裁判といえば、どこかお堅いイメージ。
だが、実際に司法の場を覗いてみると抱腹絶倒の珍場面が目白押しだった!


「裁判は基本的に真実発見の場ではなく、国家の威信や治安を守るためのものです。真面目な場所ですが、ハタで聞いていると、とんでもない言い分や発言が飛び出すことも多いんですよ」
こう語るのは、12年間でおよそ5300件以上の裁判を傍聴してきた交通ジャーナリストの今井亮一氏。
その今井氏が最近、驚かされた裁判があったという。

●ケース(1) 被告は40歳男性。容疑は女性に対する強盗致傷など

衝撃の事態が発生したのは、東京高裁で裁判長が控訴棄却(1審は懲役5年)を言い渡し、判決理由を述べ始めた直後のこと。
証言台の後ろの椅子から突然、すくっと立ち上がった被告。そのまま体を水平にして、マグロのごとく真横に大ジャンプ!検察官席を飛び越え、検察官に"人間ミサイル"を敢行したというのだ。
「検察官も何となく予測していたのか、瞬時に逃げました。男は誰も座っていないイスに着地となったんですが……」(今井氏)
この男、未明の路上で女性から下着を奪い取り、さらに、わいせつ行為をしようと押し倒した。女性にケガをさせたうえ、逃げ出した卑劣漢だった。
「男が逮捕されたきっかけは、女性の下着を盗もうと入ったコインランドリーで下半身を露出させていたため。張っていた女性警察官に捕まっています。逮捕後、くだんの女性を襲った事件が発覚したんです」(前同)
警察が張り込んでいたことが頭に来たのか、公判で男はしきりに「汚い!」と叫んでいたという。その怒りが、人間ミサイルへとつながったのだろうか……。

●ケース(2) 被告は宇多田ヒカルの実父。容疑は制限速度50キロの首都高速を133キロ(!)で走った道路交通法違反(スピート違反)

法廷には、有名人が登場することもある。被告は、歌姫・宇多田ヒカルの実父に当たる男。真夜中に83キロオーバーで首都高をブッ飛ばしていたスピード違反の罪に問われた。
「今年9月22日の東京地裁での公判で、"大型車が接近して来たので避けるために加速した"と。"自分は車のA級ライセンスを取得しており、周囲の車の動きに応じて体が勝手に反応してしまう。ああいう場合は減速より加速したほうが安全"と得意気に語っていましたね」(今井氏)
体が勝手に反応するなら、逆に怖い気もするが……。
そんな言い分が通るわけもなく、判決は懲役3月・執行猶予2年の有罪だった。

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