色鮮やかに染まった絶景を眺めつつ、季節の味に舌鼓を打つ。四季のある、この国に生まれた幸せを堪能しよう。
秋は、列車旅にうってつけの季節。旬の食材が詰まった駅弁を口にしながら、車窓から紅葉を眺めれば、まさに夢見心地だろう。
そこで今回は、有識者の声を参考に、47都道府県の“秋の激うま駅弁”を総力取材(最終ページからの表を参照)。その中から、本誌編集部が厳選した、トップ10を紹介しよう。
■鉄道カメラマンが推奨
まず、第10位は『バーベキュー弁当』(千葉県)。アウトドア気分が手軽に味わえる、行楽の秋にふさわしい一品だ。『にっぽん全国100駅弁』(双葉社)の著者で、鉄道カメラマンの櫻井寛氏は、こう語る。
「『タヌキばやし』で知られる証城寺にちなんだ、タヌキのかけ紙が目印で、地元では『バー弁』の愛称で親しまれています。直火焼きの国産豚ロース肉がドカンとのっていて、ボリューム満点。甘辛くどこか懐かしい味わいで、心もおなかも満たされます」
続く第9位の『角煮めし』(長崎県)も、肉好きにはたまらない。
「角煮は、長崎のソウルフード。また、明治創業の老舗旅館『坂本屋』の名物でもあり、そこのまかない飯をベースに誕生しました。ホロッと柔らかい角煮と、濃厚なタレが染みた白米のコンビは最強レベル。開業1周年の西九州新幹線に乗る際は、ぜひ」(前同)
■世界遺産や天然記念物も
肉が続いたところで、海鮮の横綱が登場。第8位は『平泉うにほたて重』(岩手県)だ。これまで5000個の駅弁を食べ歩いた、駅弁ライターの望月崇史氏が、その魅力を語る。
「『平泉うにごはん』という名物駅弁が、昨今の魚介類の高騰で販売休止になり、その後継として7月に誕生しました。巨大なホタテ煮とイクラが加わった豪勢な具はもちろん、それらを下支えする茶飯も香り豊かで、ぜいたくな食べ心地です」
また、販売駅の一ノ関駅周辺には、秋の行楽スポットが盛りだくさんだ。
「世界遺産の中尊寺金色堂や、国の名勝・天然記念物に指定された厳美渓、猊鼻渓があり、紅葉の名所としてにぎわっています。駅前にはレンタサイクルがあるので、列車旅の寄り道に訪れてみては?」(前同)