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藤井聡太四段、将棋界の新星の「強さの秘密」

[週刊大衆2017年07月10日号]

藤井聡太四段、将棋界の新星の「強さの秘密」

 史上最年少の14歳2か月でプロ棋士となり、快進撃を続ける“天才少年”。そのルーツは意外なところにあった!

「彼の登場は将棋界において、“黒船の来航”と言っても過言ではありません」 熱い口調でこう語るのは、数々のプロ棋士たちの勝負を40年間、撮影してきた将棋写真家の弦巻勝氏だ。古き慣習に風穴を開ける黒船の来航のごとく、今、棋界を戦々恐々とさせている“彼”とは、史上最年少の14歳と2か月でプロ入りし、非公式戦ながら天才棋士・羽生善治三冠も破った藤井聡太四段のことだ。プロ入りしてから負け知らずで、6月26日には29連勝を達成。公式戦連勝記録の新記録を樹立した。残念ながら30連勝とはならなかったが、その実力は十分に証明されたといえるだろう。

「将棋の強さだけではなく性格的にも、とても14歳の少年とは思えない落ち着きぶりなんです。インタビューでも“望外の喜び”とか“僥倖”など、難しい言葉を口にするんですよね」(将棋連盟関係者)

 今回は、そんな天才中学生・藤井四段の“強さの秘密”を探っていきたい。まずは、その強さのルーツについて。将棋の世界は現在、パソコンのソフトがプロ棋士を打ち負かす時代。ゆえに、昨今は将棋ソフトで勉強するのが一般的だが、意外にも藤井四段は、昔ながらの“アナログ的”な練習で業を磨いていたのだ。「彼の名前が棋界に知れ渡ったのは“詰将棋解答選手権”。小学2年生のときに、プロ棋士もなかなか解けない難問を、90分の制限時間を半分以上残したまま全問正解したんです」(前同)

 天才と言うほかない早熟ぶりだ。詰将棋をパズル感覚で楽しむ人も多いと思うが、実は藤井四段の天才的な打ち方も詰将棋が原点だったのだ。彼はひたすら、その詰将棋で腕を磨いていったのだという。本誌詰将棋コーナーの出題者である佐藤義則八段は、こう語る。

「詰将棋が強いということは、“詰む形を読むのが早い”ということ。実践においては終盤に入ったとき、相手よりも先に王手をかける形に持っていく力が優れているんです。藤井さんは小さい頃から詰将棋に親しんできたので、先を読む力も鍛えられたんだと思います」

 しかし、完全なアナログ派ではないという。「藤井君はプロになる直前の奨励会三段の頃は、決して百戦錬磨ではなかった。成績も13勝5敗。特に、序盤から中盤の流れを作るのが苦手だったんです」(前出の連盟関係者)

 そこで藤井四段が利用したのは、将棋ソフトだ。「将棋の学び方も他の棋士と違いますよね。藤井さんより前の世代は、先輩に教わったり、本を読んで、定石を勉強してきたんです。ところが藤井さんは詰将棋から始まり、現代の武器とも言える将棋ソフトも使いこなす。学び方のルーツも今までの棋士とは異なっているんです」(弦巻氏)

 冒頭で述べた“黒船の来航”とは、まさにこのこと。考え方にも、ジェネレーションギャップはある。「将棋界の重鎮たちの中には“将棋ソフト”に対して一種の偏見を持つ方も多いんですね。なぜなら将棋の美学や作法、礼儀がコンピューターにはないからです。その点、藤井さんは現代っ子。相手がコンピュータでも、違和感なく受け入れられたんでしょう」(前同)

 詰将棋で培った先を読む力に、膨大な情報量を持つ将棋ソフトに対応する能力が加われば、まさに鬼に金棒。非の打ちどころのない天才棋士が誕生したのだ。

 これまでにも、羽生三冠や谷川浩司九段など、中学生でプロ棋士となった天才は何人か存在するが、「私は若い頃の羽生さんや谷川さんの将棋も見てきましたが、当時はお二人とも序盤が結構、雑だったんですね。ただ、そこは天才ですから、後半で見事に巻き返して勝っていた。しかし、今の藤井さんは序盤、中盤、終盤まで、まったく隙がないんですよね」(同) まさに、“天才中の天才”といったところだろう。

 だが、そんな彼にも、やはり“弱点”はあるようだ。前出の佐藤八段が、こう言う。「藤井さんは、自分の手が少し良くなったときに油断するんです。手が良くなるとは、勝ち方が一通りではなく、何通りかある局面。どれで攻めるか迷うんでしょうね。そういう場面で、意外と緩い手を打ってしまって、途端に劣勢となった局面が何度かあったんです。まあ、もっと経験を積めば、迷いが生じることもなくなると思いますけどね」

 確かにまだ14歳。天才と呼ばれる一方、「好きな食べ物がラーメンで、苦手なものは虫(笑)。将棋をしていないときはホント、普通の純朴な少年」(連盟関係者)なのだ。日本の伝統文化である将棋で、若きヒーローが活躍するのは頼もしい限り。今後の成長に注視したい!

藤井聡太四段、将棋界の新星の「強さの秘密」

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