まともな人間ではない着物姿の女性が!
小学生の頃でした。私、小さい頃に近くのお寺さんによく遊びに行っていたんです。
少し年配のご住職はとても優しく、たまにお菓子をくれることがありましたからね。それが目当てだったこともあります。
その日は少し雨が降っていました。遊ぶところがないと友達と話をしていたら、ご住職があそこならいいよと、あるお部屋に連れて行ってくれました。
畳敷きで割と広いところです。座布団や長机などあったから、法事などのとき使う控え室だったのかもしれません。
蛍光灯を点けると曇っていても明るくなります。ご住職が出て行った後、そこで遊んでいると、すーっと電灯が暗くなりました。光量そのものが落ちていく感じです。
いったいなんだろうな、なんて話していると、何かが視界に入りました。
部屋の隅に、正座をした人がいます。
山吹色の着物を着た女性のようでした。しかし、何故か顔が見えないんです。
手で顔を隠しているわげではありません。当然、お面を被っているのでも、何かで覆っているのでもないんです。
ただ、そこだけがぼやーっとしてて、見えない。
当然まともな人間ではないでしよう。友達も気付いたらしく、2人で叫んでしまいました。そして、そのまま部屋を飛び出すと、ご住職が近くの部屋から出てくるところでした。