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【武豊】G1天皇賞・秋のキタサンブラックは大雨&出遅れでも強かった

[週刊大衆2017年11月20日号]

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 2週続けて台風に襲われ、「菊花賞」と同じく、まさかの泥んこ馬場での競馬となった「天皇賞・秋」。それでも、最高の友、キタサンブラックへの信頼はいささかも揺らぐことはありませんでした。

――まさかの出遅れでも? もちろんです。スターターの合図を待っているときに前扉に突進。ぐいっと手綱を引いて下がったときにゲートが開いてしまったのは運が悪かったとしかいいようがありませんが、それで勝負が終わったわけではありません。

 いつものようにポンと出たら、前目で競馬をするというのも想定のひとつ。それと同じように、後手に回ったときにどう乗るか。その後の選択肢が狭まるのは確かですが、出遅れることも念頭にありました。大切なのは、乗っている僕が慌てないことです。騎手が不安を抱くと、それがそのまま馬にも伝播しますから、馬の力を信じて慌てず、騒がず、「さぁ、行こうか」と声をかけ、前半は中団のインで無駄な動きをせずに、リズムよく走ることだけに専念しました。

 勝負のポイントになったのは、3コーナーです。この時点で選べるコースは2つ。同じ泥んこ馬場とはいえ、比較的走りやすいだろう外に持ち出すか。それとも、このまま内を進むか!? 視線の先では他の馬たちが、雪崩を打つように外へ、外へとコースを変えていました。インを突くのは、かなり際どい賭けになりますが、ここで、同じように外に回したら、先を走る馬たちに追いつく可能性は、限りなくゼロに近くなります。この間の思考を数字にすればゼロコンマ何秒でしょうか。考え尽くした結果、キタサンブラックの強い精神力に賭けようと、どの馬も通っていないインコースを選択しました。

■台風に襲われた泥んこ馬場でも圧巻のV!

 結果は……すでに皆さんがご承知のように、びしゃびしゃと水しぶきが上がる雨に煙る芝を懸命に駆け抜けたキタサンブラックが、史上2頭目となる天皇賞3勝馬に輝きました。

 もう一度、強いキタサンブラックを見せたい。僕自身が走っていたら、絶対に途中でいやになっただろう、ぬかるんだ泥んこ馬場を、最後の最後まで歯を食いしばって走り続けた彼の強い精神力に、あらためて、“ありがとう”と言わせてください。そして、引退までの残り2レース、皆さんには、もっと、もっと強いキタサンブラックをお見せしたいと思います。

 2017年の競馬も残りあとわずか。競馬場に足を運び、寒さを吹き飛ばすような熱い戦いに、コブシを突き上げ、ゴール前で、思いっきり、雄叫びを上げてください。

■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算4000勝、日本人騎手初の海外G1制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】G1天皇賞・秋のキタサンブラックは大雨&出遅れでも強かった

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