――そんな中で演じたのが、ヒアナという女性ですね。
水崎 シングル・マザーで、原作には出てこないんです。だから、その分、自分で作りあげていったので演じやすかったです。
――ポスターのキャッチには"勇猛なる母性"とありました。
水崎 娘の養育費のために巨人討伐に志願するんです。登場人物はみんな同じくらいの年なんですけど、子どもが一人いる分、大人っぽかったり落ち着いている部分があるんです。でも、いざ巨人と対峙すると、ビクってなったり怖がってしまうところがあって、そのギャップを演じられたのは面白かったですね。
――母親役は初めて?
水崎 いいえ。実は結構多くて、10代の頃からやっているんですよ(笑)。先日も30代ぐらいの役を演じさせてもらったりして、等身大の役はあまりないんです。
――なるほど。演じる上で心掛けたことは?
水崎 やっぱり、"母としての強さ"はいつも考えて いましたね。
――確かに、戦場特有のギスギスした緊張感はヒアナからはあまり感じませんでした。
水崎 樋口真嗣監督からも"あまり殺伐とした感じは出さないでほしい"と言われたんです。私がもともと、アクションをやっていた分、リアクションも誰よりも早かったんで、"他人よりも遅れて。ノミの心臓と思って下さい"というアドバイスも受けました。そういった意味ではこれまでとは違うキャラを演じられて楽しかったです。
――そのアクションに関してですが……。
水崎 樋口監督に最初にお会いしたときに"水崎ちゃんはね、アクションができるの知っているけど、今回はないです"って言われたんです。
――いきなりの封印!
水崎 そう(笑)。それなのにオファーをしていただけたのは、驚きでもあり、うれしかったですね。
――だから、巨人から逃げるときもモタモタとしていたんですね。
水崎 学生のときに陸上部に入っていたんで、走り方はメッチャきれいなんです、ホントは(笑)。でも、この映画を観られた方は、私のことをドン臭いって思うんじゃないかな(笑)。
――そこは、ファンとしてはちょっと寂しい部分ですが、一方では三浦春馬さん扮するエレンを"子持ちは嫌?"って誘惑するシーンもあり、思わず"おっ!"となりました。
水崎 ああいうシーンは一歩間違えると単なる色っぽいシーンになってしまいがちなんですけど、そこを母性で上手くカバーできたと思いますね。
――エレンの手を自分の胸元に導く流れにはドキッとさせられました。
水崎 実はアレ、撮影当日に樋口監督から急遽(きゅうきょ)言われたんです。私もあまりに突然のことに"はぁ、分かりました"って感じで(笑)。