■半グレ、違法薬物、殺人事件……地上波向きではない題材

 山田演じる主人公・エイジの父は、連続殺人事件『LL事件』の犯人とされる人物で、15年前に自ら命を絶っている。尾上松也(37)演じる“サイ”は、『LL事件』の犯人の息子であるエイジに興味を持っている、半グレ集団『スカル』のリーダーであり、『スカル』が営むデートクラブ『アリス』では、女性たちを無理やり管理売春させて活動資金を稼いでいる。

 さらに、川栄李奈(27)演じるヒロインのナミが『アリス』で働かされていたり、『スカル』は資金源として違法薬物の購入を目論んでいたりと、地上波ドラマではなかなか触られない刺激的な題材が多く扱われている。

「そもそも、タイトルに“殺意”と入っている上に、ドラマ自体に“二重人格サスペンス”と銘打たれている。そして第1話はいきなり拷問シーンから始まったので、かなりハードな印象でした。やはり、同作を見て“怖い”と感じる視聴者の方もいるのではないでしょうか。私も数々の拷問シーンを見て思わず“痛ッ!”と言ってしまい、目をつぶってしまいました(笑)」

 世帯視聴率が振るわない一方、『しんぼく』はTVerなどの配信サービスで好調だ。10月11日には、『MANTANWEB』が10月10日時点で『しんぼく』の第1話はTVer、FOD、Gyao!の3サービスで合計223万回再生されていることを報じていた。

 また、現在テレビ各局が重要視する13歳から49歳までの“コア層”と呼ばれる世代の視聴率、コア視聴率は第1話が2.7%で健闘しているともいえる。

「『しんぼく』が配信で好調だったことが報じられていましたが、やはり若い人たちが『しんぼく』を見ているのではないでしょうか。このドラマは、“テレビでリアルタイム視聴している人に向けて作る”というより、“スマホやタブレットで配信アプリから見ている人に向けて作る”という意識で制作されているように感じました。

『しんぼく』は、サスペンスドラマという作品の性質上、謎解きは最終話まで引っ張られるでしょうから、地上波だと毎週謎が残されたままになってしまう。ですので、配信で最終話まで一気に視聴したらモヤモヤを引きずることなくスッキリしそうですね。さらに、配信だと怖いシーンが苦手な方が、自由にスキップできるという利点があります」

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