ある日、あなたの家のインターホンが鳴る。
「この近くで、屋根の修理をしている者です。今、ご近所を回っています。無料ですし、一度、屋根の点検をしてみませんか」
丁寧な語り口に、柔和な笑顔。
「無料なら……」と家に招き入れたが最後、「屋根が浮いていて危険です」などと不安をあおり、高額なリフォーム工事契約を結ばせる。
近年、こうした「訪問販売」や、床下や排水管のチェックなどをうたう「点検商法」が問題化している。
「国民生活センターに寄せられた、これらの悪質な業者に関する相談件数は増加の一途です。昨年は過去最高の計1万8000件超にのぼり、今年も5月末時点で、すでに昨年度を超える計2320件に達しています」(全国紙社会部記者)
■“保険金”という誘い文句
悪徳商法に詳しい、ジャーナリストの多田文明氏は、こう語る。
「特に高齢者の場合、強引な訪問の態度に気後れし、“帰ってくれるなら支払います……”となりがちです。また、屋根なんて上れないので、壊れているといわれても、自分で確かめられず、いいカモになることも」
埼玉県の一軒家に住む70代のAさんは今春、自宅に現れた悪徳業者の強引さに、辟易としたという。
「チャイムが鳴り、“工事のごあいさつです”というので住宅建設の人と思ったら、ドアを開けた瞬間、足だけでなく、体全体でドアを開けて中に入ってきたんです。
玄関に居座り続け、“地震保険や火災保険で費用は全部出る”などと言って、外壁塗装の契約を迫ってくる。結局、“警察を呼びますよ”と言ったら、やっと出て行きました」
この“保険金”という誘い文句も、要注意。保険の不正請求の可能性がある一方、10万円の保険が下りたが、業者に工事費用を50万円請求された、工事を断ったら違約金として保険金の30%を求められたなど、トラブルが頻出している。
■「点検商法」が増加
また、最近、増えているのが「点検商法」だ。千葉県の築40年の一軒家に住むBさんは、こう語る。
「ある日、ポストに“排水管高圧洗浄キャンペーン”というチラシが入っていた。“地域一斉工事のため、3000円”と書かれていたので安いと思って連絡したら、“点検したところ詰まりがヒドい”と言われ、3万円も取られた。まともな業者だと思ったのに……」
他にも、「瓦が割れている」と言って屋根に上がって、わざと瓦を壊したり、役所の職員を名乗って家に上がり込んだりなど、手口はさまざま。こうした悪徳業者に対し、我々は、どう対処すればいいのか。