■顔認証技術でテロリストの接近を把握
3D画像分析やAI技術による監視については、一定の効果が期待できそうだ。
「すでにメーカーで実用化していて、書店の万引き対策に用いられているくらいです。現場で武器を取り出そうとする不審な動きを察知したり、顔認証技術でテロリストの接近を把握したりすることは、十分可能です」(前同)
一部からは、失態を犯した警察が予算を積み増すことに、“焼け太り批判”が上がっているが、菊池氏は次のように反論する。
「22億円で要人警護が成し遂げられたら、安いくらいです。世界的に見て、日本の警備レベルは低いほうで、その原因は実戦経験のなさにつきます」
■安倍晋三元首相の国葬で真価を問われる
7月の安倍元首相の銃殺事件でも、それが現れていたという。
「容疑者が1発目を発射した瞬間、警備の担当者は、あの音が殺傷兵器だという思いに及ばなかったのではないでしょうか。さすがに拳銃の音なら気づいたんでしょうが、あれは花火やクラッカーを大きくしたような、火薬の音でしたからね」(前同)
警察当局も問題意識を持っているようで、今回の予算でも、海外の警備当局との合同訓練に1億100万円が当てられている。
「つまり、どんな機器を導入するかよりも、警備に携わる当事者が、どれくらい危機感を抱けるかのほうが、よほど重要です」(同)
月末の安倍元首相の国葬では、米国のオバマ元大統領をはじめ、多くの外国要人の参列も見込まれる。
日本の警察は、さっそく真価を試されそうだ。