増税か先送りか――判断を誤れば日本経済は"地獄"に落ちる。厳しさを増す物価上昇スパイラルの舞台裏!!

"その時"が近づいている――日本の、というよりみずからの命運を左右すると、永田町は異様なほどの緊張感に包まれている。

「12月上旬に下される安倍首相の消費増税10%の判断を、すべての政治家たちが固唾を飲んで見守っています」(全国紙政治部デスク)

増税にGOが出れば、来年10月から消費税は2%上がり10%となる。だが、その"判断"を誤ると、「日本経済は再生不可能なほどの打撃を受ける」かもしれないのだ。

「現在の安倍政権の支持率が高いのは、株高を実現し、景気回復に一応の道筋をつけたから。ただ、経済政策でつまずくと政権の支持率は急落。与野党とも政局に向けて動き出すのが常。12月の判断は、安倍政権の正念場とも言えます」(前同)

実際、今年6月にテレビ出演した安倍晋三首相は、「(消費増税で)デフレ脱却のチャンスを逃してしまったら、元も子もない。そうなってしまったら、財政再建もできない。生活も厳しくなる。このチャンスを逃してしまうのであれば、引き上げることはできない」と説明。

今月14日にも、「(増税か見送りか)ニュートラルに考えている」とし、揺れる心境を吐露している。

「アメリカの有力紙『ニューヨーク・タイムズ』も社説で、増税は見送るべきだと主張しています。日本を見る世界の論調も、再度の消費増税には否定的な声が支配的です」(経済記者)

たとえば、ノーベル経済学賞に輝いた経済学者のポール・クルーグマン博士は、「消費税を10%に上げたら、日本はデフレ不況に逆戻りする」と断言。

また、安倍首相のブレーンであり、アベノミクスの理論的支柱である内閣参与の浜田宏一・米イェール大名誉教授も、「消費増税を実施すれば景気腰折れの懸念がある」と、警告している。

元財務官僚で、経済・金融政策に詳しい髙橋洋一氏が言う。

「消費税率を5%から8%にする前、景気はそんなに悪くならないとの見方がありましたが、各種指標が示すように、実際は景気が悪化しました。そんな中で再び税率を上げたら、さらなる景気悪化を招くはず」

ただ、首相の足元では、消費増税を強行しようとする"増税マフィア"たちが睨みを利かせているようだ。

マフィアの牙城は、中央省庁の財源を握る"省の中の省"財務省。

同省の息のかかった有力議員が、こぞって増税強行に向けて暗躍しているという。

「財務省の傀儡と化した麻生(太郎)財務相は、"社会保障の充実からも、増税は絶対条件"と明言。新たに党三役となった二階(俊博)総務会長も、"国際的な信用にかかわる。増税は予定どおり"と主張しています。彼は国土強靭化総合調査会長として、莫大な予算を握る"金庫番"の財務省とは事を荒立てられません」(永田町関係者)

谷垣禎一幹事長も増税派。というより、彼は野田政権時代の増税法案で三党合意した張本人である。

「今回の内閣改造と党人事は、"増税強行"の意思表示だと言われています。それが証拠に、改造直後にわざわざIMF(国際通貨基金)初の女性専務理事であるラガルド氏が来日し、安倍首相と懇談しているんです。表向きは女性が活躍できる社会についての意見交換ということになっていますが、こんなものは嘘。"消費税は予定どおり上げろよ"と、安倍首相に念押ししに来たわけです」(前同)

ちなみに、このIMF、財務官僚が多く出向し"財務省の意向"を政府に押し付ける圧力団体との見方も。

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