前回に続いて、お笑いコンビ『トム・ブラウン』さんとの対談です。肩までかかるロン毛が特徴的なツッコミ担当の布川ひろきさんと、坊主頭に少し強強こ わこ面面も てもなボケ担当のみちおさん。『M-1グランプリ2018』(テレビ朝日系)では見事、決勝に進出し、一躍人気になったお二人。結成して14年ですが、うち10年間は年収6万円の極貧生活を送っていたようで、前回は当時の貧乏エピソードを聞かせてもらいました。今回は一転して、『M-1』で決勝に上りつめ、人気芸人の仲間入りを果たしたときのお話をうかがいました。
ゆま「10年間、ごはんもちゃんと食べられないぐらい、売れない時代が続いて、何度もお笑いをやめようと思っていたんですよね」
みちお「毎年、“今年ダメだったら、お笑いをやめる”という気持ちでしたね」
布川「だから、2018年の『M-1グランプリ』のときも、やめたい気持ちを抱えながら出場したんです。“たぶん、ダメだろうから、やっと、これでやめられる”って……。そういう意味では、ノープレッシャー。捨て身の覚悟だったんです」
みちお「僕は死ぬほど緊張していましたけどね」
布川「こいつ、緊張しすぎて、『M-1』の決勝のステージに上がるエレベーターの中で、急に笑い出したんですよ」
ゆま「何か面白いことでも思い出したんですか?」
みちお「いや、エレベーターの中って、ステージの電飾の配線でゴチャゴチャになっているんです。それをリハーサルのときに見て、“本番のとき、この配線を見たら、笑うことにしよう”って決めていたんです。なんでもいいから笑えば、少しは緊張が和らぐと思って……」
布川「こっちからすれば、配線を見て突然、笑い出すから、こいつ大丈夫か? ってなりましたよ」
ゆま「アハハ。でも、そうやって緊張をほぐすために、いろいろ考えているところが、すごいです」
みちお「わざと自分の体に負荷をかけるというのも、緊張をなくす方法です。たとえば、トイレを我慢した状態で本番に挑むとかね」
ゆま「え? どういうことですか?」
みちお「おなかが痛い! って状況だったら、ステージに立っても緊張しないんじゃないかなって。腹痛に神経が集中して……」
ゆま「な、なるほど……」
みちお「あとは、思いっきり自分の体をつねるんです。痛みがあれば、お客さんの前でも緊張しないじゃないですか」
ゆま「えええ!?」
布川「何かが、おかしいんですよ、こいつ」
みちお「あと、弁当をいっぱい食べて、おなかいっぱいだなぁって状態で出る」
ゆま「眠くなりそう」
みちお「それです。眠いと感じるということはつまり、緊張していないんです」
布川「本番前に弁当たらふく食って、いつも普通に昼寝してるだろ!」