■南海トラフ、首都直下、待ったなし!

 メガ級地震の代表が2011年の東日本大震災だ。活断層が動く「内陸型地震」に対し、こちらは海溝やトラフ付近で発生する

「海溝型(プレート境界型)地震」と呼ばれる。(最終ページの図参照)

「海側のプレートが陸側のプレートの下に沈みこむと、大陸プレートが引きずられ、ひずみます。それが限界に達すると、大陸プレートがはね上がり、海溝型地震が発生。規模が巨大で津波が起き、100年ごとなど発生周期が短い点が特徴です」(全国紙科学部記者)

 中でも、今後特に注意が必要なのが南海トラフ上で起きる大地震だ。

「南海トラフは、静岡県沖の駿河湾から遠州灘、紀伊半島の南側海域さらには土佐湾を経て日向灘沖まで達しています。地震の強さはM8〜9、死者32万人超の被害が想定され、発生確率は10年以内で30%。30年以内だと7080%、40年以内になると90%と予測されています」(前同)

 世間では、能登半島地震がその予兆ではと心配する声も多いが、「今回の地震が南海地震のトリガー(きっかけ)になることはありません。むしろ、南海地震が近づいてきて(プレートが)内陸部をぐいぐい押し付けるので内陸部にストレスが溜まり、今回のような地震が起きやすくなっていると言えます」(前出の梅田氏)

 予兆とは言えないものの、今回の能登半島地震は、南海大地震の危機が以前よりさらに差し迫っていることを示したといえる。

●太平洋プレートが活発化

 一方、南海大地震に関係する太平洋プレートが活発化しているのは事実だ。

「太平洋プレートが沈み込んで発生する北海道の根室沖地震(M7・8〜M8・5)の30年以内の発生確率は80%です」(全国紙科学部記者)

 この太平洋プレートが北米プレートを押し、さらに北米プレートとフィリピン海プレートの境界上にある南海トラフを刺激すると、メガ級地震が発生する。

 また、南海トラフと並んで近年、話題に上るのが「首都直下型地震」である。

「首都圏直下地震は立川断層帯という長さ33キロの活断層帯(埼玉県飯能市〜東京都青梅市・立川市・府中市)が動くケースのほか、東京都大田区を震源とするケースも想定されています。特に後者は、太平洋プレートの動きと関係しているとされています」(前同)

 だが、これまで述べたエリアだけが危ないわけではない。能登半島地震で被害を受けた富山県は、1020年までの10年間で地震発生回数は160回と、全国で最も少なかった。

「地震が少ない県でも油断できません」(梅田氏)

 備えだけは万全にしたい。

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