それをどう説明してもらっても、春樹は聞き入れてくれない。とにかく、俺は殴ってないの一点張りなのだ。桜子は大変な恐怖を感じている。しかし春樹は、殴ってないのに桜子が恐怖を感じるはずがない、という。
春樹の鈍感さ通じなさも、桜子には、新たな恐怖となっていった。
●ついに自らの命を…そして、怪奇現象が…
だが、春樹は春樹で、あんなに自分に惚れていた桜子が頑として別れるといい張ることに、怒りや悲しみよりも恐怖を感じていたのだ。
桜子が春樹からのメールもラインも一切無視し、電話も着信拒否にした日から二週間ほど経った頃、春樹は自殺した。もう春ではなく、初夏の匂いすらする美しい季節に。
春樹が死んだ日から、桜子の部屋には怪異が起こるようになった。
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