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運転中の災害にどう対応する?「悪天候時のドライブ術」

[週刊大衆2017年09月11日号]

運転中の災害にどう対応する?「悪天候時のドライブ術」

 どんなに頑丈な自動車であっても自然の力にはあらがえないもの。いざ突然の災いに遭遇したとき、あなたは自分の命を守れますか?

 梅雨時は福岡と大分が豪雨による甚大な被害に見舞われ、梅雨が明けてからも全国各地で台風やゲリラ豪雨のオンパレード。東京でも集中豪雨や雹に襲われる日があった。これだけ雨が降れば当然、地盤も緩んでいるため、土砂崩れによる災害も増えている。

 まもなく台風の季節。こうした災害に遭った場合、運転時には何を、どう注意したらいいのだろうか。命の危険を回避できるよう、専門家に聞いてみた。

「豪雨に遭遇したら、まず車を停めるという当たり前のことができるかどうかですよ。ドライバーというのは案外、普段と違うときでも“このまま走行できるんじゃないか”とか“停止するのが面倒だ”と思ってしまうことが多いんです」

 こう話すのは、元岐阜県警交通部管理官で、現在は交通安全計画アナリストの信田正美氏だ。「落石や土砂で車が破損する被害があったとしても、走行しているより停止しているほうが被害は少ないんです。走行するということは、危険と並走しているということです」(前同)

 運転停止するというのは、災害による二次被害を防ぐ意味もあるのだという。豪雨、雹、冠水、渋滞などで、ドライバーの大部分が平常心を保てないときこそ、自動車を停止することで、安全を確保するのだ。短時間の豪雨や竜巻、突風をやり過ごすのであれば、停車禁止場所以外なら半分ほど歩道に乗り上げるのも仕方がないだろう。

 しかし、交通量の多い国道などの場合は、停車すると、かえって危険だ。そうしたときの対策は、どうしたらいいのか。

「スピードダウンして脇道に入るとか、コンビニがあれば、その駐車場に進入するのがいいでしょう。高速道路などで緊急路肩がある場合は、そこに入った後に一番手前までバックして停止します。同じように入ってくる後続車両の追突事故を避けるためです」(損害保険代理店関係者)

 このとき、ハザードランプとヘッドライトの点灯を忘れないようにするのも大事だという。「もちろんエンジンはかけたままです。豪雨時にエンジン停止すると、水滴の侵入などで再始動できなくなる場合もあるので」(前同)

 同じように、豪雨のときには、ガード下などの冠水にも要注意だろう。水深が10センチ程度になると、警察が通行止めにするようだが、間に合わない場合も多い。

「テレビで冠水した道を走行する車の映像がよく映りますが、実は10センチの冠水でも走行は危険です。今はコンピュータ制御の車がほとんどですが、この制御部分が濡れると走行不能になります。エンジン停止で窓も開かないし、運悪く水深30センチほどに達すると、ドアも水圧で開かなくなり、脱出不可能にもなる」(前出の信田氏)

 そこまでの豪雨でないにしても、危険は潜んでいる。雨天走行について、「高速道路では20キロ減速、一般道では10キロ減速」が基本らしいが、これが守られていないからだ。

「最近は雨天対策に“撥水舗装”が多く採用されていますが、毎時20ミリ以上の雨が降ると、大した効果は期待できません。しかも橋や高架には、この舗装ができないことが多い。そうすると、特に高架の頂上付近の平坦部分に薄い水たまりができるんです。そこを飛ばしている車に限って、事故が多いんです」(前同)

 たとえば8月18日に岐阜県瑞浪地区の中央自動車道で起きた土砂災害。車4台が押し流されて男女計6人が重軽傷を負ったのだが、「地元のニュースでは、巻き込まれたトラックのドライブレコーダー映像が流れていましたが、それを見ると“あのトラックは事故を回避できたのではないか”と思いましたね。前の車が土石流に突っ込んで転倒した画像が映っていたということは、撮影した後続車両は十分な車間距離を取っていたということ。それなのに、事故に巻き込まれているんですよ」(同)

 視界不良なのに、通常のスピードで走行してしまうと、渋滞の最後尾にありがちな追突事故などにもつながる。雨天時の運転には危険が伴うことは誰もが知っているはずなのに、高速道路で、まったく減速していない車も多いという。

「高速道路では、左の走行車線に入り、ライトを点灯させて80キロ。80キロ制限の道なら60~70キロを守るのが大事。減速しても、到着時間はほとんど変わりません」(同)

 ちなみに土砂災害については、危険が少しでもありそうな場所には、絶対に近づくべきではないと、信田氏は言う。「私が岐阜県警の警官時代に起きた“飛驒川バス転落事故”が教訓です」(同)

 同事故は、1968年8月に岐阜県山中で起きた史上最悪のバス事故。台風による集中豪雨を回避しようと、路肩に停止していた2台のバスが土砂崩れで増水した飛驒川に転落、100人以上が川に投げ出され、104人が死亡。海まで流されて行方不明のままの人もいる。

「豪雨だけならまだしも、がけ崩れがバスを直撃してきたわけです。せめて山中の路肩よりも、今でいう道の駅など、広い駐車場施設に避難できればよかったと今でも思うんですが」(同)

 君子危うきに近寄らず。豪雨時の運転は、細心の注意と最大限の危険回避を忘れずにしてもらいたい。

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