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由伸巨人に必要な「第2の新浦」の出現【二宮清純の「スポーツ一刀両断」】

[週刊大衆2017年07月03日号]

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 13連敗以上した球団は今季の巨人を含め、のべ11チーム(9球団)あるが、そのうちの8つが最下位。Aクラスに滑り込んだ球団はひとつもない。今季、高橋由伸率いる巨人が5月25日から6月8日にかけて球団連敗記録を塗り替えるまでのワーストは1975年、長嶋巨人1年目の11だった。

 この年、巨人は47勝76敗7分、勝率3割8分2厘という惨憺たる戦績で、球団史上初の最下位に沈んだ。しかし廃墟の中にも光はあった。その後、長嶋巨人を背負って立つサウスポーに一本立ちの目処が立ったのだ。「地獄を経験したからこそ、天国を知ることができたんですよ」。新浦壽夫はそう語るのだ。

 球は滅法速いがノーコン。ボールの行方はボールに訊いてくれ。若き日の新浦はそんなタイプだった。「このノーコンボーイを一人前にしない限り、巨人に栄光は戻ってこない」。長嶋の決意は固かった。負けても負けても、ピッチャー新浦。この年、37試合に登板して2勝11敗。「何でまたオレを使うんだ」。ベンチを恨んだこともあったという。

「当時の後楽園はブルペンに行くには客席の前を通らなくちゃいけない。これが苦痛でした。“オマエなんかやめちまえ!” 僕も頭にきて、つい言い返しましたよ。“オレだって投げたくて投げてるんじゃないんだ。文句があるなら監督に言え”ってね」

 球は速い。カーブの曲がりも悪くない。にもかかわらず、なぜ打たれるのか。なぜ勝てないのか。「アウトローの真っすぐのコントロールが悪いからや」。アドバイスをくれたのは現役にして名人の域に達していた江夏豊(当時・阪神)である。

 翌76年のV奪回は新浦の大車輪の活躍なくしてはありえなかった。50試合に登板し11勝11敗5セーブ。77年も44試合に登板し11勝3敗9セーブの好成績でV2に貢献した。

 お先真っ暗な由伸巨人から“第2の新浦”は現れるのか。麦は踏まれて強くなるというが、そんな若手の出現が待たれる。

二宮 清純 (にのみや せいじゅん)
スポーツジャーナリスト。(株)スポーツコミュニケーションズ代表取締役。1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開中。「スポーツ名勝負物語」「勝者の思考法」「プロ野球“衝撃の昭和史”」「最強の広島カープ論」「広島カープ 最強のベストナイン」など著書多数。スポーツ情報サイト「SPORTS COMMUNICATIONS」:http://www.ninomiyasports.com/

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