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生まれ変わりはある!? 前世を証明する記憶の持ち主たち

生まれ変わりはある!? 前世を証明する記憶の持ち主たち

 誰でも一度は「もしも生まれ変わったら……」という妄想をしたことがあるはず。現世はさておき、前世や来世への「生まれ変わり」を想像することは、知的好奇心を刺激してくれる。

『恋』の大ヒットで知られる星野源(36)は、2013年のアルバム『Stranger』に『生まれ変わり』という楽曲を収録している。累計セールス145万部を突破した漫画『桃組プラス戦記』(左近堂絵里/角川書店)の主人公は桃太郎の生まれ変わりで、仲間の多くも日本昔話の時代から現世に生まれ変わった転生者という設定だ。また2016年発売の最新作『ダークソウル3』が全世界で300万本以上の出荷を記録したゲーム『ダークソウル』シリーズには、ステータスや外見をリセットしてくれる生まれ変わりの母、ロザリアというキャラクターが登場する。

 生まれ変わっても再び出会って結ばれるという恋愛モノを始めとした小説やアニメ、映画など、エンタメの世界で「生まれ変わり」は定番のテーマ。ネット上でも多くの「生まれ変わり」話が飛び交っており、2chには「自分の前世は新撰組などの偉人だった」と称するユーザーが集まるスレッドが立ち、定期的にまとめサイトが公開されている。

輪廻転生(生まれ変わり)とは

 生まれ変わりとは、死後に再び肉体を得て現世に転生することである。現代の日本では転生、輪廻、輪廻転生、転生輪廻とあまり区別されず、同じ意味で使われることが多い。生まれ変わりは、宗教学や哲学、心理学などにおける学問や、オカルト、スピリチュアルといった多岐にわたる分野で扱われてきた。まずは、古代文明や宗教における輪廻転生について紹介しよう。

古代エジプト

 古代エジプト神話では、エジプトの王として君臨したオシリス神が死後にミイラとして復活し、冥界を司ったという神話があるため、来世での復活を信じて多くのミイラが作られていた。

古代ギリシア

 古代ギリシアには、輪廻転生を悲しみの輪と考えるオルペウス教や、前世の記憶を持つというピタゴラスによって創設された宗教結社があったほか、プラトンが霊魂の不滅を主張した。

インド哲学

 インド哲学は、生物の霊魂は生前の行いの結果によって肉体を変えて生まれ変わり続けるという思想を生んだ。この考え方は因果応報の法則に基づいており、際限なく繰り返される魂の輪廻を”苦”とし、そこから解放されて二度と生まれ変わらずにすむ”解脱”を理想とする。なお、瞑想やヨガの目的は解脱に至ることである。輪廻の考え方はインドで発祥したバラモン教やヒンドゥー教、ジャイナ教などにも見られる。

仏教

 仏教においても、教義の前提として輪廻や解脱の概念があるが「ブッダは輪廻を否定した」という主張をする研究者も多い。チベット仏教に限っていえば、観音菩薩の化身とされるダライ・ラマの存在がある。チベットの人々を救うために何度でも生まれ変わるとされ、先代が没すると遺言や預言、占いなどに基づいて転生者が捜索される。そして見つかった候補者が持つ前世の記憶などを確認し、関係者が合意すると公式にダライ・ラマの生まれ変わりと認定されるのだ。しかし在位中のダライ・ラマ14世は、2008年に自分は仏の生まれ変わりではなく、生身の人間であり、仏教の一僧侶にすぎないと語った。同時に後継者については高位の僧に判断を委ねると示唆し、転生活仏制度の放棄ともとれる内容の発言をしている。

生まれ変わり研究の第一人者

 生まれ変わりは哲学や歴史学、人類学、宗教学などの分野で古くから研究されてきたが、近年、医学的な見地から客観的、実証的に研究するグループが現れた。輪廻転生を超自然現象として捉えない彼らは、第三者的な科学者の立場で学術的な方法論を用いて生まれ変わり現象を明らかにしようとしている。

イアン・スティーブンソン(1918〜2007)

 医学博士。生まれ変わり研究の創始者で転生科学の父とも称される。1967年から2002年までアメリカのヴァージニア大学医学部精神科に創設された「The Division of Perceptual Studies(DOPS)」で、生まれ変わりの真偽を研究。アジアを中心とした40か国以上で、前世の記憶を持つ子どもとその関係者に綿密な面接調査を行い、延べ2300例もの実例を集めた。さらに、子どもの記憶や関係者たちの証言に食い違いがないか確認し、前世の家族についても調査した。

 スティーブンソン博士は、研究事例について作話説、自己欺瞞説、偶然説、潜在意識説、記憶錯誤説、遺伝記憶説、超感覚的知覚説、憑依説といった仮説を立てた。そして、自分が発表した事例レポートから各自が自分なりの結論を得るべきで、自分の解釈は重要ではないと述べたうえで、すべての仮説を検討した博士は「生まれ変わり説」が最も妥当な解釈だという見解を明らかにしている。また、人間の成長に影響を与える要因として、遺伝的要因、環境的要因とともに、生まれ変わりが考えられるのではないかという推測も示している。

ジム・タッカー(1960〜)

 医学博士、心理学博士。1996年からDOPSに参画し、現在も”生まれ変わり”の研究を行っている。スティーブンソン博士の研究データを踏まえたうえで、さらに約1100例の事例を調査した。

 スティーブンソン博士が検証した仮説はタッカー博士も検討しているが、前世の記憶を持つ子どもが持っているさまざまな特徴を自然に説明できるとして、やはり「生まれ変わり説」を最有力と見ている。また輪廻転生は科学的に説明可能だとして”意識”の問題を持ち出した。意識は脳が生み出したものではなく、量子論で語られるべきエネルギーであり、脳や肉体が死亡した後も意識は生き残り続けると考え、前世の記憶を保持したまま次の人格の脳に張りつくとしている。

動物の生まれ変わりとは?

 ここまで人間の生まれ変わりを中心に紹介してきたが、動物やペットは生まれ変わるのだろうか?

ペットが生まれ変わる、と信じる人たち

 愛するペットの死を受け入れられない飼い主が、飼っていた犬や猫との再会を願ってペットの生まれ変わりを信じることは多い。最近ではスピリチュアルな能力を使って動物と話ができるアニマルコミュニケーター(動物対話士)によって明かされるペットの生まれ変わりに関するエピソードも増えてきている。

 また、2017年9月公開の映画『僕のワンダフル・ライフ』では、飼い主の少年と再開するために、何度も生まれ変わりを繰り返す犬の物語が描かれている。

 しかし現状では、人間の生まれ変わりのように、科学的なアプローチで検証した研究結果はほとんど存在しない。犬や猫の前世の記憶を確認する手段がなく、検証が困難なためだ。

人間の「生まれ変わり」は実在したのか?

 人間の話に戻ろう。DOPSの調査などによって、「生まれ変わり」としか考えようのない証言をした例が、数多く存在する。ヒンドゥー教や仏教では、人間としての尊厳に関わるような行いがあった場合に人間→動物に転生することがあるという説をとっているが、動物から前世の記憶について証言をとることは困難だ。ここでは、人間が人間に生まれ変わったと考えられる例を紹介する。

米国の例

サム・テイラー

 1年半前に亡くなった祖父の生まれ変わり。1歳の頃には前世の記憶が蘇りはじめ、祖父や祖母について知るはずもないことをよく話すようになった。1歳半ぐらいのときにオムツを替える父親に向かって、父親が赤ちゃんだったときにオムツの面倒を見ていたのは自分だと言い放ったほか、殺された祖父の姉妹のことや祖母が祖父の死の直前にした行動などを詳細に語った。

ライアン

 ハリウッドの芸能事務所で働いていた男の生まれ変わり。4歳のときから悪夢に悩まされ、5歳になると母親に自分は別の人間だったと告白し、ハリウッド行きを懇願した。その他にも多くの話が出てきたため、母親が図書館で調べてみると、ライアンが主張していると思われる男の写真が発見された。のちの調査で男の身元や素性、故人であることが確認されたが、ライアンの記憶と一致すると判明したものは、調査可能だった68項目のうち55項目にも及んだ。それは仕事場や仕事内容、住所から結婚の回数、子どもの数、姉妹の数、メイドの有無、趣味、知り合いの名前など多岐にわたる。

パトリック

 12年前に2歳で亡くなった兄の生まれ変わり。耳と首、目に生前の兄が持っていたのと同じような3つの特徴を抱えて生まれてきた。また、歩きはじめると兄と同じように足を引きずるようになった。4歳半になると、兄が受けた手術のことや住んでいた家のことなど、パトリックには教えていないことを細かく語りだすようになった。

ケンドラ・カーター

 9年前に中絶された胎児の生まれ変わり。4歳で出会った水泳コーチに愛着を見せた。そのうち母親に、コーチには赤ちゃんがいたが病気のせいで死んでしまったなどと言い出し、最終的には自分が彼女のお腹にいた赤ちゃんであると明かした。中絶までの具体的な経緯まで覚えていたという。

ルーク・リュールマン

 22年前に30歳で亡くなった女性の生まれ変わり。2歳ぐらいから前世を示す言動を見せるようになった。母親がホテル火災で女性が落下死したというニュースを確認したところ、具体的な名前や性別、肌の色はもちろんのこと、死亡時の場所や状況までルークの話と一致していた。さらに複数の写真の中から迷わず前世の女性を選び出したほか、再会した前世の家族によって趣味や趣向に多くの共通点があることも判明した。また、ルークは生まれ変わりのプロセスまで語っている。死後に天国に昇って神と会い、押し戻されるような感じで地球に戻ってきたそうだ。

リー

 48歳で亡くなった映画脚本家、シドニー・ハワードの生まれ変わり。自分のものとは異なるミドルネームや誕生日について話しはじめ、すぐに前世で住んでいた家や家族、仕事などにも言及するようになった。映画の脚本を書いたというリーの記憶を頼りに、家族が該当するような映画をリストアップして見せると、明らかに『風と共に去りぬ』(1939年公開)に反応を示した。同作品の脚本を担当したシドニー・ハワードのプロフィールとリーの話も一致していた。

アジアの例

チャナイ・チョーマライウォング(タイ)

 5年前に射殺された教師の生まれ変わり。3歳で名前や職業、殺されたときの状況といった前世の記憶を話しはじめた。前世で住んでいた村に行ったチャナイは、そこまで連れていってくれたおばあちゃんを自分で案内して、かつての両親が暮らす家にたどり着いた。また、生まれながらにしてチャナイの頭にあった2つの傷は、教師が撃たれたときに負った射入創と射出創に酷似していた。

ドゥミンダ(スリランカ)

 高僧の生まれ変わり。3歳ぐらいのときに自分は僧侶だったと主張しはじめ、宗教的制約や儀礼的行動について話すようになった。自分は寺の高僧だったこと、死ぬときに胸に痛みがあったこと、赤い車やラジオを所有していたこと、ゾウが好きだったことなども明かした。ドゥミンダが語った寺で調査してみると、記憶と一致する高僧が存在していた。

生まれ変わりの村(中国)

 村人が繰り返し転生しているという村が中国に存在する。この不思議な村を発見し84名を調査したという研究家の森田健氏によると、生まれ変わった人々は、歩いていけるような近くの場所に集中して誕生しているのだという。著作には村人が語った前世はもちろんのこと、死後や転生時の出来事まで赤裸々に記されている。

日本でも「生まれ変わり」があった!?

 海外の例ばかりが目立つが、日本にも有名な生まれ変わりの物語がある。

勝五郎

 6歳で病死した男児の生まれ変わり。江戸時代に生まれた勝五郎は、8歳のときに自分や両親の名前、暮らしていた村の場所など前世の記憶を語りだした。勝五郎は自分の葬式や死後の世界で起こったことなどの他、現世に生まれ変わるまでの出来事も詳しく覚えており、約5キロ離れた前世で住んでいた家を訪れて家族と再会している。学者の平田篤胤がまとめた『勝五郎再生記聞』は、江戸や京都で評判となり、明治に入ってから作家で学者のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が書いた『勝五郎の転生』が英米で発表され、世界に知られることになった。

生まれ変わりの回数・年数は?

 最後に前世を証明する記憶の持ち主たちが教えてくれた生まれ変わりに関する事柄をまとめてみよう。

生まれ変わった人々に共通する特徴とは?

 多くの事例やDOPSの調査報告などから分かった前世の記憶を持つ子どもの共通点は、下記のようなものだった。
・男児がかなり多い
・前世の記憶量には個人差がある
・現世への違和感を訴え、前世の家族への親近感を表すことがある
・前世で非業の死を遂げている子どもが圧倒的に多く、死亡時の状況への恐怖心が見られることがある
・前世の人格が持っていたあざや傷、ほくろなどが同じ場所に再現されていることがある
・前世の人格と趣味趣向、言動などに共通点が見られることがある
・前世と現世の性別が違う場合は性的違和感が見られることがある
・前世で成人していた場合は言動が大人びており、タバコや酒を嗜好したり、早熟な性的行動が見られることもある

生まれ変わるまでの年数

 前世で死んで生まれ変わるまでにかかる年数には個人差があるとされ、その期間には1000年や500年、100年、50年など大幅な開きがある。しかし若くして亡くなった場合や不慮の死を遂げたケースなどでは、比較的早く転生するようだ。タッカー博士のレポートには生まれ変わるまでの年数は平均1年4か月(16か月)、DOPSに参加した他の研究者の著作には平均4年5か月と記されている。ちなみにタッカー博士が調査対象とした子どもが語った前世の平均寿命は28歳で、7割の子どもが死因は事故や事件、暴力などだったと話した。

前世の記憶を持っている平均年齢

 DOPSの研究によると、前世の記憶を話しはじめる年齢は2〜5歳までの間で平均2歳9か月、語るのを止めるのは6〜8歳までの間で平均7歳4か月だった。記憶は成長とともに薄れていくのが典型的なパターンとされている。前世の記憶が消えてしまう原因は不明だが、学校に通いはじめて外からの刺激が増えること、一般的に幼少期の記憶は失われるものであることなどが挙げられる。

まとめ

 ここまで生まれ変わりや輪廻転生について紹介してきたが、どのように思っただろうか? スティーブンソン教授の言葉を借りれば、各自が自分なりの結論を得るべきで、感じ方も考え方も人それぞれで良いだろう。しかし前世や来世に思いをはせたり、生まれ変わりを信じることを頭から否定してしまってはつまらない。「生まれ変わり」は、これからも人類にとって魅惑的なテーマであり続けるだろう。

生まれ変わりはある!? 前世を証明する記憶の持ち主たち

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