そんな、まことさんに反して「最近の子は整形していないよ」と証言してくれたのが、主婦の沙織さん(36)。以前はまことさんと同様の店で働いていたと言うが、当時のお客さんとの結婚を機に退店したという。
「今、整形って本当に安いから、無理して体は使わなくてもいいんです。ああいう店で働く子は自分が綺麗になりたいというより、汚くなりたい、汚されたいと思っている子が多い。真逆だよね。自分より彼氏(ホスト)の整形代を稼いでいる子のほうが多いんじゃない?」

確かに、整形といえば何百万円、何千万円と掛かっていたが、最近はちょっとした整形であれば10万以下でもできてしまう。無理をして働かなくても、バイトで貯めた金で整形ができてしまうのだ。
「私の場合、高校時代にしていたから特別。でも、旦那にカミングアウトするときは緊張したな。いかがわしい店で働いているのは知られているから、それよりハードルが高かったですね」
夫は、幸いにも理解のある男性で、すべてを許して包み込んでくれた。

「でも、私の同級生は、それで破談になっちゃった。"お前の顔は世間をごまかせるけど、生まれてくる子どもは整形前の顔に似るんだぞ!"って」
当然ではあるが、整形で幸せを勝ち取った人間は整形を否定したりしない。そんな彼女の悩みは、娘の鼻が以前の顔に似て上を向いていることだそうだ。

次に紹介する涼子さん(30)は、かつてジュニアアイドルをしていた。今回の取材の中で唯一、整形に乗り気でなかったのにメスを入れてしまった女性だ。
「14歳のときです。メーカーさんの社長に言われてDVD出してあげるからと、エラを削る手術を受けさせられました。おかげで2週間も学校を休まなくてはいけなくなったし、顔が変わったせいでイジメられて不登校に……」

無事にDVDを発売し、美を手に入れた彼女だったが、それと引き換えに友人と、穏やかな学生生活を失ってしまった。
「なので高校へは行かず、芸能活動をする道を選びました。だけど、中学校の同級生が私の卒業アルバム(小学校)をネットに流したんです。だから、私の第二検索ワードは常に"整形"。何度、芸名を変えても、常に私から"整形"の文字が離れることはありません」

DVDの出演で、彼女が手にしたギャラは8万円。今では、タレント活動を終えて普通の主婦に落ち着いているが、いつ家族がネットに気づくかと思うと、安らぐ時間はないという。"整形に対する偏見"がなくなるまで、枕を高くして彼女が眠れる日は訪れない。

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