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投手・久保康友を支えた「頭脳」 【二宮清純のスポーツ一刀両断】

[週刊大衆2017年11月06日号]

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 秋は野球選手にとって「解雇」の季節でもある。笑顔でユニホームを脱げる選手は、ほんの一握りに過ぎない。そんな中、横浜DeNAの「戦力外リスト」に、ひとりのベテラン選手の名前が載った。37歳の久保康友である。プロ13年で、通算97勝(86敗)をあげている技巧派だ。

 今季は若返りの余波を受け、わずか7試合にしか登板していない。4勝(2敗)は、このチームに移籍してから、最も少ない勝ち星だ。

■甲子園では、松坂大輔と壮絶な投げ合い

 一世を風靡した「松坂世代」の生き残りのひとりだ。高校3年のセンバツ決勝では関大一高(大阪)のエースとして横浜(神奈川)のスーパースター松坂大輔と投げ合い、0対3で敗れている。

 全盛期の松坂のような150キロを超える快速球があるわけではない。打者がキリキリ舞いするウイニングショットを持っているわけでもない。本人に言わせると、「これといって特徴のない」タイプ。そんな投手が曲がりなりにもプロで13年間もメシがくえたのは人並みはずれた洞察力に依る。

■強打の外国人には、契約内容まで考える洞察力

 たとえば強打の外国人と相対する場合、彼はどうしたか。契約内容にまで想像を巡らせたというのだから驚きだ。「四球を嫌う選手がいる。カウントが3ボールになると、焦ってボール球を振り始めるんです。おそらく四球のインセンティブが契約に入っていないんでしょう。だったら“ホームランや打点を稼いだ方がいい”となる。一方で平然とボール球を見送り、颯爽と一塁に歩く選手がいる。こういう選手には、四球に関するインセンティブがついているんでしょう。だからボール球で勝負するのは難しい」

 契約内容がある程度分かれば、投球の組み立ても容易になる。久保によれば、打ち取るヒントはグラウンドの外に転がっているというのだ。これには目からウロコだった。

 投手不足の球団は久保の「頭脳」を買うという手もあるのではないか。文字通りの「ヘッドハンティング」である。

二宮清純(にのみや・せいじゅん)
スポーツジャーナリスト。(株)スポーツコミュニケーションズ代表取締役。1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開中。「スポーツ名勝負物語」「勝者の思考法」「プロ野球“衝撃の昭和史”」「最強の広島カープ論」「広島カープ 最強のベストナイン」など著書多数。スポーツ情報サイト「SPORTS COMMUNICATIONS」:http://www.ninomiyasports.com/

投手・久保康友を支えた「頭脳」 【二宮清純のスポーツ一刀両断】

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