美和 トヨタ自動車みたいな輸出産業のところだけは恩恵を受けるんですよね?
宗男 たしかに輸出産業は関税が無くなるからいいって言いますよ。ただ、その関税額はたかだか1000億円か2000億円なんですね。しかしその一方で1兆円とか2兆円のマイナスになったらどうするんですか?
美和 結局、収支でマイナスですよね。
宗男 保険制度から医療制度まで、すべてにひっかかってくるんですから。これもう“弱肉強食”。“アメリカ型の新自由主義”の思想の上でのTPP交渉ですから。
美和 「アメリカ合衆国 日本州」にした方がいいですね(笑)。
宗男 「日本が50番目の州」と言われますよ!これも根本はエネルギーなんです。エネルギーをアメリカに頼っているところに日本の弱みがある。
美和 「日本はロシアと組むべき」というのが、宗男先生の持論ですよね。そもそも参加すべきかどうかは、宗男先生はどういう見解なんですか?
宗男 交渉に入るのはいいにしても「国益にそぐわないならば脱退も辞さず」ということですよ!
美和 何かアメリカに対して“借り”があるんでしょうか?
宗男 ないけれども、国際交渉事というのは、いったん入ちゃうとまとめようという方向になっちゃう。これが怖いんです。
編集 ニュージーランドの代表なんか、ケツまくるぐらいの感じで交渉に臨んでいました。
宗男 ニュージーランドの場合は、論点は「乳製品の一点」なんですよ。それが国益ですから、強く出るわけです。
美和 そこだけは守りたい!と。
宗男 ニュージーランドと違って、日本の場合は幅広いんですね。政府から言わせれば、農業という一産業が「4」くらい。他が「96」なんですね、ウエイトが。日本は“輸出立国”ですから。だから、そこらへんやっぱり軽く見ているんじゃないかと。しかし、それをカバーするのが政治だと思うんですね。
美和 アメリカは自分のところのモノを売りたいと。