ここからは上田監督の存在だからではなく、一般的な話です。入団1年目もしくは初めて一軍キャンプに参加している若手にとって、この時期は毎日が超特急。何が何だか分からないうちに一日が終わってしまいます。

そうなってしまったら、毎日を乗り切ることに全神経を注いでしまう。技術向上が本来の狙いであるはずなのに、そこまで意識が到達できない……これでは一軍キャンプにいる意味はありません。たとえ、キツクても自分の課題をしっかり見据え、どっしり構えないと「キャンプに呑まれてしまう」。自分のペースは絶対に大事です。

高校から入団1年目のゴジラ松井(松井秀喜)君はキャンプ初日に遅刻。ある意味、このくらい大胆で太い神経を持っていないとプロでは通用しないのです。

一方の僕は、普段の約束事であっても30分前には目的地に着いている。常に「次は何があるのか」と一歩先、一歩先を考えて行動するタイプ。企業人にとっては評価されますが、プロ野球の世界では、そんなに神経を張り巡らせていたら、すぐパンクします。

象徴的なのは「昼食時間が30分」と決められていたら僕は20分で終わらせるように努めます。とはいえ、これをしたからといって、査定が変わることも首脳陣からの評価も変わりません。「30分」と言われたら、最低でも「30分」。大物は「40分」を目安で食べる……これがプロです。

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