葬儀内容の希望を書いておく

また生前、どのような葬儀がしたいか"エンディングノート"に書いておくことも重要だ。『失敗しないエンディングノートの書き方』の著者、石崎さんは、
「死後に自分の意志を託すものとしては、遺言と遺書があります。そこに、最近は"終活"ツールとしてエンディングノートが加わりました」
と語る。遺言と違い、遺書とエンディングノートに法的拘束力はない。
「エンディングノートに書かれた内容にとらわれることはないんですが、遺族はできるだけ故人の遺志を尊重しようとするもの。あまり多くのことをエンディングノートに書くと、逆に遺族が困ってしまいます」(前同)

たとえば、散骨のように、社会的に一般化されていないことを故人が望んでいる場合、エンディングノートに書いておくといいという。
「遺書が私信であるのに対して、エンディングノートは死後、他人にシェアされることが前提になっています。故人に特別な希望がある場合、ノートに書き残しておけば、喪主が、他の遺族の理解を得やすくなる利点があります」(同)

最近は、妻が夫の実家の墓に入りたくないというケースも増えているが、そういう場合もエンディングノートに、その遺志を書き残しておくことが大切。妻の葬儀の際、喪主の夫が親戚一同からヤリ玉に挙げられても、それが故人の強い意志だとわかれば、親戚も納得せざるをえないからだ。

だが、こうして事前にあれこれ準備しておいても、まだ万全とはいえない。
いざという時に選択を誤りがちなのが、通夜や葬儀の読経を誰に頼むかだ。これが後々、揉め事になるケースもあるという。前出の明石代表がこう続ける。
「遠方にあるからといっても、菩提寺に連絡せず、葬儀会社に近くの寺を紹介してもらうと、葬儀を2回する羽目になりかねません」

葬儀を終えて遺体を荼毘に付すと、次に納骨という手順となる。しかし、納骨まで菩提寺に連絡しないでいると、ヘソを曲げられ、納骨を拒否されてトラブルになる例もあるからだ。
なかには、菩提寺から納骨費用として200万円を要求された例もあるという。

「そんな事態を避けるため、まずは菩提寺に連絡すべきです。そうすれば、菩提寺が、自宅の近隣にいる同じ宗派のお坊さんを紹介してくれたり、戒名はこちらで準備するからと、いろいろ指示してくれます」(前同)

ここまで準備を整え、いよいよ葬儀会社と葬儀の具体的な打ち合わせとなるわけだが、やはり、気になるのは葬儀費用。
「日本消費者協会の調査によると、葬儀費用は全国平均でおよそ189万円。アメリカの葬儀費用の約5倍というデータもあります」(情報誌記者)

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