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稲川義貴(戦闘者)「僕が必要とされない世界が最高だと思います」戦闘で鍛えた人間力

[週刊大衆2017年12月25日号]

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稲川義貴(戦闘者)「僕が必要とされない世界が最高だと思います」戦闘で鍛えた人間力

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 軍隊のアドバイザーって言っても、一般の人にとっては何をやっているかよくわからないと思うんですが、基本的には軍隊の技術指導が主な仕事ですね。

■自衛隊で“人を殺さないように倒せる技”を指導

 2008年に災害、テロ、ゲリラ攻撃の緊急事態に対応するために創設された自衛隊の中央即応連隊は、創設から関わっていたんですが、“人を殺さないように倒せる技を”というオーダーだったんです。現在の日本で、自衛官が海外で人を殺したら、大問題になりますからね。だから、殺さない技を自分の今までの格闘技の経験から編み出して、こういうシチュエーションでは、こう戦うというのを、自衛官に指導していました。オリジナルなものというより、元があるものを改造していく感覚に近いですね。

 自衛官や、海外の軍の人たちは、流派を押しつけるのを一番嫌いますからね。実際に任務に直結する技じゃないと、まったく受け入れてもらえない。軍っていうのは、政治が変わるたび、戦い方が変わるっていうことを身にしみてわかっているんですよ。アメリカなんか見ていると、オバマ大統領と、トランプ大統領では、アタックの仕方が違いますから。

 昔から自分がやってきた技をそのまま伝えてしまうと、“今は時代が全然違うのに、古いね”と思われてしまうんです。だから、昔からある戦術を、いまの時代に改造していくことが必要なんです。ほかにも、長期ミッションに入った時に、1日の食糧がちっちゃいビタミン剤だけで、筋肉が落ちてしまった時でも戦える技というオーダーをされたこともあります。

 今まで鍛えたものがなくなる、それでも戦わなければならないっていうのは、やっぱり、精神的に相当強い人じゃないと難しい。その時に、出したのが、とにかく肩甲骨をやわらかくするってことでしたね。つまり、普段はヘロヘロでも、斬る時だけ素早く斬り落とせっていうこと。

■空手やキックボクシング、総合格闘技などを習得

 そもそも、こういう特殊な世界に足を踏み入れたのは、父の影響が大きいかもしれません。父は、神刀流という居合をやっていた人で、小さい頃から家に刀が置いてあることを不思議には思わなかった。特殊な技術なので、子どもに教えると、学校とかで使ってしまうと大変なことになるから、技術的なことは何も教わらなかったんですけどね。

 それでも、自然と武術っていうのが身近にあって、そこから格闘技を習い始めたりしました。中学生のころに格闘技の師匠に出会い、空手とかキックボクシングなど色々教えてもらいましたね。高校の時には、総合格闘技もやって、卒業後はタイでムエタイをやりました。ムエタイと言っても、古流ムエタイと言って、シャム王朝時代に、王様の護衛についていた人がやっているようなもので、武器も使うような武術でした。

 その後、自身でゼロレンジコンバットという格闘技を創設し、軍のアドバイザーのような仕事もするようになりました。米軍のスペシャルフォースのアドバイザーもやっていたので、仲間の死を経験することは多くて、心がくじけそうになることもとても多いし、ブラックオペレーションと言って、闇から闇に葬られる仕事も多いんです。

■アクション映画『RE:BORN リボーン』に出演

 だから、何かを残せるようなものをやりたくて、今回のアクション映画『RE:BORN リボーン』の戦術戦技スーパーバイザーの仕事もお受けしたんです。映画に出演したのも初めてだったので、すべてが新鮮で、とてもおもしろかった。

 本当は僕みたいな人間が必要とされない世界が来る、つまり戦争がなくなることが、最高だと思います。ただ、人間は戦争の歴史ですからね。僕も無敵ではないので、墓に足を突っ込む日もくるとは思うんですが、その時に、生き方間違っていなかったなと思えるように、いたいですね。

撮影/弦巻勝

稲川義貴(いながわ・よしたか)
1978年生まれ。国内外で様々な戦闘訓練・武術修行を重ねた後、国内の自衛隊の基地、駐屯地、警察機関への指導のほか、米軍特殊部隊の格闘技教官の指導実績もある。日本古来の身体操作をベースに、国内外の戦闘技術を融合して作り上げた戦闘術『ゼロレンジコンバット』の創始者でもある。実戦的戦闘技術だけでなく、日本民族と日本精神の伝承・継承のためにも活動している。

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