また、雨で地盤が緩んだ結果、崖崩れや土砂災害が起きる可能性もあれば、水はけの悪い土地ゆえに、わずかな雨量でも洪水が起きてしまう箇所もある。
つまり、ひと言で雨といっても、あらゆる危険が我々の身に降りかかる可能性があるのだ。
そうした水害が起きうる危険地域をまとめたのが、次の地図だ。また、その次の表は、その地図と連動したものである。



これらを見ると、日本中の至る所が危険だと言っても過言ではないのが、一目瞭然だろう。
実は、この危険地域の中で最も警戒されるべき場所が、東京にあるという。全国紙社会部記者が解説する。
「実は、東京北部から東部を通って東京湾に流れ込む荒川が決壊すると、その被害規模は、かつてないほど甚大なものになると想定されているんです」

荒川決壊に関しては、内閣府が10年にまとめた被害想定シミュレーションがある。それによると、死者数は1200人で、孤立者数は49万人に達するというのだ。
さらに驚くべきは、その浸水面積。山手線内の面積の約2倍に達する約110平方キロメートルが浸水するというのだが、同時に、都内を走る地下鉄17路線97駅も浸水してしまうというのだ。

この浸水想定を見やすく表にしたのが次の図だが、荒川から遠く離れた東京駅や三田駅をも飲み込むと想定されているのである。


「海抜の低い地域や、地下鉄を伝って、東京全域に水は広がるとみられているんです。しかも、その速度は驚くほど速く、決壊からわずか10分で南北線の赤羽岩淵駅が浸水するとされています」(前同)
まさに、東京が水没するとしか表現のしようがない事態なのだ。また、増水具合が目に見える河川氾濫と違って、そのわかりにくさゆえに、被害が拡大してしまうのが土砂災害だ。
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