日刊大衆TOP 社会

北朝鮮・金正恩「平昌オリンピック乗っ取り」のシナリオ

[週刊大衆2018年02月05日号]

北朝鮮・金正恩「平昌オリンピック乗っ取り」のシナリオ

 メダルなどそっちのけの激しい戦いがそこにはあった! 優柔不断国家と、横暴国家の水面下の駆け引きを探る!

 2月9日に韓国・平昌で開幕する冬季五輪。ところが今、朝鮮半島情勢に詳しい専門家の間では、「ピョンチャン五輪だって? ピョンヤン(平壌)の誤りだろう」 そんな、笑えない冗談がささやかれているという。その背景にあるのが、不参加と思われていた北朝鮮の突然の参加表明だ。同国は、選手団や応援団らの五輪派遣を決定。開会式では、南北両選手団が朝鮮半島旗を掲げて合同で入場することも決定した。しかし、これでは五輪開催国でありながら、韓国は入場行進で国旗を掲げられないという異例の事態。誘致に2度も失敗し、ようやく初の冬季五輪を実現した韓国だが、念願の五輪開催がこれでは、同国最大の新聞『朝鮮日報』が〈そのような現実をどうして韓国が受け入れられようか〉と怒るのも当然だろう。

「今回の平昌五輪は、ロシア選手団の不参加などもあって五輪のチケット販売が芳しくない。さらに、朝鮮半島の緊迫化で各国首脳が開会式出席に尻込みする状態だった。その韓国の苦境を、北朝鮮が救った形と言えます。金正恩委員長が、元日の『新年の辞』で“代表団派遣の用意がある”と発言するや、韓国の文在寅大統領は小躍りするほど喜んだそうですから」(全国紙記者)

 そこからの文大統領の動きは早かった。まず、米国・トランプ大統領と電話会談し、五輪期間中に米韓軍事演習を実施しないことで合意。さらに9日には、南北の高官級会談を実現させた。「韓国からの呼びかけで、15日、17日にも南北間で実務協議が持たれ、アイスホッケーの女子合同チームの発足などが話されると、韓国政府は、自国代表チームの選手感情を無視して、譲歩の姿勢を示したんです。しかし、北朝鮮は即答を避け、韓国の提案をだしにして“芸術団”派遣を飲み込ませたんです。五輪の“失敗”を恐れる韓国に北朝鮮の提案を拒否する術はなく、以降、完全に北のペースで話が進んでいます」(前同)

■“北朝鮮のAKB48”といわれる美女軍団

 この協議で北朝鮮が派遣を決めたのは、「三池淵管弦楽団」の140名である。美女ぞろいで知られる「牡丹峰楽団」は日本でも知られているが、「北朝鮮に三池淵(革命の聖地)の名のついた楽団はありますが、140名も所属していないうえに、管弦楽団(オーケストラ)ではありません。つまり、北朝鮮は、平昌五輪のために新たに管弦楽団を編成するわけですが、牡丹峰の美女たちが中心で、実態は牡丹峰楽団と考えられています。2国間実務協議に、牡丹峰楽団の玄松月団長が出席していることからも明らかでしょう」(同)

 牡丹峰は、“北朝鮮のAKB48”といわれるガールズグループ。身長165センチ以上、体重50キロ以下の選りすぐりの美女ばかりを集め、恋愛禁止の鉄則を守らせているといわれる。そんな美女軍団が来るとなれば歓迎ムードかと言えば、決してそうではない。むしろ、芸術団派遣には、当初から“懸念”が持たれていた。外交評論家の井野誠一氏が話す。「彼女たちのパフォーマンスを世界に振りまき、国家のイメージアップ、最高指導者・金正恩委員長の国家経営の巧みさをアピールする狙いが込められています。北朝鮮にとって、彼女らは強力な“プロパガンダ兵器”。世界の目をひきつけ、平昌五輪を“平壌五輪”にしようと企んでいます」

 つまり、美女軍団のイメージを政治利用する魂胆なのだ。短いスカートの軍服に身を包んだ美女軍団が、“将軍様賛美”の歌を熱唱する姿は、確かに強烈だ。また、牡丹峰楽団の玄団長は、ただの人物ではない。「玄氏は金委員長の元カノといわれ、朝鮮労働党の幹部候補なんです。北朝鮮が実務協議にわざわざ彼女を同席させたのは、金委員長の“意向”を伝達するためです」(在ソウル記者)

 その意向こそが芸術楽団の派遣であり、一般公演の実現だった。15日の協議では、楽団の一般公演という提案に韓国側が反発。協議は9時間に及んだとされるが、結局、韓国北東部の江陵やソウルで、三池淵管弦楽団の公演が開催されることが発表された。北朝鮮の芸術団が訪韓するのは実に16年ぶり。加えて、北朝鮮は選手の応援団と称し、別の“美女軍団”まで派遣するという。「美女軍団が初めて韓国に来たのは、2002年の釜山アジア大会。韓国の男性は競技そっちのけで彼女たちの写真を撮りまくる事態となりました。美女軍団は釜山港に停泊した万景峰号で寝泊まりしていたんですが、その港では運動会まで行われ、韓国中の話題になりました」(同)

 この美女軍団は、翌年の大邱ユニバーシアード大会、05年の仁川アジア陸上選手権大会にも派遣。05年の美女軍団の中には、後に金委員長の妻となる李雪主氏の姿もあった。管弦楽団と応援団の“美女ダブル襲来”に対し、『コリア・レポート』編集長の辺真一氏は、「北の広告塔だとは知っていても、韓国の男どもはこれほどかと思うほど色仕掛けに弱い。もうメロメロです」と話す。メディアジャックと同時に、韓国男性の対北感情の好転も狙っているのだ。

■韓国は自国の保全を図った

 五輪は北朝鮮のペースとなり、自国開催ながら韓国旗も揚げられず、しまいには国内のニュースや興味もすべて北に持っていかれる――これでは北朝鮮が平昌五輪を乗っ取ったも同然。ここまで韓国が譲歩しているのは、五輪成功に加え、「融和ムードが続けば、韓国側から手を出さなければ、韓国は北朝鮮の核攻撃の標的から外れる確証を得た」(外交筋)ためだという。昨年、トランプ大統領がアジアを歴訪した際、日米韓3か国で北朝鮮の核開発に歯止めをかけることを申し合わせたにもかかわらず、「韓国はこれ幸いと“一人抜け”し、自国の保全を図った」(前同)というのだ。さすが、慰安婦問題で合意しておきながら、その内容について再検証しようとする国だけのことはある。

■“外交の勝利”だと喧伝

 一方、北朝鮮の狙いは、「まず、平昌五輪を実質的に韓国との共催にして五輪を朝鮮民族の平和の祭典と位置づけ、これを金正恩氏の政治的・外交的手腕として内外に喧伝すること。そして、米韓軍事演習を延期させ、“五輪休戦”を実現させたことに加え、これまた“外交の勝利”だと喧伝することにあります」(前出の井野氏)

 しかも、選手団らの宿泊費や交通費は、韓国側が負担することになっているので、それだけの成果を得るのにかかるコストはゼロ。それどころか、“お土産”まで持って帰る勢いだ。米国は「(世界的に経済制裁を科している)北朝鮮選手団に貸したホッケーのスティック1本持ち帰らせないように」と韓国に釘を刺しているが、「韓国政府は、美女軍団を手ぶらで帰国させませんよ。帰りも陸路で板門店を通過するわけですが、韓国当局は知らぬ顔で通すでしょうね。彼女たちのトランクには、円やドルがぎっしり……ということがあるかもしれません」(前出の辺氏)

 そのうえ、ソウルなどで行われる三池淵管弦楽団の公演は「有料での開催が決まっていますから、ここでも北に支払いをするでしょう」(前同)というから、開いた口が塞がらない。韓国にとっては、自国の魂も友好国との約束も、くそくらえというわけだ。

■ホワイトハウス内から五輪後に開戦という話も!?

 この南北急接近という異常事態に、日米はどう対処しているのか。国際政治ジャーナリストの山村明義氏が話す。「ホワイトハウス内から、五輪後の3月14日か17日に、“北朝鮮と開戦”という話が漏れ伝わっています。米国は、決してハード路線を崩したわけではないんです。今、米朝は互いに韓国の袖を引き合い、猛烈に駆け引きしている最中。米国は水面下で、かなりのプレッシャーをかけています」

 米国としては、米軍を駐留させている韓国を北朝鮮に取られては一大事。事実、韓国の消息筋からは「北朝鮮に“借り”を作った韓国は、五輪後も米韓合同軍事演習の実施を拒むだろう」との声が出始めている。「米国は五輪期間中、世界最強の原子力空母カール・ビンソンを中心とする打撃群を朝鮮半島周辺に派遣します。北朝鮮の牽制が目的とされていますが、真の狙いは韓国へのプレッシャーなんです」(前出の外交筋)

■安倍晋三首相も周囲に不満

 安倍晋三首相も、韓国の動きを警戒し、表向きは口を閉ざしているものの、「韓国のやっていることは愚の骨頂」「米国も怒っている」などと、周囲に不満をぶつけている。ただし、「日本としては米朝の綱引きを見守るしかない」(前同)という。

 では、この綱引きに米国が敗れるようなことになれば、どうなるのか。「ここまで黙って眺めてきた中国に主導権を取られてしまいます。日米両国にとって、その事態だけは避けたいところです」(同)

 ところが――。辺氏が最悪のシナリオについて、こう語る。「韓国の優柔不断さは今に始まったことではありません。韓国が米国と北朝鮮とのどちらを選ぶかというと、必ずしも米国とは言えないんです。五輪終了後の4月か5月には、米韓軍事演習が行われます。その頃には、北朝鮮は大陸間弾道ミサイルを発射するでしょうから、トランプ大統領も“強硬手段”に出る可能性がある。米朝の狭間で文大統領は苦慮し、最終的には米韓両国は互いに嫌悪感を抱く関係になるかもしれません」

 五輪を乗っ取り、さらには経済制裁の抜け穴も確保した北朝鮮。片や、何もかも骨抜きにされそうな韓国。安倍官邸にとっては、メダルの数も上の空となる五輪となりそうだ。

北朝鮮・金正恩「平昌オリンピック乗っ取り」のシナリオ

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.