阿修羅原さんが亡くなった。
「日刊スポーツ」は天龍源一郎とのタッグ(龍原砲)の写真を一面にして原さんの訃報を伝えた。
私にとって阿修羅原とはリング上のファイトだけでなく「マスコミ報道」について色々思い出を残してくれた人だ。
まずは「雪崩式ブレンバスター事件」。
子どもの頃に読んだ東スポで、国際プロレス(当時)の阿修羅原は日本初公開の雪崩式ブレーンバスターを写真入りで予告していた。初めて見るその豪快な技の公開を私は待ちわびた。
しかし事件はライバル団体の新日本プロレス「ワールドプロレス」生中継で起きたのだ。たしか阿修羅原の記事が出た当日か翌日の夜だったと思う。
木村健悟が試合の土壇場で雪崩式ブレンバスターを仕掛けたのである。驚きはそれだけではない。相手の藤波に空中で切り返されてまさかの逆転負け。
「え、え、え!?」
昨年、木村健吾さんにお会いした時にこの時の話を聞くと「あ、あれね。偶然でなく狙ってやった」と、あっさり。
「巡業バスの中であの予告記事を見たんだよ。だからテレビ中継で先にやっちゃえって」
「試合の流れではなく最初から狙っていたんですか」と聞くと「やったもん勝ちでしょ」。
最後に木村健悟さんは「原、ゴメン。」
ちなみに、「国際プロレスや原からのクレームを考えなかったかって? あの時代、そんな小さいことしないよ」とこれまたあっさり。ちまちましてない時代。