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安倍晋三首相が決断する「9.22小池百合子解散」

[週刊大衆2017年09月11日号]

安倍晋三首相が決断する「9.22小池百合子解散」

 一難去って、また一難。支持率回復に安堵したのも束の間、難敵に動きあり。先手必勝で切り抜けられるか!?

 先の内閣改造で、目論見通り、支持率が回復した安倍晋三政権。「産経新聞とFNNの合同世論調査では、安倍内閣の支持率は43.8%でした。前回調査に比べ、9.1ポイントも上昇しています」(全国紙政治部記者)

 この空気の変化を敏感に嗅ぎ取った永田町では、にわかに“解散風”が吹き始めているという。「安倍首相の連立パートナーである公明党の山口那津男代表が、解散・総選挙の前倒しについて言及。それを受ける形で、自民党の二階俊博幹事長も“常在戦場という言葉から一歩踏み込んで、選挙に勝てる態勢を作っていく”と発言したことから、一気に解散・総選挙が現実味を帯びてきました」(前同)

 政治評論家の有馬晴海氏も、こう語る。「解散・総選挙があるとしたら、10月22日の投票で調整すると考えられます。まず、その日が大安のこと。これまでも自民党は選挙で縁起を担いできましたからね。そして、もう一つの大きな理由が、同日に予定されているトリプル補選です」

 現職議員の死去に伴い、衆院の青森4区、愛媛3区、新潟5区の補欠選挙が10月22日に行われることになっている。

「もしも補選で自民党が3戦全敗したら、来年秋の自民党総裁選で3期目を目指す安倍首相の計画に大きな狂いが生じるからね。最低でも2勝1敗で勝ち越さなくちゃならない。ある意味、それは賭けに等しい。だが、22日に総選挙の投票日を設定すれば、全部一緒くたにできる。安倍首相は、どうせ賭けに出るなら、一時より支持率が回復した今こそ、勝負に打って出るべきだと考えているんだよ」(自民党中堅議員)

 総選挙は解散の日から40日以内に実施しなければならず、22日を投票日とするには、9月の半ばに解散する必要がある。「安倍首相は9月の前半にウラジオストクでロシアのプーチン大統領と会談する予定になっています。また、後半には国連総会もあります。自民党の国対委員長は、“25日の週に臨時国会を召集する”と通達していますが、22日の線もあります」(ベテラン政治記者)

 つまり、9月22日か25日に臨時国会を開き、その冒頭で衆議院を解散。そして、トリプル補選の予定と同じ10月22日に総選挙を実施するというのだ。「永田町では早くも、その解散の“ネーミング”が話題になっています」(前同)

 古くは吉田茂内閣の「バカヤロー解散」。最近では、小泉純一郎内閣の「郵政解散」や麻生太郎内閣の「政権選択解散」などがあったが、今回はズバリ、「小池百合子解散」になりそうだという。東京都知事が、解散とどう結びつくというのか。前出の有馬氏がこう続ける。

「解散というのは選挙で勝てるときを狙うのが鉄則。ところが、自民党は7月の都議選で小池知事率いる都民ファーストの会に歴史的惨敗を喫しました。噂される“小池新党”と総選挙で戦うことになったら、25ある東京選挙区は全滅しかねません。小池知事の国政進出への準備が整わないうちに、安倍首相はなんとか衆院で単独過半数を維持したいと考えているんじゃないでしょうか」

 自民党としては安倍首相の悲願である憲法改正に必要な議会の3分の2の勢力を確保するのが理想ではあるが、もはや、そんなことにこだわってはいられない。過半数を割り込み、下野するリスクだけは避けなければならないのだ。

「来年4月には消費増税が実施され、解散が遅れれば遅れるほど、“追い込まれ解散”につながります。また同時に、それは小池知事に利することにもなるんです」(前出のベテラン記者)

 実際に、小池氏は動き始めている。小池氏に近い若狭勝衆院議員が国政新党の結党を視野に、政治団体「日本ファーストの会」を設立。9月16日には政治塾「輝照塾」を立ち上げ、第1回目の講師として小池氏を招く予定だ。

 この動きに小池氏周辺からは「小池さんと若狭さんは別」「小池さんは国政への復帰はまったく考えていない」「小池さんは、若狭さんと都民ファーストとの間に明確な線引きをしたいのが本音」などという声が漏れ伝わってはいるものの、有馬氏はこう分析する。

「小池さんもあんまり“やる”“やる”というと、都政をないがしろにしている印象を与えます。しかし、若狭氏と小池氏が連動しているのは誰の目にも明らかです」

 小池氏の別働隊とも言える日本ファーストの会が動けば、政局も動き出す。まず、民進党を離党した細野豪志・元環境相が8月11日、日本ファーストの会代表となった若狭氏と会談。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏も「合流の動きを強めている」とみる。

「若狭氏は一緒にやっていけそうな政治家をA・B・Cに分けてランクづけし、会談の結果、細野氏をBと判断したようです。ちなみに、Aは政策面で一致している人。Bは半分だけ一致している人。Cは必ずしも政策面では一致していないものの、自民党に代わる受け皿作りが必要という方向性で一致している人だそうです」(鈴木氏)

 この他、細野氏と同じく民進党を離党した木内孝胤衆院議員、無所属の松沢成文衆院議員、同じく無所属の渡辺喜美参院議員らも日本ファーストの会に合流するとみられている。

「政党交付金を受け取れる政党の条件は所属国会議員5人以上。その条件は問題なくクリアできます。それどころか、取材してみると、民進党からの離党議員や無所属議員を中心に、新党は10人以上の規模になりそうです」(前同)

 それだけではない。安倍首相のお膝元も大きく揺らいでいるという。「まだ離党にまでは至っていないものの、自民党の中にも、日本ファースト側の話を聞かせてほしいという議員が数人いる状況です」(同)

 安倍自民党としても、離党者が相次ぐ民進党の不甲斐なさを笑ってはいられない現状なのだ。だが、日本ファーストの会にも弱みがある。それは、名称問題だ。ネット上では「なぜ国民ファーストじゃないのか」などといった声が相次いでいる。

 米トランプ大統領の“アメリカファースト”よろしく、自国(日本)が最優先(ファースト)だということを露骨に打ち出しており、評判はよくない。「どうにも右的なイメージがつきまといます。安倍政権の補完勢力だと誤解を招きかねません」(都民ファーストを支持する男性)

 当初、小池新党の旗揚げなら、党名は「国民ファーストの会」になるとみられていた。ところが、7月の都議選に出馬して落選した後藤輝樹氏が今年5月に、政治団体として「国民ファーストの会」を総務省に届け出ていたのだ。後藤氏の政治団体と重複するのを避けたとみられている。

「ただし、それは大きな問題ではありません。実際に政党旗揚げの際に名称変更すればいいだけの話。重箱の隅をつつくような批判ですよ」(都民ファーストの会関係者)

 つまり、目下のところ、小池新党は前途洋々。次の総選挙までに輝照塾の塾生を中心に新人候補を募り、都議選と同じく、大量当選を目指す方針だという。「次の総選挙では東京選挙区を中心に、50人は当選する見通しです」(選挙コンサルタント)

 一方の自民党は、「“このハゲ~!”発言の豊田由美子衆院議員(自民党を離党)や“ゲス不倫男”こと宮崎謙介氏(議員を辞職)らを輩出した“魔の2回生”議員を中心に、おそらく、30名から50名は落選するでしょう」(前同)

 有馬氏も、こう続ける。「次の総選挙で自民党の圧勝は望めません。小池新党は、仮に50議席に届かなくても、十分にキャスティングボートを握ることができます」

 そこで小池氏が狙うのは、24年前の再現だ。当時、総選挙で自民党は単独過半数に及ばず、逆に、前熊本県知事の細川護煕氏が前年に結成した日本新党や新生党、新党さきがけの3新党合計で100議席余りを獲得。非自民勢力の連立政権が成立して、日本新党代表の細川氏が首相の座に就いた。小池氏は日本新党結党時から参加しており、「彼女の政治ポリシーは、日本新党への回帰」(小池氏をよく知る永田町関係者)だという。

「いずれは、都知事を辞職した小池氏が総選挙に新党を率いて出馬。24年前と同じく自民党が過半数を割り込んだら、キャスティングボートを握った小池氏が非自民勢力と連携し、細川首相誕生時のシナリオを再現するという絵を描いているはずです」(前出の永田町関係者)

 実は、そうした事態を想定し、安倍首相は先の内閣改造で布石を打っている。「それが野田聖子総務相の起用です」(有馬氏)

 本誌既報の通り、野田氏が自民党総裁選へ出馬しようとした際、当時まだ自民党員だった小池氏が野田氏の推薦人の一人に名を連ね、以来、2人は「互いに認め合う関係になった」(前出の都民ファーストの会関係者)のだ。

 安倍首相は、小池氏に近い野田氏をいわば“人質”として閣内に取り込み、野田氏を通じて、小池新党との連携を図る算段だという。ところが、ここにきて安倍首相の思惑に狂いが生じ始めている。

「民進党の代表選です。安倍首相がもともと解散を急いでいたのは、民進党の新体制が整わないうちに叩いておこうという狙いから。ところが、前原誠司元外相と枝野幸男前幹事長との一騎打ちで前原氏優勢となり、雲行きが怪しくなってきました」(自民党関係者)

 結果、前原氏が新代表に就任。小池氏と前原氏は、ともに日本新党から出馬し、93年の衆院選で互いに初当選したという関係だ。その前原氏は共産党を含めての野党共闘には否定的な一方、小池新党について「政策、理念が出たときに判断したい」と述べつつも、「小池都政には一定の評価をしています」と秋波を送っている。総選挙後に前原民進党と小池新党が非自民勢力の中心として結集しようものなら「下野という悪夢がよみがえりかねない」(前出の自民党関係者)と、安倍自民は危惧しているのだ。

 そこに、日本ファーストの会が結成され、恐れていた小池新党が本格的に活動を開始。ならば、その前に選挙を急ぎ、その動きを封じ込めようという狙いなのだという。

「10月22日の投票なら、小池新党は新人候補者を擁立することができず、安倍自民は単独過半数を維持できます。そうなれば、その次の総選挙は2020年の東京五輪後……」(官邸筋)

 かくして安倍政権は歴代最長政権となり、歴史にその名を刻むことができる‼ はたして“小池解散”で政権を延命できるのか――。伝家の宝刀をいつ振るうのかは、安倍首相の決断ひとつにかかっている。

安倍晋三首相が決断する「9.22小池百合子解散」

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