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星野仙一「人心掌握術」の系譜 【二宮清純のスポーツ一刀両断】

[週刊大衆2017年01月29日号]

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 70歳とは早過ぎる。1月4日、東北楽天の星野仙一球団副会長がすい臓ガンのため亡くなった。

 背番号77を永久欠番に――。1月8日付けの日刊スポーツに、そんな記事が載っていた。楽天球団が星野さんが監督時代に付けていた背番号を永久欠番にすることを検討しているというのだ。監督就任3年目の2013年、星野さんはチームを球団創設9年目にして初のリーグ優勝、日本一に導き、被災地を勇気付けた。「77」の永久欠番化はファンの想いでもあるだろう。

■中日、阪神、楽天での背番号は全て「77」

 星野さんは中日、阪神、楽天で17シーズン指揮を執ったが、背番号は全て「77」だ。言うまでもなくこれはV9巨人の名将・川上哲治さんが背負っていたものだ。現役時代、打倒・巨人に執念を燃やし続けた星野さんからすれば、いわば敵将である。なぜ敵将の背番号を選んだのか。「野球は選手やコーチだけではダメ。ファミリーで戦わなければ勝てない」

 それが星野さんの持論であり、同時に川上さんから教わったものだったという。これは以前、V9時代のセカンド土井正三さん(2009年他界)から聞いた話。「(V9時代の)巨人は家族ぐるみで戦っていた。その頃はテレビ中継の時間が短く、1試合で2打席しかテレビに映らなかった。それを女房たちが夕飯の支度をしながらビデオに収めていたんですよ」

 土井さんによると、この頃、「家族ぐるみで戦っていた」球団は巨人だけだった。

■選手のみならず夫人の誕生日にまで花束を

 川上イズムを引き継いだ星野さんは「ファミリーの結束なくして優勝はない」との信念の下、選手のみならず夫人の誕生日にまで花束を贈った。星野さんを“人生の師”と仰ぐ山本昌さんは、「怖い反面、気配りがすごかった。だから選手たちはついていった。花束の手配は、ほとんど毎日だったんじゃないでしょうか」と語っていた。

 今後、人心掌握術に秀でた「77」の後継者は現れるのか。合掌。

二宮 清純(にのみや せいじゅん)
スポーツジャーナリスト。(株)スポーツコミュニケーションズ代表取締役。1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開中。「スポーツ名勝負物語」「勝者の思考法」「プロ野球“衝撃の昭和史”」「最強の広島カープ論」「広島カープ 最強のベストナイン」など著書多数。スポーツ情報サイト「SPORTS COMMUNICATIONS」:http://www.ninomiyasports.com/

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