桜花賞ウィークの土曜メインは、3着までにNHKマイルCへの優先出走権が与えられるG2ニュージーランドT。僕が騎乗したのは、藤田晋オーナーの愛馬で、ダイワメジャー産駒のボンドガールでした。
右前肢打撲でG1阪神JF回避に続き、桜花賞を3分の2の抽選で無念の除外となりましたが、力があるのは誰もが認めるところ。
引き当てたのが奇数の3番ということで、ゲート入りの順番が早くなり、少し中でガタガタしましたが、うまくゲートを出てくれて、道中もそれほど無駄な力を使うことなく我慢の競馬をしてくれていたと思います。
最後の直線はインで勝負。道中、馬場が緩くなっていた分、最後の最後に勝った馬に交わされ、シーキングザパール(1997年)以来27年ぶりの牝馬の勝利は逃しましたが、内容のある、いい競馬でした。次は、パンパンの良馬場で勝負したいところです。
そして日曜は、満開の桜が咲き誇る阪神競馬場を舞台に行われた牝馬三冠クラシックの第1弾、“乙女たちの戦い”桜花賞です。
前走、チューリップ賞の追い切りで初コンタクト。
「この馬は走るよ。勝って引き揚げてくるから」という言葉がスルリと口からこぼれるほど、体をしっかりと使った、いい走りをしたのがスウィープフィート。
レース後、2週間のリフレッシュ放牧。帰厩後も順調で、庄野靖志先生からは、「体に芯が入って、どっしりとしてきた感じ」と聞いていたので、あとは僕次第。レース前は、いい緊張感を感じていました。
スタートは、思っていた以上にスムーズで、この馬の末脚を最大限に生かすため、一旦後方へ。インで脚を溜めながら、虎こ視し眈たん々た んとそのときが来るのを待っていました。
そして、勝負は最後の直線へ。このとき、外が空いていたら、結果は違っていたものになっていたかもしれません。しかし、外を塞がれ、進路を内に取ったものの、前も空きません。
――ほんのちょっとでいい、空いてくれ……。思いは届かず、もう一度、進路を外へ。そこから猛烈な脚で前を走る馬を追いましたが、結果は4着でした。
「G1で小差の4着。オークスは楽しみじゃないですか」
レース後のコメントでも言いましたが、反省するべきところは反省し、前を向いて進んでいきたいと思います。
3月24日の高松宮記念から4週続いてきたG1シリーズも皐月賞でひと区切り。4月28日の天皇賞(春)から続く後半戦に向けて、今週末、20、21日の2日間は、ジョッキーにとっても大きなターニングポイントになります。
前半戦で結果を残したジョッキーは、このいい流れを切らさないよう、これまで通りの競馬で挑みますし、悔いを残したジョッキーは、ここで流れを変えようと、気持ちを昂らせてレースに臨みます。皆さん、存分に競馬を楽しんでください。
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