、パレルモ条約はテロ対策とは無関係です。この条約はマフィアの資金洗浄など国際的な経済犯罪の取締りが目的で、日本政府もこれを認めています。安倍政権だけが“テロ対策に必要な条約で、共謀罪がなければ批准できない”と嘘に嘘を重ねているんです」

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏も、この共謀罪の内容の曖昧さを指摘する。「政府は共謀罪の一般国民への適用はないと言いますが、どういう基準で一般人とテロリストを判別するのかは不明。この法律が成立して2~3年もすれば、一般国民に適用される可能性は、いくらでもあります」

 実際、この法案を“戦時中、思想犯などの弾圧に使われた治安維持法の再来だ”とする批判もある。そうした懸念に対する説明責任を果たさず採決したことで、国民に大きな不信感を抱かせてしまった。

「採決前の世論調査では、77%の人が“説明不足”と答えていました。これを無視してしまったわけですから、代償は大きいですね。さらに、あろうことか、強行採決が行われた23日は、港区の東京プリンスホテルで首相の出身母体である自民党清和会(細田派)の政治資金パーティが予定されていました。金集めに間に合わせるため議論不十分のまま採決したのだとしたら、国民をナメすぎですよ」(民放局記者)

 加計学園、森友学園、共謀罪と、説明不足を棚に上げて拙速に突き進む安倍政権に、自民党内からさえ「官邸は思い上がっている」との声が出始めているという。ここ最近おとなしかった石破茂元地方創生大臣が、自派閥のパーティで「未来永劫続く政権は絶対にない」と、総裁選出馬の狼煙を再び挙げたのを皮切りに、野田毅氏、村上誠一郎氏といったベテランも、税制問題の勉強会という名目で会合を待ち始めている。

「5月3日、安倍さんが読売新聞のインタビューと、改憲を目指す団体の会合に寄せたビデオメッセージで、これまでの経緯を無視して“改正憲法は東京五輪開催20年施行を目指す”などと個人的に言及したことが象徴的ですが、権力を頼みに個人的な好みや思いを実現し、プロセスなどすっ飛ばせばいいという考え方は、さすがに党内でも敵を作っています」(前出の角谷氏)

 そして、もう一つ、安倍首相は大きな地雷を踏んでしまった。

「天皇陛下の生前退位を巡って、その制度化を求める陛下の意向を無視して“一代限りなら認める”という上から目線の結論を押しつけたり、政府の有識者会議で、“天皇は祈ってだけいればいい”という発言が出るなど、皇室軽視の本音が目立ち始めました。これを契機に、安倍政権は従来の支持層からも見放される可能性があり、ひいては憲法改正の行方にも大きく影響しかねません」(民放局記者)

 まさかの“最強政権”の高転びもありうるのか。角谷氏は、その可能性は「現状では非常に低い」と語るが、一寸先は闇。加計学園の“内部文書”の流出経路に関して飛び交う不穏な噂からは、“まさか”がある可能性も匂ってくる。

「あの文書は、なんでも官邸主導で決められることに反発した官僚のリークという見方もあるんです。文書を“本物”と証言した前川前事務次官は、そもそも官邸が“お墨付き”を与えたような文科省職員の天下りが発覚するや、トカゲの尻尾切りのように責任を押しつけられて辞任した人物。次は我が身と思っている官僚も多いはずです。“伏魔殿”である霞が関が牙をむけば、さらなる爆弾が炸裂してもおかしくありません」(全国紙政治部記者)

 長期政権の“ゆるみ”が指摘されてきた安倍内閣。崩壊への最後の一押しは、首相自身の“ゆるみ”になるのかもしれない。

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