■「『Mリーグ』の魅力は、“今みんなが作っていること”なんですよ」

――萩原さんは以前、「カッコいい姿を見せ続けるのが重要」という話をしていました。今は麻雀中もそうだし、インタビューに出ているときも、本当にカッコよさがにじみ出ていると思います。過去のインタビューでは所属事務所の社長の言葉である「人に惚れられる人間になりなさい」を大切にしている、という話をされていましたね。

「それは本当にそうですね。“惚れられる”っていうのは、好かれることとは別なので、それができてきたかどうかは分からないですけど、それは常に考えている……というか。でも、じゃあ何をすればそうなるかは分からないじゃないですか。人にやさしくすればそうなるわけじゃないですし。ウソはつかないようにするというのはありますが。

 だから厳しめな言葉もけっこう出ちゃうし、厳しいことを言うことで惚れてくれる人もいます。でも同じ内容でも、厳しいこと言われたから嫌いって人もいるんですよ。だから、自分が操作できないものなので、そういうスタンスで生きるのが僕のライフスタイルですね。ドラマでも映画でも舞台でも、どこの現場でもそうだし、麻雀でもそうだし」

――『Mリーグ』を広げるために、まっすぐに生きると。

「そうですね。それしかないですね。それができなかったら俺にはもう価値がないと思っているので」

――そういう信念がカッコよさにつながってくるんですかね?

「いやあ、それを“バカ”っていう人もいるじゃないですか(笑)。“プロになんかならなきゃよかったのに”という人たちもいます。だから、100%支持してもらうのは無理なので、50よりちょっと多いくらいを目指していれば十分かなと思っています。それがいつか60や70になったらこんな幸せなことはないですし。

 どんな好きな人、尊敬する俳優さんであっても“あれ、ここ考え方違うな”って人はいます。全人格含めて100%肯定してくれる人はなかなかいないですから。まあそんなものですよ」

――最後に、2023年により多くの人に見ていただくために、あらためて『Mリーグ』の魅力を教えてください。

「『Mリーグ』の魅力は、多分、“今みんなが作っていること”なんですよ。5年しか経ってないので、完成形なんてまだまだ先。これは野球にしてもJリーグにしても、どんなエンターテインメントでも同じだと思いますけど、本当の意味で形になっていくのはまだまだ先で、選手も成長して、それに伴って作り手も成長していくもので。

 初めての試みなわけじゃないですか。麻雀をこういうふうになったのは。それで、選手が成長して、作り手が成長して、ファンも成長していく――そういう過程にあるので、その魅力をみんなで作っていきましょうよ! というところだと思います」

――まだまだ過程ですね。

「“『Mリーグ』何が面白いですか?”って聞かれたときに“麻雀が面白い”じゃなくて、違うもっともっと人が見たくなるような“売り文句”を、すべての選手も作り手もファンも持てないといけないなと思っています。“『Mリーグ』って何?”と聞かれたときに“○○だよ!”と言えるものをみんなで作っていきましょうよ、と。

 たとえば、野球を紹介するときに“大谷翔平を見てみなよ。スゲーカッコいいから! それだけでファンになるから”と言えるじゃないですか。そういうものを、みんなで模索しながら作り上げられていけばいいな、と思います。

 まあそれは、Mリーガーのみんなそれぞれが考えて、ちょっと違うなってことも中には出てくるかもしれないですけど、違ってもいいんですよ。また次にトライすればいいだけので。そういうふうになって欲しい。だから、今、魅力はこれからみんなで作っていけるものになればいいな、というのが僕の中で本音ですね」

――まだまだ、「『Mリーグ』の魅力はこれだ!」と言える段階にも行けていないと。

「行ってないんじゃないかな。行ったと思っていたら、たぶんダメですよ」

【「麻雀は見ている人の喜びになるものでなければやっている意味がない」強靭になったメンタルと「勝つこと」で起きること #1に戻る】

はぎわら・まさと 1987年、俳優デビュー。テレビドラマ『はいすくーる落書2』(90)で注目を集め、映画『学校』、『月はどっちに出ている』(ともに93)などで日本アカデミー賞新人俳優賞、『マークスの山』(95)、『CURE』(97)で、2度の日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。その後も、数多くの映画、ドラマ、舞台でも活躍。近年は映画『島守の塔』、『今夜、世界からこの恋が消えても』、『餓鬼が笑う』(ともに22)など話題作に出演。18年から「TEAM RAIDEN/雷電」に所属しプロ雀士としても活動している。

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