紫雷イオ インタビュー前編「姉の美央がいたから辞めずにこれた」の画像
紫雷イオ インタビュー前編「姉の美央がいたから辞めずにこれた」の画像

女子プロレス団体・スターダム。そのリングにおいて10回連続でベルトを防衛、さらに5代王座を獲得し、団体初のグランドスラムの偉業を飾るなど、スターの座を不動のものとしている紫雷イオ。「コアなプロレスファンではない一般の読者へ向けて、スターダムの魅力を伝える」というテーマを想定していたが、あの事件に関することからベルト論まで“逸女”ならではの至言が連発し、結果的に団体そのものの本質に迫るインタビューとなった。

高校生だった少女がスターダムを駆け上がった8年間とは、果たしてどんなものだったのか。いま最も注目される女子プロレスラー紫雷イオのインタビューをお届けする。


デビュー当時はプロレスの“プの字”も知らない女子高生でした

――高校在学中にプロレスラーとしてデビューした紫雷イオですが、どういった経緯でプロレス界に入ったんですか?

紫雷イオ(以下、イオ) 私にはプロレスラーの姉(紫雷美央選手)がいるんですけど、彼女が先にプロレス会場で「練習に来ない?」って誘われてたんですよ。まだ高校生だったんですが、その話を横から聞いてたらなんだか面白そうになっちゃって、「私もついていく!」って姉と一緒に練習見学に行ったんですよ。ちょうどずっと続けていた器械体操をやらなくなっていた時期だったんで、運動不足解消くらいの、ちょっとカラダを動かすかぁ~、みたいな軽いキモチで。

――新弟子は全員トライアウトを受けるものと思っていましたが、プロレス界にもスカウトがあるんですね。

イオ 姉妹でデビューさせたら注目されそうだから的なノリですよ。だって、誰かれ構わず、女のコに声を掛けていたらしいですからね。それが高校一年生の終わりの頃で、私は16歳でした。

――それまでにプロレスを見たり、やった経験はあったんですか?

イオ テレビでチラって見たことはあるって程度で、プロレスの“プの字”も知らない女子高生でしたよ。だって、実際にプロレスって意味がわかんなかったですもん(笑)

――意味とは?

イオ なんで相手をロープに振ったら戻ってくるの? みたいな。いわゆる初めてプロレスを見る人の疑問を全部持ってましたね。なんで、技を受けるの? よければイイじゃん! 相手を殴るときにわざわざ遠くへ走って反動つけるのはなんで? 直接、殴ればいいじゃん! そういうレベルでしたね(笑)

――そんな状態のまま、すぐにリングに立たされたというイオ選手ですが、最初の試合は覚えてますか?

イオ そうですね、“どインディー(インディー=いわゆる独立団体)”での試合がデビューだったんですが、週3回、3時間の練習をたった3ヶ月しただけで、ヒドイもんでしたね~。だって、ルールすら知らなかったんですもん。両肩がマットに着いて3カウント取られたら負けとか、そういうプロレスの基本的なことも知らないままリングに立ってしまった。いま考えると、すさまじいデビュー戦ですよね。

――じつはデビューしたてのイオ選手の試合を見たことがありまして、新宿FACEでの美央選手とのタッグでの試合だったのですが。

イオ ヒドかったですよね……?

――ムーンサルトプレスとかの飛び技を出して、技そのものはキレイだったのですが、どこか軽いというか、観客に対する説得力がまだ出来てないというか、そういった印象でした。

イオ ですよね。何をしたらいいのか、何をすればお客さんが喜ぶのか。そういうことが一切、わかってなかったんですよ。飛び技もただハデに飛べばいい、みたいな。恐ろしい話ですよ、あれでデビューしてしまったのは(笑)

――だからスターダムの頂点にまで駆け上がったいまの姿が、その頃のイオ選手と重なりにくいんですよ。

イオ 辞めなくて良かった~! 継続は力なりだとホント実感しちゃいますね。

  1. 1
  2. 2
  3. 3